漫画構想① 八千代さんは、メシウマ女だってバレたくない! 第20話
年末の八千代さん
12月30日。
高山家で初の正月を迎える藤永。
藤永「な……なんだ? いつも間抜けな空気で満ち溢れているこの家に、かつてないプレッシャーが……」
父「来たか、藤永。」
藤永「しゃ、社長。顔に精気ないですよ?」
父「そりゃそうだ。朝6時から掃除しとる。」
藤永「な……なんでまたそんな?」
父「正月はチリ一つない状態で迎えないと、八千代さんが怒るんだ。」
藤永「は……はぁ?」
父「銀は逃げるように友達んとこ遊びに行ったが、恐らく夕方帰ってきたら八千代さんブチギレだろうな。」
藤永「……大変っすね。八千代、ちょっと呼んでよいですか?」
父「あぁ、中にいるよ。」
藤永「八千代~。」
八千代「今手が離せないから上がってきて。」
藤永「八千代……って!!!!!」
(キッチンで鬼気迫る感じで立っていた)
八千代「お節作ってるの。」
藤永の心の中(こ……これか!!!!さっき感じていたプレッシャーは!!!!)
八千代「……さてと、黒豆はそろそろ……」
藤永「八千代。気合入り過ぎじゃないか?」
そこで八千代、包丁をターン!!と置く。
八千代「京一さん!!!!!みんなお正月舐めすぎなの!!!元旦を迎えるのにきちんとやらないとおかしいじゃない? 何でみんないい加減にやれるの?ってメチャクチャ思う!!! だってさ……(長文のため以下略)」
藤永「分かった分かった。」
八千代「だからね。きちんとお正月は迎えないとね。」
藤永「そうか……それよりそろそろ帰るわ。俺、顔出しただけだから。」
八千代「え? お正月は?」
藤永「多分現場事務所で迎えるだろうな。突貫工事で終わらないんだよ。」
八千代「……え??? 元旦もお仕事?」
藤永「しょうがないだろ。俺しかいねーんだし。」
八千代「外にあなたの会社の代表取締役がいると思うけど、文句言わないの?」
藤永「言ったって工期短くなる訳じゃないし、終わらないしな。それに社長が現場の仕事やったら、それこそ会社回らなくなるぞ。」
八千代「だといっても、お正月家で迎えられないなんてひどくない?」
藤永「仕方ないんだよ。」
八千代「元旦、お節持っていくね。」
藤永「おう。まぁ俺一人しかいないだろうけど。」
八千代「そっちの方が良い♪」
帰る際、八千代が「ちょっと待って、忘れ物。」
藤永「え? 俺手ぶらだけど。」
八千代が背伸びしてキス。
藤永「……やる気出た。じゃ行ってくるわ。」
その日の夜。
八千代「ね? 京一さん、働かせすぎじゃない?」
父「うん。そうだな。ワシ50年以上生きとるけど、あんなに働く奴見たことない。」
八千代「貴方の会社の従業員でしょ? 何を他人事みたいに……」
父「ワシがどうにもできる物でもないし、それにクライアントあってのワシらの仕事だからな。」
八千代「でも可哀そうじゃん。」
父「それが責任を持って働くって事だよ。ワシにできる事は、あいつにボーナスを沢山払う事だけだ。」
八千代「……あと私のできる事は、ご飯作ってあげる事かな。」
父「ははは!!! 藤永ほどの幸せ者はいないな!!!!」
八千代「ブラック会社の社長が偉そうに言うな!!!」
夕方、何も言わず帰って来る銀次郎。
背後から八千代。
八千代「ぎんちゃ~ん……」
銀次郎「う!!!!」
八千代「お姉ちゃん言ったよね? 今日はお掃除するって。」
銀次郎「いや、子供には子供の深い事情があるんだよ。」
八千代「じゃ、言ってみて。」
銀次郎「……とりあえずどこの掃除?」
八千代「話逸らさないでくれる? とりあえずもうここ終わらせるまでお姉ちゃん許さないから。」
銀次郎「ひでぇよ!!!!」
八千代「恨むんなら過去のやらなかった自分を恨みなさい。」
銀次郎「くっそ!!!! 何もしなくても31日すぎたら自動的に正月なんて来るじゃんかよ!!!」
八千代「……もう一遍言ってみて。」
銀次郎(アネの目がマジだ……そして背後から怒りのオーラが……)
八千代「もう一遍言ってみる? って聞いたんだけど?」
銀次郎「……あぁ!!!! もうやるよ!!!」
八千代にこっとして「じゃ! ここお願いね!!!」
父「はっはっは!!! 銀は八千代さんを怒らせる天才だな。」
銀次郎「うるへー。」
父「さて、あとは風呂か。」
銀次郎「何でこんな正月とかひな祭りとかうるさいんだよ。アネ意味分かんねーよ。」
父「恨むならバァさんを恨め! あれは死んだバァさんが乗り移ってるからな★」
銀次郎「死んだ人間恨んだってしょうがねぇじゃんかよぉ。」
父「ちなみにワシは朝6時から掃除しとるぞ★」
銀次郎「ほんと、アネの奴隷だな。」
その夜。
八千代「そろそろご飯にするよ~。」
父「仕事するより今日は疲れた。」
銀次郎「マジで最悪。」
八千代「文句言わない。そして今日はこれ!!!!」
八千代「今日は手を抜いて、普通に鳥のツミレ鍋。」
銀次郎「はふはふ……。」
八千代「ところで銀ちゃん、自分の部屋の掃除終わったの?」
銀次郎「見てきたら? 俺なりにはやったよ。姉が満足するか知らんけど。」
八千代「やったならそれでいいよ。なんだかんだで、こういう行事があるから大掃除やるとかないと、怠けちゃうからね。私はそれが嫌で。」
銀次郎「へいへい……。」
父「しっかし、これからだがポカポカになるな。」
八千代「結構生姜たっぷり入れたからね。それに今日二人ともお疲れ様。」
父「八千代さんに褒められるの慣れてないから、何か変な気持ちだな★」
八千代「私ってそんなに褒めてない?」
銀次郎「俺らのやる事ケチつけてばっかじゃん、いっつも。」
八千代「そうだっけ?」
銀次郎「うん。でもご飯作ってくれるから別に良いけど。」
八千代「……何かそれ嬉しくない……。」
銀次郎「アネ、で次はどこ掃除するの?」
八千代「あぁ、あっちの和室やってよ。」
銀次郎「へいへい。」
そしてその夜。
疲れてソファーで寝る銀次郎。
八千代「ちょっと!! 銀ちゃん!!!! そんなとこで寝たら……」
銀次郎の最近与えられたスマホ(通話機能だけ)に、八千代の待ち受けと料理の写真が。
八千代「……なんだ……なんだかんだで私のご飯気に入ってんじゃん。」
そして毛布を掛ける八千代。
