漫画構想① 八千代さんは、メシウマ女だってバレたくない! 第33話
八千代さん5歳の時、菊千代に一郎から話が舞い込んだ
一郎「おかん、ちょっとええか?」
菊千代「なんや。今手が離せんのや。後でええか?」
一郎「お願いがあるんやけど」
菊千代「なんぼ、こんなババァに用があるんや?」
一郎「あのな。俺のクライアントで料理教室の先生がおるんやけれども」
菊千代「それがどないした?」
一郎「あんな。おかん、講師やる気あらへんか?」
菊千代「こんな鬼ばば誰が喜ぶねん」
一郎「まぁそう言わんと、会ってくれへんか?その料理教室の先生に」
菊千代「会う理由があらへん」
一郎「おかん、出来るだけお母んの技術やらそういうのをみんなに伝えんと俺はもったいないと思うとるんや」
菊千代「偉い買いかぶるな」
一郎「買いかぶりや無い。お母んの技術は俺はよー分からんけど一流やと思うとる。それでや。料理教室の先生にお母んの話したら飛びついてきてな。菊水も知っとったで」
菊千代「・・・・・まぁ一郎はんの世話になっとる居候もんやし、一郎はんの顔は立てんとあかんか」
一郎「せやせや!!!俺の顔を立ててくれや」
翌週 鈴木「こちらの料理教室を運営している鈴木と申します」
菊千代「高山です。今は息子の所で隠居生活させてもろうてます」
一郎「鈴木さん、これが私のお袋です。料理の腕は息子の私が言うのもなんですが相当なものだと思いますよ」
菊千代「鈴木様、息子は私を買いかぶり過ぎてます」
鈴木「いえいえ!あの京都の名店菊水の女将さんを会ってお店を切り盛りされて調理場にも立っておられたと聞いて、私もえらい興味を持ちまして。是非、うちの生徒さんにその技の一部を教えて頂けないかと」
菊千代「あいにくですが、私も古い人間です。優しく教えることは出来ません」
鈴木「いいんです!!!全責任は私が持ちます!それに、その京都の技法を見に付けたい生徒さんがたくさんいっらっしゃるのです。多少の厳しさはみな覚悟していると思います」
菊千代「多少で済めばええですけどね」
一郎「鈴木さん、すみません。母もちょっと言葉はきついですが、悪い人間じゃないんです」
鈴木「うぅむ!!!!!高山さん!!!私はめっちゃ気に入りました!!!是が非でもお母様には講師として辣腕をふるって頂きたいです!!!」
菊千代「こんな鬼ばばにほれ込むとはまた、けったいな御仁ですなぁ」
一郎「おかん!!!ここで断ったら菊水の名折れや!!!」
菊千代「ここは横浜や。菊水の名はそないに知られとらんわ。せやけど、ここまで言われてお断りするのもまた無粋。ワテの料理見てから決めてもろうてもええですか?人様にお出しする程のもんか分かりませんが」
高山家に招かれる鈴木 鈴木「いやぁ。元菊水の方の料理が食べれるなんて夢のようですよ」
菊千代「買いかぶりすぎです。ただの家庭料理です」
一郎「おかん、気合入れて作ってくれや!」
菊千代「あほか!!!あんたに言われんでも気なんか抜かんわ」
八千代(5歳)「ねぇ?ばぁちゃんこの人誰?」
菊千代「えろうすんまへん。孫の八千代でございます。こら!八千代はん。人に指さしてそないな言い方失礼やろ」 鈴
木「はは!いいんですよ!お孫さん可愛いですね」
八千代「こんにちは。」
菊千代の調理をずっと見つめる八千代
鈴木「娘さん、ずっとお母様の調理を眺めてますね」
一郎「何故か分からないんですが、テレビそっちのけで母の料理するのを見てるんです。まぁプロのおままごとを見ているようなもので、そんな深く考えては無いと思いますけど」
鈴木「しっかし、お母様、様になってますね。背筋がピンとして、凄く真剣に食材に向き合っているって言うか。」
一郎「ははは。料亭の息子に産まれながら、私そう言うの鈍感なんですよね。全然普通に見えちゃいますけど」
鈴木「しかし、何というか調理している姿見てるだけで、ただ物じゃないし素人じゃないのは分かりますよ」
出てきたのは、ご飯、豆腐の味噌汁、イワシの煮付け、菜の花のお浸しだった。
一郎「お母ん、なんやこれ?せっかく鈴木さん来とるんやし、もうちょっと何とかならんかったんか?いくら何でもこれ貧相すぎんか?」
菊千代「一郎はんはだまっとき。鈴木様がワテをどう評価するんは決められるんや。鈴木様。これがワテの仕事です」
