見出し画像

公園整備と保育所保育指針

 たまたま図書館で目にしたのが、江戸川区みどりの基本計画でした。都市計画の資料というと、どこか専門的で堅い内容を想像してしまいます。しかし実際にページをめくってみると、そこに書かれているのは単に公園の面積を増やすという話ではなく、都市の中で人がどのように自然と関わりながら暮らしていくのか、という発想でした。緑を点として配置するのではなく、生活の中に連続する環境として整えていこうとする考え方が印象に残りました。

 東京都江戸川区の公園整備は、「水と緑」を軸に、防災性や回遊性も意識しながら進められています。新川や旧中川沿いの親水空間、地域の拠点となる大きな公園、住宅地の中の小さなポケットパークなど、さまざまな規模の公園がネットワークのようにつながっています。ここで重視されているのは、遊具の数を増やすことよりも、風や光、水、草木の変化といった環境そのものの豊かさです。

 江戸川区の公園の周りを散歩していると、同じ色の帽子をかぶった保育園児と思しき子どもたちが、保育士の先生に引率されて公園に散歩に来ている様子をよく目にします。列になって歩いてきた子どもたちが、公園に着くと急に表情を変え、走り出したり、木の葉を拾ったり、虫を探したりします。こうした光景を見ていると、公園という空間が、日々の保育活動の中で大切な役割を果たしていることに気づかされます。

 この姿は、厚生労働省が定める保育所保育指針の発達分野「環境」の理念とも重なります。保育所保育指針では、環境を単なる背景ではなく、子どもが主体的に関わり、意味を見つけていく対象として捉えています。自然や社会の出来事に触れ、驚き、試し、比べながら理解していく過程そのものが、子どもの発達につながると考えられているのです。

 このような視点に立つと、保育は園庭の中だけで完結するものではありません。区内に整備されたさまざまな公園へ出かけることで、子どもたちは場所ごとの違いを身体で感じることができます。広い芝生のある公園では思い切り体を動かし、木々の多い公園では音や匂いに気づき、水辺では流れや生きものに興味を持つでしょう。それぞれの場所が、子どもたちに異なる発見や問いをもたらしてくれます。

 こうして考えると、公園は単なる遊び場ではありません。区の公園整備の考え方と保育の環境観が重なり合うことで、都市全体が子どもの育ちを支える舞台になります。園舎の外に広がる多様な公園は、子どもたちが世界と出会い、関係を深めていくための大切な教育資源なのだと感じます。