【水戸黄門#7】ご老公様が意外と強い件〜ご老公のボヤキ〜
わしじゃ。
水戸光圀じゃ。
このわしのシリーズは、いまいち人気がないと聞くがの。
きっと、格之進じゃの。
腕は立つし、助さんのように剣を使わぬゆえ、経費がかからんのは良い。
じゃがの、マジメすぎるでな。
茶屋で、町娘がからまれとると、すぐ「どうされましたか?」と、飛んでいくんじゃ。
正義感が強いのはええがの、団子もおちおち、ゆっくり食えんわ。
あの真面目さが、読者を早々に離脱させるんじゃな。
それにしても、なぜ、行く先々の茶屋で、町娘がからまれとるのかの?
町娘というのは、何かな、そんなに団子が好きなのかな?
それならば、八兵衛といい勝負じゃの。
たいした動きもせぬのに、なぜにああにも腹が減るのかの。
一番人件費効率が悪い奴よの。
すぐ、わしの正体をばらそうとするしくじりも、
「うっかり」などと、
さも故意ではない、悪気がないようなニュアンスにしてからに。
ほんに、困ったやつじゃ。
だいたい、八のせいで、
\ シュトッ!🎯 /
ひぃ~え~~~~っ‼
風車……。また、弥七か。
いつも、わしの鼻先をかすめて飛んでくるから、本当は生きた心地もせんのじゃ。
外れて、誰かに刺さったらどうするつもりじゃ。
わしらの誰かに当たっても、労災は出ん。
客人に当たりでもしたら――人身事故じゃ。後の始末が大変ではないか。
普通に手渡しで持ってくればよいと思うがの。
いかがかな?
だいたい、弥七は、協調性がないんじゃ。団体行動ができないんじゃな。
スマホもなければGPSもないんじゃから、
あまり一人でうろうろせんで欲しいんじゃがの。
いざこちらから連絡を取りたい時に、困るんじゃがの。
お銀とてそうじゃ。
一人でどこにおるのかと思いきや、
いつの間にか、宿の風呂につかっとるでな。
現金な奴よの。
わしが入っているときに、
「お背中流しましょうか」の一言もなしじゃ。
いや、昨今はコンプラが厳しいから、今のはカットじゃ。
それはそうと、あのピチピチの黒いウェアは、いったいどこで手に入れるのかの。
あ、いや、これもカットじゃ。
それはそうと――
頼りになるのは、助之進……と言いたいところじゃがの。
女にめっぽう弱いのが玉にきずじゃ。
まあ、顔がええから女にもてるでな。
ここだけの話じゃがの、顔がええから、助さんに印籠を持たせとるんじゃ。
かっこええ男子が、わしの大事な印籠をスッと出した方が、わしの印籠が映えるでな。
格さんでは、いかん。
無骨な骨とう品に見えるのが関の山じゃ。
そうそう、もう一つ理由があるんじゃった。
どこそこで女子をひっかけて、
どこぞへ消え、
うっかり服など脱がぬようにな、
大事な印籠を持たせとるんじゃよ。
孫悟空の頭の輪っか、緊箍児(きんこじ)のようなもんじゃ。
月曜夜8時40分に必ずチャンバラがはじまるの。
まあ、助さん格さんにまかせとけば、何とかなるでな。
どこに行っていたのか、突然弥七やお銀も、危なくなった時に出てくるでな。
最初から一緒に行動しておれば、もっと早くカタがつきそうなものだがの。
八兵衛か。
うむ、八はそのあいだ、わしの護衛みたいなことをしておるの。剣はてんで使えん奴じゃからの。
だがの、敵が切りかかってくると、「ひぃえ~」と、あろうことか、わしの後ろに隠れるんじゃ。
こう見えても、わしは水戸の藩主、大名じゃ。武術も心得ておる。
じゃからの、いつも持ち歩いておる杖で「えい!」など、朝飯前なのじゃ。
それにしてもの、八は頼りないし、弥七やお銀はフラフラしとるし、助さんや格さんも腕は立つが、敵の人数からしたら少なすぎるしの。
なぜ、わしにも剣を持たせてくれぬのじゃ。
いくら自分から
「このじじいにまかせてくださらんか」
と言うたとしてもじゃ。
じじい扱いにもほどがあるではないかの。
いかがかの。
あ、風車を、忘れておったの。
(終わり)
次回は
『【水戸黄門#8】印籠が欲しい』
乞うご期待!!
