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【キャリア形成】社会人で博士号取得の道のり⑥社会人博士2年目、1報目の論文の執筆と投稿について

この記事を読んでいただいている方は、博士課程や社会人博士(ドクター)に興味を持っていただいている方が多いと思います。

本シリーズはこれまで5回記事にしています。マガジンにまとめていますので、過去の記事も読んでいただければ幸いです。

まず、これまでの記事の内容について簡単に振り返ります。

社会人で博士号取得の道のり①では、チャレンジしたワケをまとめました。

道のり②では、社会人博士課程に進むにあたって最初にすべきことをまとめました。

道のり③では、研究テーマおよび大学・指導教官の選定についてまとめました。

道のり④では、社会人博士の入学試験についてまとめました。

道のり⑤では、社会人博士1年目の生活の実際についてまとめました。

本記事では、社会人博士2年目の生活の実際と論文の執筆と投稿についてまとめました。

1. 社会人2年目の生活の実際

まず単位の方ですが、博士課程の2年では講義はほとんどなく、興味のある集中講義や研究室のゼミにたまに参加する感じでした(ゼミは大学にいないときは会社からwebで参加)。

修了要件に必要な単位はほぼ取れており、あとは修了要件に必須である専攻全体で行われる中間発表会に出るくらいでした。

上期には博士課程の単位はすべて取り終えていたと思います。

次に仕事と博士課程の研究についてですが、博士課程1年目と同様に普段は会社で業務をこなしつつ、1~2か月に1回くらいのペースで大学に行き、1~2週間滞在して実験や解析、先生方と議論するような生活を送っていました。

会社にいるときは、基本的に業務に集中し、余裕のある平日の夜に博士課程関係の研究に関する実験をしたり、土日に解析や論文執筆、資料作成などの対応を行っていました(論文の執筆については2. 初めての論文執筆と投稿の項で触れます)。

1年目に比べてリズムは掴めてきたとはいえ、正直しんどかったです。

博士課程の研究は、1報目の論文を書きながらなんとか並行して進めていましたが、少しずつデータが取れ、2年目の10月ごろに次の論文が書けそうなデータが揃っていたと思います。

一応進み方に緩急はあるものの、コンスタントに実験をしていたので、成果の発信も兼ねて、定期的に学会にも参加しました。

国内学会、国際学会ともに参加しましたが、他大学や海外の研究機関にいる研究者とも活発に議論することができ、大変良い経験になりました。

修士課程までの学生時代や会社に入ってからも学会発表の経験はありましたが、これらのときよりも有意義だったと感じています。

博士課程に進んだことで、視野が広がったことや貪欲に自身の研究の参考になる研究がないかという視点で参加していたことが良かったのかもしれません。

余談ですが、国際学会でノーベル化学賞の受賞者である某先生にお会いすることができ、そのときお願いして撮ったツーショットは宝物です。

拙い英語で話しかけましたが、慣れているのか優しく対応してくれました。

(芸能人をはじめとする有名人には全く興味がないのですが、ノーベル賞受賞者の先生には声をかけずにはいられませんでした笑)

その他、先生の伝手で、国が運営している某施設の最先端の装置を使った分析を行いにいったり、研究室の他のテーマの実験の手伝いのため、2-3日間交代で測定を行うという経験もしました。

これらのことは会社にいると簡単に経験できることはないので、博士課程に行くことでできた貴重な経験の一つでした。

博士課程の2年目にあった専攻全体で開催された中間報告会では、幸運なことに研究の内容をご評価いただき、賞をいただくこともできました。

学会賞などの大きな賞ではなく、学内の表彰ではありますが、自身の研究を評価していただけるというのは嬉しいことです。

業務との両立は本当にしんどかったですが、博士課程2年目も充実した生活を送ることができました。

2. 初めての論文執筆と投稿

この項目は色々と書きたいことがあるので、独立させました。

さて改めて触れますが、博士課程を修了するためには、(一般的には)査読付きの学術論文を投稿し、認められる(掲載される)必要があります。

学術論文が掲載されるためには、その内容に新規性がないといけませんし、その学術誌が求める内容、質をクリアしなければいけません。

論文のことについては別途記事にまとめようと思いますが、まず投稿までが大変です。

データが揃ったら論文に仕上げるわけですが、筋が通ったストーリーになっているか(ロジックに問題がないか)、主張したいことは明確か、投稿する学術誌の指定する様式になっているか、国際誌であれば英語のクオリティは問題ないか、など色んなことに気を配る必要があります。

