【水底フェスタ】読書感想文 #辻村深月の本全部読む㊴
本作はヒューマンドラマでもあり心理小説でもミステリーでもあり、それでいて恋愛小説でもある、ハイパーワンプレート作品です
「島はぼくらと」や「太陽の坐る場所」にあったようなムラ社会の閉塞感や、「オーダーメイド殺人クラブ」や「凍りのくじら」で書かれていたような身の回りの人間の俗物感への嫌悪感と唯一感、「盲目的な恋と友情」で描かれたような危うい沼のような大人の恋愛描写もあります。
第二章の終わりから、物語が動き出します、本当に、面白い
辻村深月の持てる力を最大限注ぎ込んだ大傑作、それがこの水底フェスタです。本当に素晴らしい作品。
【個人的に気になったところ】
結局のところ、市村は自分が傷つかない道を選んでいるにすぎない。
門音が広海から離れることと彼の問題はまた別だ。これは、そういう「男の純情」なるものを演じることで日常を楽しもうというRPGだ。
小田急と会社と高校の友達だけで完結する人生って正しいのかしらと時々考えることがあります。
ぼくはいろんな体験や経験をしたいと言いながら、人間関係だけはあまり積極的に広げようとしてきませんでした。
自分の世界を広げたいと感じるこの欲求って、遅くとも大学までのうちにある程度折り合いをつけるべきものだよな
言われてみれば僕自身も高校のころ「「男の純情」なるものを演じることで日常を楽しもうというRPG」をしていたので、このフレーズは当時の自分を言語化されたようで刺さりました。
【感想】
言ってしまえば超イヤミスで、出てくる登場人物全員のことをうっすら嫌いになります、救いがないし読んでいて気分が悪くなるけど、本当に面白い作品です
作品としての完成度がめちゃくちゃ高いです。人がいっぱい出てくるので相関図を作るのが難しいですが、とにかく、本当に面白い
恋愛の描写もゾクゾクさせられて、読者全員主人公の広海くんに自己投影してドキドキしてたんだろうなって思いました。こんな魅力的な人が近くにいて、溺れないわけないよな、ましてや広海くんは高校生、そんなんもう、秒殺ですよ
村社会の嫌な感じを解像度高く書いていて、辻村さんってこういう村出身なのかなって思うくらい、圧倒的な心理描写とヒューマンドラマがありました。
これほんとすごい作品だな、辻村深月は閉塞感の中での心理描写や、閉塞環境でのヒューマンドラマを描くのが本当にうまい
これイヤミス好きな人全員読んでほしいな、相当完成度高い作品です
これほんとすごい、みんな読んで
