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5-3 選果と販売 (第5章 JAと部会)

もしJAが無かったら、農産物を作った農家は、野菜をサイズや形のきれいさで選別し、袋やパック、段ボールなどにきれいに詰めて、野菜を買ってくれそうなところに自ら持ち込んで売って歩くことになる。その日収穫した分を売り切るのにどれくらいの時間がかかるか分からないが、選別とパッケージングだけでも数時間かかり、売り歩く時間も考えると丸一日かけても足りないかも知れない。農産物は毎日収穫する品目も多いため、こうした選果や販売を毎日続ける事になる。こんなことを毎日繰り返していたら、本業であるはずの作物の栽培管理をする時間が無くなってしまう。一方で、いくら栽培がうまく行っても、売ってお金に換えなければそもそも栽培する意味が無い。やはり選果と販売をおろそかには出来ない。
作物の栽培管理と、選果と販売という2つの仕事は農業にとって車の両輪だ。どちらかが欠けると進まない。だが、どちらもやれるほどの時間はない。
いや、厳密に言えば時間は作る事が出来る。栽培面積を縮小して、自分が売り切れるだけの少量を生産すれば、栽培管理と販売を両立する事が出来る。実際、家庭菜園の延長で趣味的な農園を運営する小規模な農家などはこうしたスタイルで経営しているところもある。だが、面積が小さいと売上は増やせない。農産物というのは基本的に単価が安い商品なので、ある程度たくさんの量を売らないと、専業で生活していけるほどのお金にならない。結局、安定した農業経営を実現するためには、ある程度栽培面積を確保して大量に作る必要がある。しかしそうすると、やはり販売にかけられる時間がなくなる。

JAの選果と販売の業務は、こうしたジレンマを解消してくれる。農家は農産物を収穫して、それをJAの選果場に持ち込む。ここまでが農家の仕事で、そこから先の選別やパッケージング、輸送、取引先との交渉などの営業活動などはすべてJAが代行してくれる。農家はその間に作物の栽培管理に集中出来る。つまり、農家は朝収穫して選果場に持ち込んだ後は、作物の手入れなどの管理を一日中ずっとやっていられるのだ。農家にとってこれは大きなメリットだ。作物の栽培管理に全精力を注ぎ込むことができる。しっかり手をかければ作物の出来が良くなり反収も上がりやすくなる。そして、選果と販売は、JAがしっかりやってくれるから作物は確実に売れてお金になっていく。
このように、JAに出荷し、選果と販売の業務を委託する事によって、農業にとって最も大事な栽培管理と販売という両輪がしっかりと安定してまわりつづける。現代の農家の経営はこうした仕組みのうえに成立している。

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