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【星を編む/凪良ゆう】読書感想文

「汝、星のごとく」の続編です。前作はもう最高最強天才神王様だったので、今回もとっても楽しみ。


【感想】

作品単体で完結してるというよりは完全に汝、星のごとくの補完作品って感じでした。

前作のエピローグが3つ入った短編集って感じ、汝、星のごどくありきの話なのでこれ単体での評価は難しいな

【第一章 春に翔ぶ】

櫂と暁海に場所と道具を用意した北原先生。なんでそんなことをしたか、この本を読んで補完されました

北原先生が前作の見え方と全く違って見える。それが正しいかはさておき、他人って一面しか見えてないんだなって気付かされた。なるほどね


北原先生の両親の生き様を見ていて、善人とお人好しは違うよなあって考えさせられた。

自分の落ち度を過大評価して相手の落ち度を過小評価して、その結果自分が悪いと考えて人に施しを与える、そして自分がどんどん弱っていく。

それで勝手に自分が衰弱するだけならいいけど、それで子供に迷惑をかけるのは絶対に違う、世界平和より大切なのは仲間の安全であり、例え自分の子供を差し出せば100人の命が助かると言われたとしても、毅然とした態度でそれを断るのが親のあるべき姿だと思うのです

お人好しであることは勝手だけれど、それで身内に迷惑をかけるのは絶対に違う。それはお人よしであることを身内に強要してるのと同じだから。


俺は、大切なものを守るために狡猾でありたい、大切なものを守るために人より優れたい、騙されたくない

善人になんてならなくていい。万人にどう思われてもいいから、自分の大切なものを見失わず、守り抜きたい。


情けは人のためならずだ。
(中略)
けれど今の時代、善であることと弱者であることは、時に同じ意味を持つ。

自分の息子を蔑ろにして自分のキャパを超えて金を貸すこと、自分の体調のキャパを超えて人のために行動して事故を起こして亡くなること、これって善なんですかね

俺は、たとえ世界を救うヒーローだとしても、身内を不幸にさせる人間は悪人だと思っています

身内に迷惑をかけたとしても、その身内が迷惑だと思っていなければいいんです。ヒーローが世界を救うことを自分ごとのように喜べる身内であれば、その家族の形であればいいんです。でも家族がそう思えていないなら、そのヒーローは悪人です。


そして僕は北原先生も善人だとは全く思いません。

他人のために身内を顧みないことと同じくらい、他人のために自分を顧みないことは悪だと思います。

自分のキャパを超えて人を助けたとしても、助けられた側の心に傷が残ります。自分が人の人生を歪ませたというトラウマを持って生きさせることが善なのでしょうか。

人を守ることだけを自分の生きる軸にするのは歪んでいます。自分のためと人のため、両方ないと崩壊すると思います


とはいえ、北原先生も、明日見さんも、善悪はさておき、幸せなんだと思います。

悩み悩んで選んだ選択肢が世間の常識から外れていたとしても、それが不幸に見えたとしても、自分の意思で選んでその道を進めたのならそれは幸せだと思っていいと思います。

自分自身の意思で道を選ぶこと、さらには社会通念と違う道を選ぶこと、これって現代社会でとても難しいことです。

しあわせはいつもじぶんのこころがきめる、私が今が幸せって決めたら、それには誰も口を挟ませない

ぼくたちには未来を選ぶ権利がある。それがご両親の望みや世間一般の幸せと違っていても、きみの幸せは君が決めるものです。


【気に入ったフレーズ】

「きつねも食べたいです」
ああ、はい、とぼくのどん兵衛と取り替えっこをした
「ふたりいてよかったですね。どっちの味も食べられる」

次のどん兵衛のCM、これでいいじゃん

【さいごに】

「結婚」をキーワードとして、社会通念とは違くても自分の考える幸せのかたちを追い求めた1個目と3個目の話と、社会的な幸せのかたちを尊重した2個目との対比で、小説として綺麗な構成でした

ただあくまで汝、星のごとくの補完作品なので、作品単体としてはそこまで大絶賛ってほどではありませんでした。

汝、星のごとくありきの作品としてはいいけど、作品単体としては物足りない
明確に続編、なんなら汝、星のごとくと星を編むを上下巻として出して欲しかった

辻村深月のツナグは、続編のタイトルを「ツナグ〜想い人の心得〜」として出してて、このくらいしちゃってよかったと思うんですよね、「星を編む」も。

ただ、何度も言うけれど補完作品としてはめっちゃいい、汝、星のごとくを読んだ時の心のドキドキを思い出せました。

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