閑話休題 : 僕が作ったABC-K6モデルと金融商品
― この算数式が「扱える商品」と「扱えない商品」
ここまで僕は、ABC-K6モデルという算数式を使いながら、未来・確率・時間についての話を続けてきた。
ここで一度、立ち止まって整理しておきたい。
このモデルは、どんな金融商品と相性が良く、どんな金融商品とは原理的に相性が悪いのか。
これは優劣の話でも、おすすめ商品の話でもない。
あくまで、K6という計算構造が前提条件として「扱えるか・扱えないか」その境界線の話だ。
K6が前提にしている、たった一つの条件
まず最初に、結論から書いておく。
K6は「未来が途中で終了しない金融商品」だけを扱える前提になっている。
K6が計算しているのは、「儲かるかどうか」ではない。
それは評価額の時系列のレプリカそして、その中に現れるDD(下落)と回復までの時間だ。
そのためには、時間が途中で強制終了しないという前提条件が不可欠になる。
K6と最も相性が良い金融商品
◎ インデックスファンド(現物取引)
たとえば、
• S&P500
• NASDAQ100
• 全世界株式インデックス
• TOPIX
こうした複数企業の集合体として構成される商品。
K6との相性が良い理由は、
とてもシンプルだ。
• 投資対象が一社ではない
• 個別企業の失敗が平均化される
• 市場構造そのものが長期継続を前提としている
つまり、確率構造が比較的安定している。
暴落は起きる。
長い停滞も起きる。
それでも、
「市場そのものが崩壊消滅する」
確率は極めて低い。
K6は、こうした金融商品に対して、
• DDの深さ
• DDの頻度
• 回復までに要する時間
を、時系列として最後まで観測できる。
但し、以上の特徴から株式インデックスファンドでもベア型/インバース型と呼ばれる商品には、K6の前提条件から相性は悪い事は自明になるだろう。
K6と相性が微妙な金融商品
△ 個別株(現物取引)
個別株は、K6で「完全に扱えない」わけではない。
ただし、前提条件が一気に難しくなる。
なぜなら、個別株の未来を決めるのは、
• 事業戦略
• 技術革新
• 規制
• 経営判断
• 競合環境
といった、
物語的・非確率的要素が支配的になるからだ。
これらを「未来確率」として数式に落とすことは、原理的には可能かもしれない。
だがその多くは、モデルというより仮説の集合体になる。
K6が得意なのは、「文明や市場の集合的な偏り」を扱うこと。
一社の命運を左右する決断を、
安定した確率構造として扱うのは、
どうしても無理が出やすい。
K6と相性が悪い金融商品
ここからは、はっきり線を引いておく。
✕ 債券
✕ 外貨(FX)
✕ 暗号資産
✕ 金・石油などのコモディティ
✕ VIXなどの派生指数
✕ 株式のアクティブファンド
これらに共通するのは、
時間が味方にならない構造を持つことだ。
• ゼロサム、もしくは循環構造
• 成長が自己増殖しない
• 期待値が長期で安定しない
K6は、「時間が経てば必ず報われる」
という未来を保証するモデルではない。
だが少なくとも、時間が続くことで確率が積み重なる構造を前提にしている。
アクティブファンドも同様だ。
• マネージャー交代
• 方針転換
• 生存バイアス
時間とともに、確率構造そのものが変質していく。
これは、K6にとって最も扱いづらいタイプの対象だ。
ここまでの整理
ここまでを一言でまとめるなら、こうなる。
• K6は「価格」ではなく「時間」を扱う
• 時間が途中で断ち切られる商品は扱えない
• 集合体として成長する市場と相性が良い
次に扱うのは、ここで多くの人が混同しがちなテーマ「レバレッジ」だ。
同じレバレッジでも、
「時間が続く商品」と
「途中で終わる取引」は、
本質的に別物である。
後半では、
• レバレッジETF(例:レバナス)
• ETFの信用取引
• CFD
これらを
精算期限・追証・ロスカットという軸で、K6の視点から整理していく。
———
レバレッジ商品の誤解
― 仮にレバレッジが同列に「3倍」でも、時間の扱いはまったく違う
ここから先は、
K6モデルを語る上で、どうしても避けて通れない話だ。
それは、
レバレッジ商品は、すべて同じではないという事実。
多くの人は、
