本を書くのをやめて、noteを書く理由~作家の印税の闇
私はこれまで哲学の入門書を書いてきたが、2025年、「本を書くのをやめて、noteを書きます」とSNSで宣言した。もちろん、「作家を引退します」というわけではない。しかし、少なくとも当面の間、「本という形での執筆はやめる」ことにした。
その理由は簡単に言えば
「作家業はびっくりするくらい実入りは少ないし、なにより疲れたから」
なのだが、もう少し詳しく説明しようと思う。
■(1)本を書くのにかかる時間的コストが大きすぎる
本を書くのは、とにかく大変だ。特に哲学関係の本は、下調べや勉強を含めると1年以上はかかる。たとえば、私が以前書いた『あした死ぬ幸福の王子』という本は、ハイデガーの『存在と時間』を題材にしている。執筆中は、1年間ずっとハイデガーの本ばかり読み、四六時中ハイデガーのことを考え続けていた。
道を歩いていても、ふとした瞬間に考えてしまう。
「この部分、どう説明すれば伝わるかな……?」
「こういう比喩ならわかりやすいけど、本質からズレるかも……?」
頭の中はいつもハイデガー漬け。それ以外のことはいっさい手につかない日々だった。
その結果、ありがたいことに、読者からは高く評価され、Amazonレビューも好評だったが、問題はその後である。「次の本を書きましょう!」と、出版社から次々に声がかかるのだ。
だが、一冊書き終えた時点で、こっちはもう燃え尽きている。たとえるなら、息も絶え絶えでフルマラソンを走り切った直後に、ニコニコ顔のコーチがたくさんやってきて、「さあ、もう一度走ろう!(×10)」と言われるようなものである。そのときの心境を一言で表すなら、こうだ。
「……コーチ……俺もう……無理です……」
■(2)本は儲からないし、副業ではモチベが続かない
はっきり言おう。本は儲からない。
これは出版業界では常識で、一般の読者には意外と知られていないことだが、本の印税は通常8%〜10%である。つまり、1,500円の本が1冊売れても、著者には150円しか入らないのだ。
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