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【子どもたちは夜と遊ぶ(上・下)】読書感想文 #辻村深月の本全部読む⑧

8冊目ですが発刊の時系列で言えば2冊目、ミステリー色強めの作品です


正直言えば難しい作品でした。話の中心人物も時系列もコロコロ変わるし、入り組んでいて難しかった

でも、面白かったです。いい作品だと思います。

【初期作品に通底する"悪意"について】

「凍りのくじら」や「メジャースプーン」からも感じましたが、

「世界にはどうしようもない悪意があって、そこに正義はなくて、純然たる悪意のみで行われる行為があって、私たちはその存在を知った上で受け入れて生きなければいけない

これを「子どもたちは夜と遊ぶ」からも感じました。

自分の快楽のために簡単に人を傷つける人間が当たり前のように存在している、人間っていい人ばかりではまったくもって無くて、悪意に満ち溢れた最悪な人間もいっぱいいる

それが初期の辻村さんが徹底して伝えているメッセージだと思っています。

【「理帆子」と「月子」の類似性について】

彼女を怒らせて衝突するより、全てを容認するふりをして笑っている方がずっとずっと楽だから。

上 114ページ

これはこの作品で月子が言っていたことですが、「凍りのくじら」の理帆子も似たようなことを言ってましたね。

初期作の主人公にこういう通じるところがあるのは、なんか上手く言い表せないけどなんか良いな

辻村さんがこういう主人公を書くのが好きなのか、それとも主人公間に通じる部分をファンに見つけてもらって喜んでもらおうとしてるのか、

辻村さんはファンのために過去作とリンクさせて作品を書くことが多いと聞いたことがあるので、後者の可能性もあるのかな


ああ、この人は本当はこんなに弱くてかっこ悪いんだ。そう思ったら駄目でした。私、浅葱を好きになってしまった。そばにいたいと思ってしまった。

下巻 239ページ

これも理帆子と近いことを言っている

この人の弱いところを知ってるのは自分しかいない、この人を支えられるのは自分しかいない、この人には自分しかいない

理帆子も月子もこんなふうに考えてるのかな

弱くてかっこ悪いところを見て、その人を好きになる」っていうことについて、そんなこと本当にあるのかなって思ってたんですが

月子も理帆子もそうなんだとしたらそういうタイプの人もいるんだなって納得できる気がする

「蛙化」って言葉が流行ってるくらいだし、大多数は違うんだろうけど、一定数そういう人も存在する。

【「復讐」について】

人間になんて、唐突に終わりが来るということ。それを思い知らせて、ささやかな復讐をしたい

上 244ページ

僕個人の話をすれば、僕は自分自身の人生にそこまで意味を見出せていなくて、「生きていく中でこの人のために頑張るっていう人を見つけて、その人のために頑張って、人の役に立って、人生の終わりを迎えられたらいいな」っていう感じなんですけど、

まあそりゃ逆もあるよね、自分自身の人生がどうでもいいから、「不幸であるべきなのに幸せでいる人」を道連れにして死のうって考える人もいる。

「ぼくのメジャースプーン」の中で「自分にとって一番大切なものを自分の手で壊させるのが一番の復讐」「相手が幸せになればなるほどそのタイミングでの復讐が効果的になる」みたいな話があったんですけど、

「復讐」のあり方について、この作品を読んでる中でもいろいろ考えさせられました。

【その他】

人間てのは、大好きな人が最低一人は絶対に必要で、それを巻き込んでいないと駄目なんだ。そうでないと歯止めがかからない」

下巻 175ページ

別に恋愛に限らず、家族でも親友でも、本当に大好きな人がいないとダメっていうのは僕自身も思っていて、自分だけのための人生っていつか限界が来るんだろうなって思っていて、

そんな俺のエゴのために人を巻き込むのはどうかと思うけど、それでも俺は誰かのためじゃないと頑張れないし、自分だけのために人生を生きられない

【最後まで読んでの感想】

これまでの作品で一番救いがなくて、いちばん辛かった、うわ〜〜〜〜〜〜〜〜って、言った

大切なものを自分の手で壊すのが、1番辛いんだよ

これ、ミステリを読み慣れてる人ならこのトリックって気づいてるのかな

俺はもうめちゃくちゃびっくりした、言われてみれば、なるほどね

あとはこの作品を語る上で欠かせない月子のあのシーン
メジャースプーンを読んでいるか読んでいないかで感じ方が変わるあのシーン

すごい作品です、この作品

iとかθの正体についての着地は、まあ落とし所としてはそうなるかって感じの結末だったんですけど、正直そこらへんはどうでもよくて、そこより俺は月子のあの行動に心を打たれた

あともう一個だけ、月子はちゃんと紫乃と友達だったんだね

【さいごに】

世間では、「子どもたちは夜と遊ぶ」を読んだ後に、「ぼくのメジャースプーン」を読んだ方がいいと言われていますが、僕は逆の順番で読んで全く後悔していません。

「ぼくのメジャースプーン」で語られていた話の真実が、そこにあった意志が、「子どもたちは夜と遊ぶ」の中にありました。


作品単体評価だと他の作品の方が好みですが、「ぼくのメジャースプーン」と「子どもたちは夜と遊ぶ」のコンボで考えるとかなり上位に来ます。絶対に2冊合わせて読んでほしい、素晴らしい作品でした。

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