これまで修士までに国際学会の2-3ページのshort paperは書いたことがありましたが、査読付き国際誌のfull paperを執筆したのは今回が初めてでした。

原稿と図表を作成したら、先生に内容を確認いただき、指摘内容を修正するというラリーを10回以上繰り返し、カバーレターやグラフィカルアブストラクトなど投稿できる状態にするまでに5か月ほど要しました。

投稿先については結構いい成果がでていたので、以下のランキング表内にある某学術誌に投稿しました。

ちなみにこのランキングはGoogle scholarのランキングの高い出版物のものになりますが、h5-指標(h5-index)は、Google Scholar Metricsが提供する、学術雑誌(ジャーナル)や会議論文の掲載誌を評価する指標になっています。

論文のレベルの評価指標にはインパクトファクター(IF)などがありますが、指標によってランキングは前後するものの、以下表の学術誌はいずれもハイレベルです。

https://scholar.google.co.jp/citations?view_op=top_venues&hl=ja&vq=chm

まず上の表のランキング10位以内の雑誌に投稿しましたが、エディターからリジェクトを食らいました(いわゆるエディターキックという査読には進めないという判断)。

これには落ち込みましたが、経験者からするとこういうのはよくあることで、先生からもダメなら次いこうという感じで言われました。

このときリジェクトだったのですが、そのハイレベルの論文の審査は無理だけど、同じ出版社のなかで少しランクを落とした雑誌に投稿したらどうか(Transfer)という提案がありました。

ありがたい提案でしたが、先生にも相談し、もっと良い雑誌にいけるだろうという結論になったので、上記表の10~20位に記載の某誌に投稿しました。

2つ目の投稿先の雑誌では、幸い査読に進むことができました。

1か月ほどで査読の結果が返ってきましたが、結果はmajor revisionsでした。

論文の審査の結果には、通常以下があります。major revisionsは指摘事項が多く、大幅な修正が必要ですが、実はこれでも御の字です。

1)Accept without revisions (改訂なしでそのまま受理=アクセプト)
2)Request minor revisions(文法や図表などの細かな修正が必要)
3)Request major revisions(追加実験を含む重大な修正が必要)
4)Reject(リジェクト)

この当時はmajor revisionsはrejectの手前かとがっかりしたものですが、修正内容次第ではacceptの可能性は十分あるということを経験を通じて知りました。

投稿した雑誌はかなりレベルが高いこともあり、査読者(referee, reviewer)が3名おり、いずれもかなり指摘内容や質問が多くありました。

これに一つずつ回答するわけですが、どうしても追加の実験が必要な指摘があり、こちらは1.5か月ほどかけて対応しました(材料の合成から評価まで少し時間がかかる内容でした・・)。

追加実験とレビュワーへの回答の作成、本文と図表の修正を行い、再度投稿するまで2か月ほどかかりましたが、2回目の査読では3名ともacceptの判断になり、無事掲載までこぎつけました。

論文投稿したことのある方ならわかると思いますが、I am/We are pleased to inform you・・とかto accept your manuscript/paper・・のメールをみたときの喜びは本当にくるものがありました。

まさに数か月もの苦労が報われた瞬間です。

アクセプトしたときのメール

1報目の論文がアクセプトされたときがちょうど博士課程2年の9月でしたので、博士課程に入学してからだいたい1年で1報の論文を仕上げたことになります。

ただ、入学前から先行して取得していたデータもあったので、実質はこの論文を仕上げるまで1.5年以上は要しました。

論文投稿、査読の対応まで一通り経験できましたが、これも博士課程に進んだからこそ経験できた世界であり、このプロセスを理解・経験したおかげで、今は自身だけでも論文を投稿できますし、指導もできるようになりました。

企業では論文よりも特許であったり、製品化の方が評価されると思いますが、研究であれ開発であれ、成果をしっかりと論文にまとめられるようになることは重要であると考えています。

個人的には企業でも研究所に勤めているなら、学会発表や論文の執筆はできる方がいいと思っています。

また、今やAIで簡単に論文が書ける時代になっていますが、論文のストーリーやロジックを自身の頭で考えることは非常に重要であり、どこかで必ず役に立つことだと思っています。

このようなことを考える視点をもてるようになったのも、博士課程を経験したおかげだと感じています。

今回はここまで。次回は、博士課程3年目の生活についてまとめる予定です。

よろしければまた読んでください!質問、コメントも歓迎です!

2026.5.13 Yasu0413

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