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「想像以上だった。」その瞬間、人は誰かに話したくなる。〜AI時代だからこそ、「体験」の価値は高くなる〜

人は期待通りでは口コミを書かない

最近、Googleマップに口コミを書いたのは、いつだっただろう。
Amazonでレビューを書いたのは。
Instagramのストーリーでお店を紹介したのは。
あるいは、友人との会話の中で、
「ここ、本当に良かったよ。」
と、思わず誰かに話したくなったのは。
少し思い返してみると、不思議なことに気付きます。

期待通りだったお店やサービスを、わざわざ誰かに勧めることは意外と少ない。
もちろん、「悪かった」と感じたときには、その経験を伝えたくなることがあります。
でも、本当に心が動くのは、期待を大きく超えたときです。
「想像以上だった。」
「また行きたい。」
「これは誰かにも教えたい。」
そんな体験をしたとき、人は自然と誰かに話したくなります。
最近、私はこのことが、仕事の本質にもつながっているのではないかと考えるようになりました。


情報は増えた。でも、体験の価値はもっと高くなる。

AIの進化によって、私たちが情報を手に入れる方法は大きく変わりました。
知りたいことがあれば検索する。
今では、それすら必要ありません。
AIに質問すれば、数秒で要点を整理し、比較までしてくれます。
商品の特徴も。
旅行先の候補も。
仕事の調べものも。
以前なら時間をかけて集めていた情報が、今では誰でも簡単に手に入るようになりました。
つまり、「情報を知っていること」だけでは差が生まれにくい時代になったということです。

では、これから価値が高まるものは何でしょうか。
私は、「体験」だと思っています。
実際に食べてみた。
実際に泊まってみた。
実際に使ってみた。
実際に会ってみた。
その人しか語れない体験には、AIでは代替できない価値があります。
だから今、多くの人が見ているのは、企業が発信する情報ではありません。
実際に体験した人の声です。


人は情報ではなく、誰かの体験を見ている

旅行へ行く前にはGoogleマップの口コミを見る。
商品を買う前にはAmazonのレビューを見る。
飲食店を探すときはInstagramやTikTokを見る。
YouTubeで実際に使っている様子を確認する。
私たちは毎日のように、誰かが実際に体験した話を参考にして意思決定をしています。
広告を見るよりも、実際に使った人の感想。
企業の説明を読むよりも、行ってきた人の一言。
そのほうが信頼できると感じるからです。
マーケティングの世界では、このようにユーザー自身が発信するコンテンツを「UGC(User Generated Content)」と呼びます。

でも、私は本質はUGCという言葉ではないと思っています。
もっと大切なのは、
「なぜ、その人はわざわざ発信したのか。」
ということです。
人は、期待通りでは口コミを書きません。
期待通りでは紹介もしません。
期待通りではSNSにも投稿しません。
では、どんなときに人は行動するのでしょうか。
それは、期待を超えたときです。
「こんなに良いとは思わなかった。」
「これは友人にも教えたい。」
「また行きたい。」
そんなふうに心が動いた瞬間、人は自然と誰かへ話したくなる。
私は、このシンプルな事実こそが、これからの時代のブランドづくりで最も大切な考え方なのではないかと思っています。


口コミは「お願い」では生まれない

企業としては、
「口コミを書いてください。」
「レビューをお願いします。」
そうお願いしたくなる気持ちもあります。
もちろん、それが悪いことだとは思いません。
でも、本当に心を動かす口コミは、お願いされたから書くものではなく、「書きたい」と思った結果として生まれるものではないでしょうか。
だから企業が本当に考えるべきなのは、
「どうすれば口コミを書いてもらえるか。」
ではなく、
「どうすれば期待を超える体験を届けられるか。」
だと私は思っています。
口コミは目的ではありません。
期待を超える体験という原因があり、その結果として自然に生まれるものです。

だからこそ、AIでは簡単に作れない価値があります。
人の心が動いたからこそ生まれる。
それが、本当に価値のある口コミなのだと思います。


私が届けたいのは、「誰かに話したくなる体験」

この考え方は、私が取り組んでいる仕事すべてにつながっています。

hibinoでセレクトショップを運営しているのも、
「日々のくらしのマルシェ」を開催しているのも、
目黒ビアガーデンを企画しているのも、
商品を売ることや、イベントを開催すること自体が目的ではありません。
その場所で、
「想像以上だった。」
と思っていただける体験を届けること。
例えば、商品との思いがけない出会い。
出店者との会話。
地域の人とのつながり。
友人や家族と過ごす心地よい時間。
そんな体験が、
「また来たい。」
「今度はあの人も誘いたい。」
という気持ちにつながる。
その結果として口コミが生まれ、紹介が生まれ、ブランドが育っていく。
私は、その順番が大切だと思っています。


営業も、起業支援も、本質は同じ

これは営業でも同じです。
期待通りの提案なら、
「ありがとうございました。」
で終わります。
でも、期待を超える提案ができたとき、
「知り合いにも紹介したい。」
という言葉が生まれます。
起業支援でも同じです。
ノウハウを教えたから紹介されるのではありません。
その人の人生が前に進んだ。
想像以上の変化があった。
だから、大切な人にも紹介したくなる。
紹介とは、信頼の証です。
そして信頼は、期待を超える体験から生まれるものなのだと思います。


AI時代だからこそ、人が届ける価値

AIは、これからも進化していくでしょう。
情報は、ますます早く、正確に届けられるようになるはずです。
だからこそ、人が届ける価値は変わっていくと思います。
知識を伝えることではなく、
心が動く体験を届けること。
情報を届けることではなく、
「想像以上だった。」
という記憶を届けること。

ブランドとは、ロゴでもありません。
広告でもありません。
フォロワー数でもありません。
人の記憶に残る体験の積み重ねなのだと思います。
でも、人の心を動かすのは、誰かが実際に体験したストーリーです。
だから私はこれからも、商品やサービスを提供することを目的にするのではなく、「想像以上だった」と思っていただける体験を届けることを大切にしていきたいと思います。
その積み重ねが、誰かの「また来たい」につながり、「あの人に紹介したい」につながり、少しずつブランドになっていく。
私は、そう信じています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
吉川 康弘

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