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成蹊大学へ 5月活動報告:髙鷲 淳一(林業後継者育成)

柳津町地域おこし協力隊に着任して、1年2ヶ月が経ちました。
今回は、伐採現場での出来事のほか、大学への出張、山開きへの参加などを報告したいと思います。(写真:成蹊大学キャンパスの建物)


伐採現場での出来事

大径木の伐倒
1年が過ぎ、直径40センチを超えるスギを伐ることになりました。
杉原師匠の指導のもと、大径木を2本伐倒しました。
伐倒は、受け口は低く、追い口は水平に切ることが基本と習いました。
しかし、頭では分かったつもりが、実際に切るとなると、チェーンソーのバーが下がってしまい、水平に切ることは意外に難しいものです。
ベテランの方は、いとも簡単に切り始めるので、改めて上手さを感じます。自分は、まだ当分修業が続きそうですが、怪我だけはしないよう、安全には十分気をつけたいと思います。

中央の2本のスギが今回の伐倒木 高さは30メートルを超えます
伐倒後の写真 最初の追い口(手前)が極端に下ったため切り直しました
玉切りの様子 身体の中心でチェーンソーを構えることが基本です

フォワーダ
フォワーダは、高性能林業機械の一つで、先山(伐採現場)から土場(集積場所)へ丸太を運搬する車両系機械で、現場では、運搬車と呼んでいます。
現代の林業では、チェーンソー、グラップル(バックホウ)と並んで必要不可欠な機械の一つでもあります。
フォワーダにはグラップル付きのアーム(集材装置)があるものと、これがないものとがありますが、自分のいる現場では、アームがないタイプ(荷台だけ)のフォワーダを使用しています。
丸太の生産効率を考えれば、一度により多くの丸太を積める後者の方が、圧倒的に有利になります。
ただ、そのためには、先山と土場にバックホウがそれぞれ1台ずつあることが望ましく、今の現場では、バックホウ、計2台を使用しています。
現在、自分はこのフォワーダの運転を練習中で、一刻も早く、安全に効率よく迅速に運転できるようになりたいと思います。

スギ人工林の伐採現場 右手前がフォワーダ

危険木の処理
自分がお世話になっている杉原造材では、通常の木材生産のための伐採のほか、町道や町の施設に支障となる危険木の伐採を行うことがあります。
スギなどの木は、山に植えて育成し、大きく成長してから収穫のために伐採しますが、道路や建物などの工作物近くにある木が、自然災害で倒れたりする危険が発生した場合、伐倒、処理する必要が生じます。
5月21日、町道で発生した危険木の処理を町から依頼され、数か所にわたって伐倒、処理を行いました。
当日はあいにくの雨でしたが、高所作業車をチャーターした関係で、実行しました。
これからも、災害に結びつくような危険木が発生し、その伐倒、処理が必要になるケースが増えると考えられます。
そのためにも、町に木を伐倒できる技術を持つ事業体があることが望まれます。木を伐る技術は、一朝一夕で身に付くものではありません。町にその事業体を存続させるためにも、微力ながら関わって行きたいと思います。

高所作業車を使って危険木を処理します

博士山山開き

5月17日、柳津町にある博士山において、山開きが行われました。
博士山は、標高1,482mの柳津町で一番高い山です
会津美里町にある会津総鎮守伊佐須美神社は、金山町の御神楽岳からこの博士山に遷座し、その後明神ヶ岳を経て現在の場所に鎮座したと言われています。豊かなブナの森を抱え、町内外から多くの登山者が訪れます。
当日は天候に恵まれ、山開きとあって、多くの登山者が集めまりました。
柳津町からは、町長をはじめ、協力隊3名を含む関係者、来賓として会津美里町及び会津森林管理署からの参加を得て、総勢12名の登山となりました。自分は初めての博士山登山となりました。
上りの前半は、急傾斜地が多く、上級者向きのコースなのかと感じました。
ブナなどの広葉樹のほか針葉樹のクロベの大木が多く、その巨大な根の上を歩くような所もあり、登りごたえがありました。
山頂は意外と狭く、見晴らしは少しよくありませんでしたが、稜線から望む景観は遠くの山々や会津盆地が望め、素晴らしかったです。
今回参加できなかった協力隊員もいたことから、またの機会に大勢で登りたいと思います。

