2024年映画マイベスト10
2024年に観た新作映画の中からベスト10を発表します。ちなみに今年は新作映画を80本観ました。下半期仕事が多忙になり、昨年より少なめ。『DUNE2』とか『フュリオサ』を劇場で3〜4回観たりしたのもあるかも。
【第10位】ショーイング・アップ

この映画は「A24の知られざる映画たち presented by U-NEXT」という特集上映の中の一作品だったため劇場で観た人は少ないかもしれない(U-NEXTで配信中)。あと厳密には2023年12月22日公開であるが自分が観たのは2024年1月。同時期に公開された同じケリー・ライカート監督の『ファースト・カウ』が素晴らしかったので、こちらにも興味が湧いた。映画自体はミシェル・ウィリアムス演じる彫刻家の特別なことは起きない日常を描いた地味な作品なのだが、登場人物たちの自然過ぎる演技とその生活の中に創作活動がシームレスに存在する様子に強い憧れを抱き、同時に励まされた。今回のランキングの中では個人的な好みの要素が強く、『どうすればよかったか?』のように誰にでも必見!という映画ではないが「俺は好きだ!」という気持ちを込めてランクイン。
【第9位】ありふれた教室

ちょっとした小さな出来事が雪だるま式に大問題になっていく見事なシナリオによって、緊張感が徐々に高まり、終盤精神的に追い込まれる感覚が忘れられない。全て学校の敷地内のみに限定した舞台設定と不穏な音楽がそれらを後押しする。社会の縮小版とも言える学校での出来事を通じて社会全体の問題を照射するような射程の広さが凄かった。同じドイツ映画の『システム・クラッシャー』と迷ってこちらにしたが、いずれも成熟して民主主義が成熟した社会の限界を感じさせる映画でドイツ映画の視座の高さを感じた。毛色は違うけど、『ライン・ゴールド』もエンタメと社会派要素が融合した印象に残るドイツ映画。
【第8位】シビル・ウォー アメリカ最後の日

アメリカ大統領選の直前ということもあり、現実とのリンクと共に記憶に刻まれた映画。迫力の映像と音による実際に戦場にいるかのような臨場感。その迫力とは裏腹に感じる空虚さ。ディスコミニケーションの先に見える暗い未来はアメリカに限った話ではない。日本の政治状況含めもはや世界中にある分断の実態と共に恐怖を覚えた。映像とあえて違和感を生むような音楽使いもセンスが良くて印象的。
【第7位】デューン 砂の惑星PART2

PART1で学習した異世界設定の上で、一気に動き始める物語と登場人物達に大興奮。スケール感のある舞台と旬な役者達が集結する大型SF大作を同時代に楽しめる幸せは、初期『スターウォーズ』をリアルタイムで楽しんだ人ってこんな感覚だったのだろうかと思った(原作の影響の順番は逆だが)。迫力の映像と音の没入体験。映画も複数回観たし、アートブックなども含め世界観に陶酔。
【第6位】ボーはおそれている

ホアキン・フェニックス演じるボーが見る狂気の世界を追体験する三時間。アリ・アスターのクリエイティビティの炸裂に笑ったり戸惑ったり具合悪くなったり。終わってみると母と子の物語として覚えのある恐怖と同時に何故か感動的でもある。主観の映像化という点で『ファーザー』を想起。最初から最後まで困り顔のホアキンの顔が頭から離れない。
【第5位】夜明けのすべて

誰しも大なり小なり悩みや辛い過去がある。だから理解できずとも互いを思い遣ったり遠くから見守ることができる。この映画に登場人物する脇役も含めた全員から感じ取れるその感覚、それはこの映画外の世界にだって存在すると感じさせてくれる素晴らしい映画。若い男女が主役でも恋愛に着地させない点も好き。
【第4位】メイ・ディセンバー ゆれる真実

映画化に向け彼らに近づく女優、当事者の妻、夫、子供、関係者と接触して我々が辿り着くのは真実か?自分が読みたい物語か?大袈裟な音楽を皮切りに観てるこちら側に冷や水をぶっかける監督の意地の悪さが最高に好み。映画というプラットフォームを逆手に取った画期的な作品として『悪は存在しない』との共通点を感じる。
【第3位】哀れなるものたち

純粋無垢な女性が世界を旅する過程で自らの身体と人生の主導権を取り戻す冒険譚。既成の価値観に縛られないエマ・ストーン演じるヒロイン・ベラが男たちの支配を知性と奔放さで豪快にぶち壊す姿は痛快であり感動的。不協和音を取り込んだ不思議なバランスの音楽や、伝統的のようで現代のハイファッションのようで魅力的な衣装、現実にありそうで存在しないセットなどによって作り上げられた独特な世界が鮮烈な印象を残す。お伽噺を読んだような感覚。
【第2位】マッドマックス:フュリオサ

謎が多かったフュリオサの「怒り」を共有し、鑑賞後に前作の魅力が増すという素晴らしい前日譚。マッドマックスの世界を更新するフレッシュなガジェットやアクション、キャラクターに胸が躍る。キャラクターの性格、関係性を語る雄弁なアクションと巧みな空間の使い方。そして、アニャ・テイラー=ジョイの強い意志が込められた眼の演技。マジ最高。映画を見てる感。
【第1位】パスト ライブス/再会

時間と距離という設定を最大限に活かしてこんなにも切ない話に仕上がるなんて。自分の忘れられなかった人との体験と重なり「俺映画」としか思えなかった。とても静かな映画だがラスト10分に押し寄せる感情が凄まじかった。ただのノスタルジーに終わらない主人公ノラの独立した女性としての行動や「イニョン=縁」の考え方によって、自分も過去と決別し前に進めるような気がした。今年はこの映画のことを良く思い出し、久々にnote記事も書くほど自分に取って大事な作品になったので一位。
【ベストドキュメンタリー】どうすればよかったのか?

ドキュメンタリーをノンフィクションと並べてランキングを付けることが難しかったので別枠としたが、忘れられない衝撃を受けた作品。実際に起きてしまった事実に加えて、それを当事者でもある家族が長期間記録することが重なり唯一無二のドキュメンタリー作品が完成した。家族という関係のままならなさ、あったはずの人生など、様々な要素が複合的に絡む。これからもこの映画のことを度々思い出すと思う。
【次点】
陪審員2番、落下の解剖学、悪は存在しない、チャレンジャーズ、オッペンハイマー、サンセバスチャンへ、ようこそ、辰巳、ソウルの春、ナミビアの砂漠
ポッドキャストでもこのベスト10映画について語っているので良かったら聴いてください。
2024年のパンフ達。 pic.twitter.com/FZmnDjiSGH
— ヤンパチーノ(映画Podcast『ヤンパチーノのシネマビーツ』) (@cinema_beats) December 29, 2024
2023年のマイベスト10。
