【感動の物語】38歳で、人生は一度終わる。
僕が39歳になった日、娘が7歳になった。
ケーキを囲み、ろうそくを吹き消す娘を見ながら、ふと考えていた。
「俺はこの年まで、何をやってきたんだろう」って。
仕事、結婚、子育て。
一見順調に見える人生を送ってきた。でも、心のどこかに空洞があった。
それは“自分だけの意味”を見つけられていない感覚だった。
小学生のころは、宇宙飛行士になりたかった。
高校では、バンドを組んで武道館を目指してた。
大学では、自分で起業すると決めてた。
でも今は、誰かに指示されるままに働いている。
「夢」と呼べるものは、気づけばどこかへ消えていた。
そんな夜、寝かしつけのあと、娘がぽつりとこう言った。
「パパは、なにになりたかったの?」
突然の問いに、言葉が詰まった。
“なりたかったもの”は、思い出せる。でも、
“なりたいもの”は、今すぐに出てこなかった。
「うーん、昔はね、絵本を描きたかったなぁ」
と、照れ隠しに笑いながら言ったら、
娘は「それ、いいじゃん!やろうよ!」と目を輝かせた。
まるで、世界で一番純粋な“応援”だった。
その瞬間、不思議な感覚がした。
39年生きてきて、ようやく“心が動いた”感じ。
大げさに聞こえるかもしれないけど――
あれが、僕の人生の「はじまり」だったと思う。
人間の遺伝子上の寿命は、38歳までなんだって。
39歳は、生まれ変わった“新しい自分”だと考えてみると、
この日が、僕の“再スタート”の日になった気がする。
それから、少しずつ描きはじめた。
ペンを持つのは久しぶりで、最初は下手だったけど、
娘が「かわいい!」と笑ってくれるだけで十分だった。
「それ、もっと描いてよ」
「次のページはどうなるの?」
「パパ、ほんとに絵本作ったら?」
そんな言葉に背中を押されて、
今では、夜の30分を“自分の時間”として確保している。
テレビを見る時間を削った。
スマホを触る時間も減った。
でも、心は満たされている。
もしかしたら、人生は「39歳から始めても遅くない」のかもしれない。
いや、むしろ「本当に生きたい人生」が始まるのは、
“誰かに背中を押されたその日”なのかもしれない。
そして、僕にとってその背中は、
ベッドの中で布団にもぐりながら、「やろうよ」と言ってくれた
小さな“娘の手”だった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
誰かの一言で、ふと心が動くことがあります。
このお話が、そんな“きっかけ”のひとつになれていたら嬉しいです。
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また別の物語でお会いできたら嬉しいです。
