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【盲目的な恋と友情】読書感想文 #辻村深月の本全部読む⑳

汝、星の如くと同じような倒叙形式で、作品の雰囲気や流れもよく似ていました。

あの作品の重いところや嫌なところを煮詰めて凝縮した作品、めっちゃ嫌な作品だったけど、好きな人は好きなんだと思う。

俺は好みではないけれど、いい作品だと思う。

第一章「恋」

大学オケでの指揮者と部員の禁断の恋、テーマはもう百点すぎますよね、僕は大学時代はオーケストラはやっていなかったけれど中高で音楽系の部活に入っていたし、そこで部内恋愛みたいなこともしていたから、ある程度感情移入もできる

でも作品前半は読んでてしんどかったなあ、性描写も他作品と比べても多くて重くて、ガトーショコラをホールで食べてるみたいな感覚になった

指揮者と部員なんて禁断の恋と言えば禁断の恋で、でも恋愛のモチベーションは単純で、それでいて描写はガトーショコラで、重重で、すごい話だったな

お互いの美しい顔と禁断の恋という環境をモチベーションに恋愛をしてる2人は完全に「恋に恋してる2人」で、見ててもはや清々しかった
蘭ちゃん側は彼氏の指揮者というステータスと顔に、星近さん側も彼女の顔と有名な母の娘というステータスに惹かれていて、こんなに需給がピッタリ合うことあるんだってなった
章題の「恋」だけど、確かにこの2人の関係は紛れもなく「恋」で、「愛」ではないよなって。良い章題つけたよなあ


いつまでも、その頃の甘い思いに浸っていたい、ここに縋り付いていれば大丈夫、と人の心を蝕む甘美な思い出。
たとえもう、そこに甘い味など残っていなくても。

47ページ

過去を今に活かしているなら良いけれど、過去に縋り付くのは良くないよなあ
でも、よくないと分かっていても、人生がうまくいっていない時ほど縋ってしまうのが甘美な思い出だよなあ
他人から見たら愚かに見えても、自分にはそれしかないから、縋るしかない、努力して今を充実させるのはしんどいし。

わざわざメールの最後に大仰につけた「大親友」との宛て名が薄気味悪い。

48ページ

人との関係性は変化してるかもしれない、自分の思ってるように相手は思ってないかもしれないってことは、常に気をつけなきゃいけないな
過去に親友だったのと今どう思ってるかは別問題なんだな

茂実を失うことなんて考えられない。この人が死んでしまったら、とても生きていけない。私の人生は、彼と出会い、生きていく今日のためにあらかじめ決まっていたのだと思うと、過去のあらゆる場面に生きる自分に茂実ことを教えてやりたくなる。私は、“幸せ”という運命に選ばれていた
(中略)
綻びは、それからすぐにやってきた。

52ページ

ここまで言わせる相手との間に綻びが生まれて別れることになったら俺一生この思い出を甘美な思い出として縋っちゃうと思う

前半重いな〜と思って読んでたら綻びのあともっと重くて病んじゃった、何この作品、誰が嬉しいのこれ、めっちゃ嫌な気持ちなるんだけど

美波は何度も彼氏を変えているから、わからないのかもしれない。恋愛というのは、彼女がしている、あんな、“ありきたりなこと”ではなく、私と茂実のような“特別な、かけがけのないこと”だ。
美波には、わからないのだ。

う〜〜〜〜〜〜〜〜〜わ
でも、自分ごとになるとそう考えちゃうんだろうな
でも、そんなこと言うなら美波に相談すんなよ

なんか登場人物全員愚かで、浅はかで、見てられないなこの話
でもある意味みんな被害者なのかな、あのキモ女以外、全員被害者、蘭花も、星近も。


甘美な思い出に縋る人間を嘲笑していた2人が、縋る側に回る姿は滑稽だし、笑われていた方は着実に成長していて、とてもよかった

ほんと登場人物みんなキモい、読んでられない、なにこの話、全然好きじゃない


第二章 友情

違う重さがあった、第一章の答え合わせみたいなところもあって面白かった

第一部のドロドロに比べるとなんとなく入り込めず俯瞰で見てしまう自分がいたけれど、答え合わせができて補完としていい話だった。

まあほんとに答え合わせの章だったな

清潔な世界が環境として与えられてきたのか、自分でその世界を作ってきたのかは他者からはわからないんだなあ

辻村深月は女性の影の部分や闇の部分をとても詳細に書く作家だから、第二章にその部分が存分に出ていた

雰囲気はこの作品とめっちゃ近い。

出てくる人みんな傲慢で、優越感と劣等感を抱えてて、そんな女性たちの内心のせめぎ合いが描かれた作品です。

出てくる人みんなが自分は他の人とは違うと思っていて、でも他の人の視点に移るとそんな自分が冷笑されていて、読んでて気悪かった、でも、こう言う作品好きな人は好きなんだろうな

【太陽の坐る場所】読書感想文 #辻村深月の本全部読む

感想は正直これと全く一緒かも。

「太陽の坐る場所」よりミステリ要素が効果的に入っていて、ドロドロ要素を増やしてる感じ。
五角形のグラフでいえばすごい歪な尖ったグラフなので、ある意味人に薦めやすいかも。好みが分かれそうな作品だからこそ、刺さる人には刺さるんだろうな。

さいごに

作品としては構成も練られていてミステリ要素も良いスパイスになっていて、良い作品だと思います。読後感終わってるけど、こういうのが好みな人もいるんだろうな。辻村先生らしい作品です。

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