天空の城ラピュタに出てくるような巨大な根が張り巡らされた登山道を歩きます
数百年を超えるクロベの巨木が山の至るところで見られました 迫力があります
稜線に出てからひたすら博士山山頂を目指します
稜線から会津盆地が望めます 磐梯山や飯豊連峰も見えました

大学への出張

今年11月1日に、福島県の植樹祭である、第9回ふくしま植樹祭が柳津町で開催される予定です。
この植樹祭では、植樹だけではなく、森林の魅力を発信したりするふれあい体験ブースも設置予定で、その一つに森林アロマスプレーづくりワークショップも実施します。
町の森林資源であるスギを活用したアロマスプレーづくりワークショップで使うスプレー容器のデザインを大学生の視点で作成していただくなどの目的で、5月23日に柳津町地域振興課の田部副主査、柳津町にゆかりのあるアロマセラピストの山田陽子氏と自分の3名が、東京にある成蹊大学を訪れました。
また、前日の22日、柳津町森林利活用ビジョン策定委員会の座長を務められた東京農業大学地域環境科学部森林総合科学科の山下詠子准教授のゼミに、田部副主査が、柳津町森林利活用ビジョンのプレゼンテーションを行うため、同席しました。

成蹊大学では、同大学のボランティア支援センターが学生を集めていただき、13名の学生が2026年度成蹊ボランティアプログラム「地域おこし」として参加していただきました。
はじめに柳津町から、柳津町森林利活用ビジョンのプレゼンテーションを行い、町の現状と課題や植樹祭の趣旨を理解していただきました。
自分も地域おこし協力隊としての活動の紹介や町の森林・林業に関する現状や課題について報告しました。
次に、山田氏によるスギの芳香成分を抽出する実演を行い、その香りを感じていただいた上で、学生には、各グループごとにスプレー容器に付ける名前やキャッチコピーなどのデザインを考案していただき、さらにスプレー容器を載せるディスプレイ台の制作をしていただきました。
最後に各グループで考案したスプレー容器のデザインや制作したディスプレイ台について、発表していただきました。
学生の皆様は、柳津町のことをよく考えて、色々なアイデアや興味深い作品を考案していただき、今年11月に開催する植樹祭に向け、大変貴重な成果を得ることができました。
後日、参加した学生と関係者と一緒にオンラインで振り返りを行い、学生一人一人から、このボランティアプログラムに参加した感想や今後やってみたいことなどを発表していただきました。
アンケートにもまとめていただき、「農業、林業に興味があるので事業に関わっている方々の話を聞きたい」「色々な地域おこし協力隊の話を聞きたい」「複数の大人が同じ情熱を持ってプロジェクトに取り組んでいる事実を知り希望になった」など、多数の貴重な意見をいただきました。
また、ほとんどの学生が、「柳津町の植樹祭に参加したい」や「地域のボランティア活動に参加したい」と回答していました。
是非、柳津町の植樹祭や地域の活動に参加していただきますよう、お待ちしております。

東京農業大学では、柳津町の森林利活用ビジョンの説明を熱心に聴いていただき、地域の森林・林業の現状と課題、対策について関心を持っていただきました。
終了後、懇親会に参加し、自分の母校の後輩でもある学生と交流しました。
今後、柳津町の林業事業体存続のため、再び農大を訪れて、後継者の募集をしたいと思います。

成蹊大学において柳津町森林利活用ビジョンのプレゼンを行う田部副主査
スギ材から芳香成分を抽出する実演を行いました
成蹊大学生による発表 皆さんとても熱心でした!
学生が考案したスプレー容器ラベルの一例 AIを活用した本格的な作品です!
学生が制作したスプレー容器を載せるディスプレイ台 たくさん作っていただきました!
東京農業大学森林総合科学科の研究室ゼミでプレゼンする田部副主査

