【ちび創作大賞】長歌:風の結び【風】
長歌つくった
風は山 息吹降りてむ
青垣に 木々は息づく
香久山に 大和を見れば
黄金原 稲穂波立つ (こがねばら)
富士山に 大和を見れば
四方の海 朝日輝く (よも)
風は海 渡りて空を
昇りけむ ひと息に吹き
山へ帰らむ
反歌
風はまた 山吹き下ろし 海原へ ひと息に吹き 国を結びぬ
現代語訳
【長歌】
風が山から優しく吹き降りてくる。 大和を囲む青い垣根のような山々で、木々がいっせいに息吹をあげている。
天香久山に登ってこの大和の国(奈良)を見渡せば、 黄金色に輝く田原には、実った稲穂が波のように揺れている。
富士山から大和の国(日本列島)を見渡せば、 四方の海に、昇ったばかりの美しい朝日がキラキラと輝いている。
山から吹いた風は、今度は海を渡り、 そのまま空へと昇っていくのだろう。
そして、力強くひと息に吹き抜けて、 また山へと帰っていくのだろう。
【反歌】
山から吹き下ろした風は、また海原へとひと息に吹き抜けていき、この美しい国のすべてを一つに結び合わせるのだ。
長歌とは?
私たちがよく知る「五・七・五・七・七(31音)」の短歌。これに対して、文字数の制限を飛び越えて、想いをのびのびと長く歌い上げる形式を「長歌(ちょうか)」と呼びます。
奈良時代の『万葉集』の時代にさかんに詠まれた、ストーリー性豊かな歌の形です。
長歌のシンプルなルール
ルールは驚くほどシンプルです。
「五・七」を交互に何度もくり返す(最低3回以上)
最後は「五・七・七」で締めくくる
伝えたいメッセージに合わせていくらでも長さを伸ばせるため、中には100行を超えるような壮大な作品もありました。
セットで覚える「反歌(はんか)」
長歌のあとには、1首〜数首の短い歌(五七五七七の短歌)がセットで添えられる事があります。これを「反歌(はんか)」と呼びます。
反歌の役割は
想いの要約:長歌で語った壮大なストーリーを、最後にギュッと凝縮して伝える
余韻(余情)を残す:言葉にできなかった切なさや余韻を、読者の心に優しく響かせる
視点を変える:長歌とは少し違う角度から、心に浮かんだ別の感情をそっと添える
長歌が「本編」なら、反歌は「エンドロール後の特別な1シーン」のようなもの。この2つが合わさることで、歌の持つ世界観がよりいっそう深く、立体的に広がっていきます。
