「電車の音で泣きやむ0歳」鉄道とともに育った少年時代ーNOSE KNITsさん①
鉄道オタクと一口に言っても、その種類は実に多彩です。
「撮り鉄」「乗り鉄」「音鉄」「歴史鉄」「法規鉄」…そして「廃線鉄」まで。
今回は、そんな世界を広く楽しむNOSE KNITs(のせニッツ)さんにお話をうかがいました。鉄オタはどのように育ってきたのでしょうか。全3回の1回目です。
0歳で鉄道に覚醒!チビ鉄の心に残る“さよなら運転”
―鉄道に魅かれたのはいつごろからですか?
NOSE KNITsさん:母親いわく、「あんたの電車好きは0歳から」と。ベビーカーに乗せて外出している時に、ワンワンと泣いていても、電車が通ると泣き止んだそうです。どこまで本当か分かりませんが…。私の祖父も鉄道好きだったので、「隔世遺伝したのかな」と言われていました。
―DNAに刻まれていますね。一番古い電車の思い出は何ですか?
NOSE KNITsさん:小学生の時、祖父に連れられて行った“能勢電鉄600系、さよなら運転”です。いま、地元で乗っている車両の、先代車両にあたります。
もうひとつは、小学校低学年の時。スイミングスクールのプールサイドから、電車を眺めていたこと。見ているだけで楽しかったですね。
―ほほえましい!おじんさんと電車を眺める少年時代の様子が思い浮かびます。

「時刻表は読み物」社会の授業で”時刻表鉄”になる

―「鉄道オタク」にも色々な種類があるんですね。
NOSE KNITsさん:そうですね。一つだけに特化している人は少ないし、全部を極めている人は本当にすごいです。
―ご自身はどのタイプですか?
NOSE KNITsさん:「乗る、撮る」ですね。全部はまだ極めきれていませんが…。
―「時刻表鉄」も面白そう。
NOSE KNITsさん:時刻表は読み物です。(キリッ)
―おお!これが本物の反応…!
NOSE KNITsさん:時刻表の面白さに気づいたのは中学校の社会の授業でした。
「時刻表で仮想の旅を計画する」という課題があって、JRやJTBの時刻表を見ながら旅ルートを考えたんです。当時はスマホもなく、紙の時刻表とにらめっこしながら。
―紙の時刻表って、数センチもある分厚い本ですよね?
NOSE KNITsさん:そうです。路線図と列車の時刻が載っています。路線図で乗りたい路線を見つけたら、時刻のページで発車時刻を確認…という作業を繰り返して、乗り継ぎを考えます。
授業では、ダイアグラム(※列車の運行時間を線で表した図)を使う方法は出てこなかったのですが、時刻表そのものの面白さに出会った瞬間でした。


塾より鉄道!自宅の庭を走る電車!?鉄道研究部で手腕をふるう
NOSE KNITsさん:小6から電車で塾に通いましたが、時々サボって電車を乗り回していました。能勢電車から阪急電車に乗り継いで、梅田や西宮北口まで遠回りして。特に夏休みの夏期講習は絶好の機会で、いつもは見られない“朝ラッシュだけの車両”や“車両を連結する瞬間”もコンパクトカメラを片手に見届けました。
ー鉄分(※鉄道趣味を味わうこと)を存分に浴びましたね!
NOSE KNITsさん:高校はもちろん鉄道研究部です。遠征先が「桜谷軽便鉄道(大阪府豊能町)」の時には、地元出身として案内役を務めました。
この鉄道は、「自宅の庭」に線路を敷いたのがはじまりなんです。
―庭に線路!?どういうことですか?
NOSE KNITsさん:オーナー手作りの庭園鉄道で、線路は庭から自宅一周にまで伸びました。その後、手狭になったので、近所の家庭菜園用地を購入して、「桜谷軽便鉄道南山線」を開業。
今は月一回、第一日曜日に運転会をされています。
―すごい!鉄道って自力で作れるんですね。実際に見てみたくなりました。

乗り続けた車両を最後まで見届ける。線路が紡ぐ出会いと別れ
―NOSE KNITsさんにとっての「鉄道の魅力」を教えてください。
NOSE KNITsさん:旅情やかっこよさ、そして電車の持つ歴史です。
例えば、地元の能勢電鉄は、古くてレトロな車両が走っています。
これは、阪急電鉄で走らなくなった古い車両が、能勢電鉄に引き継がれて走り続けるからです。そこに、ずっと当たり前に存在してきたような、バイオグラフィー(伝記)の積み重ねを感じます。
ー車両の歴史まで意識したことがありませんでした。
NOSE KNITsさん:実は、この能勢電鉄の古い車両も来年には引退が決まっています。今はもう、最後の一本が走っているだけ。60歳を超えた車両なので仕方ありませんが、小学生の時から乗り続けている車両が姿を消すのは、やっぱりさみしい。
祖父と見届けた「能勢電鉄600系、さよなら運転」から年月が経ち、また別れの時がやってきます。
けれど、その度に阪急には新しいピカピカの車両が入ってきています。
ー車両一つ一つに物語がある…きっと数えきれないほどの思いも運んできたんですよね。引退と歓迎、その繰り返しは人の一生ともよく似ているように感じます。


第2回では、現在の活動についてお聞きします!
NOSE KNITsさんがもっとわかる!
【NOSE KNITsー能勢電鉄と沿線を応援するサイト!ー】
【参考および引用】
・トップ画像 NOSE KNITsホームページより
・写真提供 NOSE KNITsさん
・能勢電鉄
・桜谷軽便鉄道
取材日 2025年8月3日
ライター 大野佳子