「レバレッジ=リスクが高い」
という一言でまとめてしまう。
だがK6の視点で見ると、
重要なのは倍率ではない。
時間が継続できるかどうか
ただ、それだけだ。
レバレッジETF(例:レバナス)は「商品」
まず、TQQQに代表されるレバレッジETF。
これは、金融商品だ。
• 精算期限がない
• 追証がない
• 強制ロスカットがない
• 市場に上場し続ける限り、取引が継続される
重要なのはここだ。
価格がどれだけ下がっても、
時系列は途中で途切れない
米国市場ではサーキットブレーカーが存在する。
1日で市場全体が一定以上下落すると、取引は強制停止される。
この制度がある以上、TQQQは原理的にゼロにならない。
正確には、制度設計上「連続的な価格形成が維持される限り、評価額が有限値を保つ構造になっている」という意味での「ゼロにならない」だ。
時価資産評価額は、限りなく小さくなるかもしれない。だが、「消滅」はしない。
K6モデルに適合させる際に、これは絶対的に重要な性質だ。
信用取引・CFDは「契約」
一方で、QQQを3倍にして運用する方法は、他にも存在する。
• ETFの信用取引
• CFD
だが、これらは商品ではない。
契約だ。
そして契約には、
必ず終わりがある。
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決定的な違い①:追証
信用取引やCFDでは、
評価額が一定水準を下回ると、
• 追証の要求
• 追加資金の入金
が発生する。
入金できなければ、その時点で強制決済だ。
信用取引やCFDで重要なのは、「価格が底に達する前に、市場から退場させられる」という点。
K6モデルが観測したいのは、
• どれだけ深く下がったか
• どれだけ長く停滞したか
• そこから回復するまでの時間
だが信用取引やCFDでは、DDの途中で時系列が切断される。
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決定的な違い②:ロスカット
ロスカットは、
「守ってくれる仕組み」ではない。
K6の視点では、未来を観測する権利を奪う装置だ。
• 一時的なパニック
• 流動性の消失
• 急落と急反発
こうした場面で、
最も重要な「底からの回復過程」が
観測不能になる。
レバレッジETFなら、たとえ地獄のようなDDでも、その後の回復を最後まで見ることができる。
だが信用取引やCFDでは、その前に終わる。
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決定的な違い③:精算期限という時間の壁
信用取引には、明確な期限がある。
CFDもまた、ポジション維持にコストがかかり、事実上の時間制限が存在する。
これは、K6の前提と真っ向から衝突する。
K6は、時間を延ばすことで未来が救済される確率を観測するモデルだ。
だが、時間が延ばせない契約では、その観測自体が不可能になる。
同じ「レバレッジ3倍」でも、別の生き物。
ここで、
整理しておこう。
◯レバレッジETF(レバナスなど)
•精算期限
→無し
•追証
→無し
•強制ロスカット
→無し
•時系列の継続
→有り
•K6との相性
→良い
◯信用取引/CFD
•精算期限
→有り/CFDは取引所による
•追証
→有り
•強制ロスカット
→有り
•時系列の継続
→無し
•K6との相性
→悪い
K6がレバナスを扱える理由
K6モデルは、レバナスを「安全な商品」だとは言わない。
DDは深い。
回復には時間がかかる。
精神的にも厳しい。
だが、どれだけ厳しくても、未来が途中で終わらずに多様なシナリオで時系列データを提示してくれる。
この一点だけで、K6にとってレバナスは未来を評価するためではなく、未来と向き合うための対象として
シミュレーションモデルに含めることができる。
(追記)
本記事は、資産運用に内在するリスクを楽観的に矮小化したり、特定の金融商品や具体的な投資行動を推奨・指南する意図はありません。
本記事に記述したABC-K6モデルに対する各金融商品の例は、記事執筆時点の各種取引のルールまたは商品説明などをもとに、僕が考察した内容であり、将来にわたる普遍的な正しさなどを主張する意図はありません。

