あの夏私が見たUFOは、砂になって消えた。
皆さんは、UFOを見たことがあるだろうか。
私は小学生の頃、鹿児島の生見海岸でUFOを見た。
***
私が小学5年生の夏休み。
祖父が突然、「海水浴に行こう」と言い出した。
祖父は私をいろんなところに連れて行ってくれたが、海水浴はあまりなかった。私自身もあまり好きでなかったし、祖父も泳がないから、珍しい誘いだった。
海水浴かぁ、と思いながらも、祖父とのドライブは大好きなので、「行く行く!」ともうスクール水着を服の中に着込んだ。
祖父の愛車、深緑色のマークⅡで、お気に入りのポールモーリアとともに、薩摩半島を南に下る。
木材の香りが漂う産業道路を抜け、西日本最大の動物園・平川動物公園の大きなアーチを横目に、車は海岸沿いを走る。
左手には海、右手には線路。私が大好きなドライブコースだった。
窓をいっぱいに開け、風を顔いっぱいに受け、潮の香りを嗅ぐ。たまに口を大きくあけて、潮風を食べる。
「あーーーーーーー」
エアコンなしでも、十分に涼しい海風だった。
今ではそうもいかないだろうな。
青い空。
海水浴客は、それほど多くなかった。
海に入るのが苦手な私は、砂山を作ったり、砂を掘って貝殻を探したりしていた。
すると、どこからか「キュイーーン」という、聞いたこともないような電子音が聞こえた。
そして、みんなが一斉に、同じ方向を見上げた。
そこで見たものは……

再現したイメージである。
帽子の形をした、灰色で砂絵のようなUFOだった。
底にあるランプだけがオレンジ色に光っていた。
急に現れ、10秒ほど空中に静止していただろうか。
すると、また「キュイーーン」と電子音が聞こえた。
それから、上部からさらさらと砂が散るように姿が消えていき、
最後には青空だけが残った。
なんとも、オシャレな消え方をしたUFOだった。
その時の様子は、今考えると異様だった。
まず、誰も騒がなかった。
人って、あまりに突拍子なことが起こると、固まるのだろうか。
不思議なことに、恐怖も感じなかった。
普通なら、円盤の下からサーチライトが降りてきて、宇宙人が降りてくるのではとパニックになりそうなものだが、周りのみんなも冷静にUFOを見つめていた。
UFOが消えた後も、人々は何事もなかったかのように普段の様子へ戻っていた。
そんな空気だったので、私もUFOを見た高揚感はあったものの、何もなかったように振る舞わなければならない気がして、その空気に従った。
家に帰ってから、祖父に恐る恐る、「UFO見たよね!」と言うと、驚いたことに、「そんなものは見ていない」と言うではないか。
ボケたのか?
いやいや、現役でバリバリ女好きの祖父に限ってそんなことはあるまい。
母に「見たんだよ!」と言っても、「そんなわけないでしょ」と信じてもらえない。
マジで家出しようかと思った。
さらに不思議なのは、あれだけはっきり見えて、目撃者もたくさんいたのに、ニュースにならなかったことだ。
何年かごとに思い出して、インターネットでその出来事を検索しても、何も出てこない。
砂となって消えたと同時に、まるで人々の記憶まで消したようであった。
***
先日、アメリカ国防総省が、UAP(未確認異常現象)に関する40点の機密資料を公開した。その中には、UFOとみられる飛行体の記録も含まれていた。


私が見たのもUFOだったと、今でも信じている。
なぜか急に海水浴へ導かれた、あの海岸。
そこで私が見たUFOは、最新の映像に映る飛行体よりも、どこかアナログで、少しオシャレだった。
それにしても。
私にだけ記憶を残し、何を伝えたかったのだろうか。
それとも、もうメッセージを受け取っているのだろうか?
急にアラレちゃんみたいに怪力になったりして。
もしかしたら、このnoteに書くことによって何か起こるかもしれない。
もしかしたら、もしかしたら、
私は宇宙人なのかもしれない。
みなさんを巻き込むことになったら、一緒に、
無限の彼方へ、さあ行くぞ。
あの夏、私が見たUFOは、スクール水着姿の私を記憶に携えて、今も宇宙のどこかを旅しているに違いない。
(了)
では、よい週末を!
