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【スロウハイツの神様(上・下)】読書感想文 #辻村深月の本全部読む⑨

【感想】

大きな事件なく、それぞれの日々を描いたヒューマンドラマで、近い作品としては「島はぼくらと」みたいな感じ

出来事とそれに伴う関係性の変化をとうとうと語っている感じで、内心に深く踏み込んだ描写が比較的少ないように思ったので、そこまでめっちゃ感動とかそういうのはしなかった

なので、ファン評価高い作品だけど正直そんな言うほどかなあって思ってたら、最後の100ページで全てが変わった、辻村深月、天才だわ

辻村深月、小説を作るのが上手すぎる、ファン評価高いのも頷ける、俺は他の作品の方が好きだけど、これも素晴らしい作品だと思います。

【気になったところ】

私の大切なものを、そこに価値を払わないお前らが分析するなよ。

下巻 297ページ

「現実のエンタメ消費」について、辻村さんはいろんな作品で諫めているように思います。1番覚えてるのはぼくのメジャースプーンでのうさぎの事件ですね

自分自身も気をつけなきゃなと改めて考えさせられました。

擁護する目線と、非難する視線は、いつだって後者の方が優位だ。非難の前にそれを庇う反論の声はあまりに無力だ

付随してこれも、非難の方が声が大きく見えるけれど、実際はノイジーマイノリティなだけで大多数は擁護してる状況、今の現実社会でもよく見られるよなあ

【回想】

作中に出てくる「チヨダ・コーキ」の作品には熱狂的なファンがいる一方で、それを貶す意見やマイナスイメージを植え付けるメディア報道もあったりして、また中高生から絶大な支持を受けていて、それでも自然と大人になるにつれて読まなくなって

我々世代におけるそれって、思い出すのは宗田理の「ぼくらシリーズ」なんですよね、「ぼくらの七日間戦争」に代表される、中学生を主人公とした勧善懲悪ストーリー。僕も読んでたし、僕の周りの同級生も読んでいた。そして高校生くらいになるにつれて自然に読まなくなる。「ぼくらシリーズ」を読むことをあんまり良しとしていなかった大人の雰囲気もなんとなく覚えています

なんか思い出して懐かしい気持ちになったな、読んでたな、ぼくらシリーズ

【クロスオーバーを感じたところ】

まず、読まれなければ話にならない。いい話、いい本があるなら、それが読まれるように誰かが試行錯誤する必要があるんだ。利用できるものを利用して何が悪い?

下巻 291ページ

編集者黒木の発言がこれです。もうなんか言ってることめちゃくちゃハケンアニメの行城プロデューサーなんだよな
トウケイ動画っていう単語も作中に出てきたし、行城さんと繋がりがあるのかもしれない

【さいごに】

この作品にもさっき挙げた他に凍りのくじらの芦沢さんとか島はぼくらとの環さんとか他の作品の登場人物が出てきてて、辻村さんのそういうクロスオーバー的なやつを見つけると本当に嬉しいし楽しくなる

なんか、辻村深月って最高だな


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