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自民党の政策を調べてみた話 その11

このシリーズでは、自民党が掲げている政策をひとつずつ取り上げ、あえて批判的な視点を持って読み解き、私なりに考えています。あくまで個人的な見解ですので、当然ながら賛否両論あるかと思います。だからこそ、これを読んでくださった方々も、ぜひご自身で実際の政策集を開いて、その行間を読んでみることをおすすめします。

今回注目したのは、経済安全保障の項目にある「貿易管理」と「対内投資審査」に関する次の一節です。

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1 強い経済で笑顔あふれる暮らしを。経済安全保障

安全保障の観点から、安全保障貿易管理の現行制度に基づき柔軟かつ迅速な対応を行うとともに、昨今の先端技術輸出や迂回輸出などの課題に対応するため、官民で連携した技術管理強化のための具体的措置を講じるなど、新たな貿易管理の在り方の検討を進めます。また、投資促進と投資管理強化のバランスを大前提として、日本版CFIUSの創設も含め対内投資審査を高度化します。
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現在、世界を見渡せばロシアとウクライナ、中国と台湾、アメリカ・イスラエルとイランなど、緊迫した情勢が続いています。日本で報道されていないだけで、世界中には多くの紛争や課題が溢れているのでしょう。

日本という国が、こうした紛争に不当に巻き込まれないよう細心の注意を払い、未然に防ぐ策を講じることは、政府の極めて重要な責務です。そのため、政策の書き出しが「安全保障の観点」から始まっていること自体は、一見すると非常に全うなことに思えます。

ここで語られている「安全保障貿易管理」とは、簡単に言えば、日本の優れた技術や物品が、他国で戦争やテロに使われないように監視・制限する仕組みのことです。例えば、高度な計算ができるチップや精密機械が、輸出先の国でミサイルの誘導装置に転用されるのを防ぐといった具合です。また「迂回輸出」への対策とは、一見平和な第三国を経由して、最終的に紛争国へ物資が流れる「裏ルート」を塞ごうとする試みです。

これらを「官民で連携」して進めるとしていますが、この「民」とは一体誰のことでしょうか。

実質的には、輸出を主力とする大企業や、それらが組織する「日本経済団体連合会(経団連)」を指していると考えるのが自然です。つまり、ここでいう連携とは、私たち一般の日本国民の声を聞くことではなく、巨大な法人の利害関係を調整することを意味します。

軍事転用を防ぐための規制は平和のために必要ですが、ここに「米国の意向」が絡んでくると、話は途端にきな臭くなります。

周知の通り、日本政府は日米合同委員会などを通じて、米国の戦略的な要請を拒否できない構造にあります。2025年3月には、ヘグゼス米国防長官が、台湾海峡を含む西太平洋で有事が発生した際、「日本は前線に立つことになる」と明言しました。つまり、もし米国が関わる戦争が起きれば、日本はその「盾」や「防波堤」として最前線に送り出されるということです。

こうした背景を前提に「新たな貿易管理の在り方の検討」という言葉を読むと、それは平和のための規制ではない気がします。むしろ米国を中心とした軍事ブロックを強化し、有事に備えて物資や技術をいつでも軍事動員できるようにするための準備ではないか、という疑念が湧いてきます。

イラン周辺の緊張についても、政府は自衛隊派遣について「具体的な約束はない」と述べるにとどめています。「派遣しない」と断言しないのは、米国からの要請があればいつでも協力できる「含み」を持たせている証拠ではないでしょうか。

さらに、政策の後半にある「日本版CFIUS(シフィウス)」の創設についても見ていきましょう。

CFIUSとは、米国において「対米外国投資委員会」と呼ばれる組織です。安全保障を理由に外資による国内企業の買収を阻止する強力な権限を持っています。最近では、日本製鉄がUSスチールを買収しようとした際、バイデン大統領の権限でストップしたニュースが記憶に新しいところです。ただその後、トランプ大統領の権限で買収が認められました。

日本もこれに倣って、外資による日本企業の経営権奪取を防ぐ組織を作ろうというわけですが、本家米国との違いが気になります。米国のCFIUSには買収を「禁止」する強い力がありますが、検討されている日本版では「修正・中止」の勧告に留まる可能性が指摘されています。果たして、大切な国内企業や技術を守るための実効性がどこまであるのでしょうか。

それ以上に矛盾を感じるのが、この日本版CFIUSで審査を「高度化」する一方で、政府が「対日直接投資(外資による日本への投資)」の目標額を異常なほど引き上げている点です。

当初、2030年までの目標額は100兆円でした。ところが、最近の政府資料(対日直接投資促進プログラム2025)を見ると、その額は120兆円、さらには2030年代前半までに「150兆円」まで膨れ上がっています。

「高度化」の詳細は不明ですが、これだけの巨額投資を呼び込むためには、外資に対して相当な「アメ(優遇措置)」を与える必要があります。一方で、円安や物価高で弱り切った日本の中小企業は、喉から手が出るほど資金を欲しています。この状況で投資を「促進」すれば、結果として日本の中堅・中小企業が二束三文で外資に買いたたかれ、売却されていく未来が見えてきそうです。

「対日直接投資推進会議」のメンバーを見て、私はさらに違和感を覚えました。メンバーには、ボストン・コンサルティング・グループ、在日ドイツ商工会議所、アフラック生命保険といった、外資系企業やその代表たちが名を連ねています。

日本の経済安全保障を議論する場に、なぜこれほどまでに外国の利害関係者が深く関わっているのでしょうか。

まるで、自分たちの買い物をよりスムーズにするためのルール作りを、買い手自身が主導しているかのようです。これでは「日本を守る」どころか、「日本をいかに効率よく売り飛ばすか」を話し合っているように見えても仕方がありません。

非常に穿った見方で要約すれば、この政策は、自民党と経団連によって軍事的な貿易のハードルを調整しつつ、日本版CFIUSという名の「管理窓口」を設けることで、疲弊した日本企業を外資へ引き渡すための巨大なプラットフォームを構築しようとしているのではないか。そんな危惧を抱かざるを得ません。

「笑顔あふれる暮らし」を実現するためには、その土台に「安心して生活できる平和」と「自立した経済」があることが必須条件です。2030年に向けて、外国企業からの150兆円もの投資を呼び込む仕組みをつくり上げようとしています。それなら現在、インボイス制度や物価高、エネルギー高騰で悲鳴を上げている日本の中小企業に対してこそ、その150兆円に匹敵するような支援と投資を行うべきではないでしょうか。

国の宝は、最先端のミサイル技術や外資からの投資額ではなく、日々額に汗して働く国民と、地域を支える中小企業のはずです。いつの世も政治家がはじめた戦争の犠牲になるのは、国民です。私はお花畑と言われようとも、武器ではなく外交による解決を、そして平和を強く願わずにはいられません。

私たちは「安全保障」という言葉の響きに安心することなく、その中身が本当に「国民の生存」を守るためのものなのか、それとも「特定勢力の利益」のためのものなのかを、常に厳しい目で見極めていかなければなりません。

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