柳津町森林集約化地域協議会

5月20日、柳津町役場において、令和8年度第1回柳津町森林集約化地域協議会が開催されました。
森林の所有形態が小規模・分散の状態で、所有者や境界が不明となり、路網整備や森林整備が進んでいない状況にあります。
このことから、地域の関係者が森林の経営管理の将来像を共有し、経営管理の集約化を通じた森林資源の循環利用を進める新たな仕組みを創るため、森林集約化構想を策定することが求められています。
柳津町では、森林境界の明確化が喫緊の課題となっています。
そのため、森林の現況を把握し、森林境界推測図を作成して森林整備を実施するための森林境界明確化を行うことと、森林の集約化構想を策定することを目的に、それぞれ業務を発注することとなりました。
なお、本業務は、柳津町森林集約化地域協議会が主体となり、国からの予算を受けて事業を実施します。また自分は、この協議会の構成員(柳津町森林利活用ビジョン運営会議委員)として参加することになります。
今後は、本協議会発注事業のプロポーザル審査を進め、受託事業者を決定、契約の後、今年度中に事業を実施することとなります。

第1回柳津町森林集約化地域協議会の模様

田植え

5月19日、杉原造材の杉原師匠が所有する水田の田植えを手伝いました。
この日は、ほとんど機械による田植えが終わった後だったので、空いているところに手作業でイネの苗を植える作業を行いました。
自分は30年ほど前に秋田で田植えの手伝いをしたことがありましたが、それ以来のことで、ほとんど忘れていました。
水田に入ると足がぬかるむため、専用のゴム長を履かせていただきました。そのたおかげで、少しこつが要りますが、大変歩き易かったです。
数時間で作業を終え、苗の植えられた水田を見ると、清々しい気分になりました。
その後、シイタケ原木の駒打ち作業を行いました。
千個ほどの駒がありましたが、数人で手分けして作業したので、1時間ほどで終えました。
最近では、休耕田が多く見られるようになりましたが、この美しい日本の山村風景が末永く残ることを願って已みません。

機械による田植えを終えた水田 空いている所を手作業で捕植します
田植え完了後の一コマ 数十年振りの田植え体験でした
シイタケ原木の駒打ち作業を行いました

地域のこし協力隊

今年、地域おこし協力隊の仲間1名が任期途中で辞めました。
理由は色々とあったようですが、1年目でもあり、残念なことでした。
5月のある日、本人を知る町の人から、このことについて意見を伺う機会がありました。
その方のお話によると、そもそも「地域おこし協力隊」という名称がよくないのではないか、ということでした。
「地域おこし」というと、町に住む人から見ると、過度に期待をするということに成りがちになるとのことです。
ところが、町の募集で採用される隊員は、決して専門家であったり、その道のスペシャリストではなかったりします。むしろ、意欲と情熱があるだけで、これから専門の勉強する人が大半であると思います。
実態としても、地域に既に存在している機能や働きを「おこす」ということではなく、時代とともに消失している機能や働きといったものを「のこす」ということの方が、ピッタリするということでした。
その方が、町の方々と協力隊との間に共通した認識が生じるとのことです。
国の制度なので、名称を勝手に変えることはできませんが、柳津町が活用する「地域おこし協力隊」制度の固有名詞として、できるかどうかは分かりませんが「柳津町地域のこし協力隊」と名付けることも一考かと思いました。
今一度、「地域おこし協力隊」とは何かを考える機会となりました。

その他

この活動報告について、ご意見、ご質問等ございましたら、下記のメールアドレスまでお寄せください。(個人のメールアドレスです)
よろしくお願いいたします。

柳津町地域おこし協力隊 髙鷲 淳一
junichi.takawashi@gmail.com

東京農大の学舎 都心のオフィスビルのような屋外空間があり驚きました!
成蹊大学の建物 イラストレーターのキン・シオタニ氏によるデコレーション
今風のデザインで目を引きます!
柳津町地域おこし協力隊畑部の活動 
土地をお借りしてトマトの苗を植えました!🍅