鈴木「いや・・・・これ・・・・ちょっと・・・まずは味噌汁・・・豆腐の味噌汁がここまで美味しいとは・・・あと恐ろしく丁寧に出汁を取ってある。そして豆腐も選りすぐりの・・・しかも味噌と豆腐の味もしっかり考えてバランスも・・・」
菊千代「一郎はんとちごうて、ワテの気配りを言葉にして頂くのは嬉しいもんですな」
鈴木「ご飯も・・・・・ぬか臭さがまるでない。どうやったらこんな上手に炊けるんだ???そしてこのイワシ・・・生臭みもない。そしてこのタレだ・・・梅が入っていても全然梅がツンツンしていない。そのバランスが素晴らしい。味醂も醤油も相当よい物使われてますね」
菊千代「そないな言葉もろうて恐縮です」
鈴木「あと菜の花のお浸し・・・出汁の味がまず凄い。主張し過ぎず、それでいて菜の花の風味も邪魔してない。でもしっかり味は濃い」 菊千代「お気に召しましたか?」
一郎「そんなにすごかったんですか?私の食事毎日こんな感じですけど」
鈴木「いや・・・もうこれ・・・・すごすぎです。はっきり言います。この技術を誰にも教えずこの家だけに留まっておかせるのは犯罪だ」
菊千代「過分な評価ですなぁ」
一郎「・・・で、講師としてはどうですか?」
鈴木「いやはや・・・・時間給1万円でも払ってでも来ていただきたい。」
菊千代「また随分高く見積もっていただいたもんですな」
一郎「おかん。ここまで鈴木さんに言わせて断るのはほんまあかんで!」 鈴木「ぜひともお願いします!週一でも良いのでわが教室に・・・」
菊千代「ワテも居候の隠居の身でもありますが、そないに暇やありまへん。」
鈴木「ダメですか・・・・・」
菊千代「せやけど、週一回の2時間くらいはなんとかしましょ」
鈴木「!!!!ありがとうございます!!!やった!!!!」
料理教室にて、「本場京都の料亭の技を学べる」と言う講座を開くと大盛況 ただ、
菊千代は言う通り厳しかった 「ほれほれ。あんた手が止まってるで」「そないに煮たしたら魚まずうなって食えんようになるわ」「過ぎたるは及ばざるがごとしや。塩の入れ過ぎや。やり直し」「こないな火入れしろ言うたか?」
泣き出す生徒さんもいたが、その時に「泣いてええんは6歳までや。ええ年こいた大人が泣くんはみっともないで」 ただ意外とクレームはほとんどなかった。
というのもまずは、最初に菊千代が作った「鴨の澄まし汁」を生徒に飲ませたからだ。その味に全生徒は絶句。そしてその厳しい授業は寧ろ人気コーナーになった。菊千代の厳しさが寧ろ「物珍しさ」もあって人気を博した
だが、三年後
菊千代「社長(鈴木)、お暇を頂きたく思います。」
鈴木「菊千代さん?どうして?何か気に入らない事でもあった?」
菊千代「社長からは過分な評価を頂き、こないな鬼ババに活躍の場を頂いて感謝しきりです。不満などあるはずもありまへん」
鈴木「だったらどうして?」
菊千代「ワテも、そろそろ体力的にもきつくなってきました。もう若くもありまへんし、それに生徒さんも、かなり腕をつけられました。ワテのここでの役目は一旦終わらせて頂きたく思います」
鈴木「・・・・・そうだな。三年も付き合ってるもんな。菊千代さん、絶対こう言い出したら引き下がらないし、決めたら絶対覆さないもんな」
菊千代「めんどくさいババァで申し訳有りません」
鈴木「こちらこそ、ありがとう。でも生徒さんガッカリするだろうな」
菊千代「もう鬼ばばに怒られんようになると思うてホッとするんやないですか?」
鈴木「菊千代さん、貴女、めちゃくちゃ人望あるんだよ。分かる人には分かるって。本当に技術のある人は」
菊千代「まぁ生徒さんがどう思うんは生徒さんが決める事で、ワテが決める事でもありまへん」
鈴木「でも本当に3年間ありがとう。あなたほどの料理人を講師に呼べることはもう二度とないと思うけど」
菊千代「いえいえ。他の講師さんも大変な腕前をお持ちです」
鈴木「ははは。そういうとこが菊千代さんらしいな。高山社長にも感謝しないとな」
菊千代「それでは社長、ごきげんよう・・・・」
教室にて 鈴木「生徒さん方、菊千代さんが当料理教室を止めることになりました」
生徒A「え~!!!!菊千代先生もういないんですか!!!」
生徒B「マジか・・・厳しいけど、あの授業好きだったんだよね」
生徒C「そうそう!!!あれから本当に旦那からめっちゃ喜ばれてるし」
生徒D「うちの子も、私の料理残さなくなったし。「子供が料理残すんは、あんたの腕が原因や」は言われた時むついたけど、でも確かにその通りだったし」
生徒A「残念だなぁ・・・・・」
