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【ファイア・ドーム】読書感想文 #辻村深月の本全部読む㊸

「#辻村深月の本全部読む」を始めたのが1年半前、そして全部読み終えたのが半年前

辻村深月が出している本は全部読み終え、読書感想文を全て書き、待ち侘びていました。待望の新刊です

この「ファイア・ドーム」という作品。「この夏の星を見る」以来の長編作品です

とっても楽しみにしてました

感想(ネタバレなし)

作品の形式はミステリ群像劇です。

早い段階からもう面白いです、「面白そうな雰囲気」が最初からずっと漂っています。

キャッチーなフレーズで引きこんだりするのではなく、ミステリの種やヒントを散りばめてゆっくりじっくり辻村深月沼に落としていく、辻村深月の真骨頂がこの小説にも現れていました

初期の辻村作品は前半にじっくり情景を描いて面白くなるのは後半からの作品が多かったので、人に勧めづらいところもありましたが(スロウハイツとか)
今の辻村深月って掴みが早いから現代人に合いそうですよね、勧めやすい

ただ、話の重さは過去一と言ってもいいです。とんでもない、重すぎ

上巻の重たさで言うともう「子供たちは夜と遊ぶ」とか、それ以上。ずーっとずーっと重いので読んでて本当にきついです

物語的な作られた重たさじゃなくて、リアルであり得そうな重さなのが本当に辛い、すごいなこれ

上げて落とすんじゃなくてずっと落ちてる、だからこそ読んでて辛い

あんなに楽しみにしてた辻村深月の新作だったのに、読み進めるのがしんどくなっちゃいました

作中テーマについて

田舎のムラ社会をフィールドとして、「現実・他人の不幸のエンタメ消費」を描く、辻村深月が得意とするジャンルです

メジャースプーンや名前探しの放課後、スロウハイツあたりからの後継作品って感じがしますね

この人も 興奮している。 身近で起きた非常事態に 「事件」に、自分が間接的にでも関わっているとちう事実に。

上 266ページ

「現実・他人の不幸のエンタメ消費」について、「メジャースプーン」や「名前探しの放課後」などいろんな作品で出てきて苦言を呈している印象があります。「スロウハイツ」でも描かれてましたね
「水底フェスタ」や「島はぼくらと」、「太陽の坐る場所」あたりから見えるムラ社会の閉塞感も見えます

大事件の参加者に自分もなりたいから噂を撒いてしまう、こう言う風潮は確かにありますよね

感想(ネタバレあり)

作中みたいに自分の彼女がネットで誹謗中傷受けてたら俺耐えられないかもな

それも事実無根で有る事無い事書かれてたら、めちゃくちゃムカつくし、自分の発信力の無さに落ち込むんだと思う。文春とかより自分の方が発信力があれば彼女を救えるのに!って思いそう

有名人であれば、嘘のネット記事に対して反論もできるけど、有名人じゃないと嘘を書かれたら泣き寝入りしなきゃいけないの、嫌な社会だよな

それも事実無根じゃなくて、事実とあってるところもあるけど間違いもあるとか、事実を悪意を持って書いてるとか、ニュアンスが違うとか、そう言う場合はもう言い返せないし、ひどいよな


「悪意」の恐ろしさも感じたし、「純粋」の恐ろしさも感じた。純粋というより、無知に近いのかな?読んでてほんとうにイライラしちゃった、ほんと読んでてむかついた、全員に

「嫌な人キャラ」はいないんだけど、全員の人間としての嫌なところがめっちゃ出てて、結果的に全員嫌いになるからすごい、めっちゃ嫌な作品、いい意味で


「なんかいつのまに巽くんが両方の犯人みたいになってるけど巽くんは監禁とは無関係じゃない?」とは読み進めてて思ってた
そもそも中盤の展開と描写が露骨な擬似晴天すぎて何かありそうだなとは思えるし

下巻入ってからどんどん盛り上がって行くと思いきや、少しペースダウンしました、序盤からハイペースに面白かったから仕方ないけど、後半少し中弛みしたような印象。

1番のどんでん返しも、衝撃!!!!!!!って感じじゃなく、スッと受け入れられた、なるほどねって感じ

展開とか文章は面白いですが、ミステリ要素の部分での驚きは少なかったかなという印象です。

なんというか、中盤でピークが来て、その後のエピローグがすごい長い作品って感じでした

さいごに

辻村深月のここまでの本格長編は久しぶりなので読んでて楽しかったです
これからの作品も楽しみ

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