現役ラグビー選手が100%自力でスタートアップを立ち上げてみた~僕の起業の舞台裏~
はじめまして。プロラグビー選手の山川力優です。
今、僕はリーグワンの「東芝ブレイブルーパス東京」に所属しながら、アスリートと社会をつなぐマッチングサイトを運営しています。
会社の登記、サイトの構築、記事の執筆、営業資料の作成、SNSの運用——全部、一人でやってます。ブレーンもおらんし、共同創業者もおらん。外注もしてない。
このnoteでは、なんで現役のラグビー選手がこんなことを始めたのか、どうやって形にしたのか、今何を考えてるのか——できるだけ正直に書いてみます。
まず結果から。3〜4ヶ月で何が起きたか
先に数字を出します。
2025年12月にアイデアが生まれて、そこからサイトを作り、会社を登記し、記事を書き、SNSを立ち上げ、スポンサー営業をかけた。3〜4ヶ月で、スポンサー3件・イベント2件、計5件の成約を取りました。
登録選手は22人。有名な選手も結構います。
Xはフォロワー278人ながら、毎回60〜160いいね。TikTokは初投稿で2万再生。
全部一人で、現役でラグビーをやりながら。
「ほんまにできるんや」——これが今の正直な手応えです。ここに至るまでの話を、順を追って書いていきます。
「先が見えること」が耐えられなかった
僕は中学まで野球をやってました。そのまま野球の人生を歩むのが「普通」やった。でも中3の後半、急にその「普通」が耐えられへんくなった。
今振り返ると、マンネリやったんやと思います。同じレールの上を走り続ける人生が、どこかで嫌になった。
で、ラグビーに転向しました。
大学を卒業してNTTドコモに入って、社員選手としてラグビーをやりながら会社員として働いた。ドコモは素晴らしい会社です。安定してるし、待遇もいい。
でも2年いて、人生の先行きが見えてしまった。「これぐらい働いて、これぐらいの給料で、40歳になったらこれぐらい」——将来が予測できた瞬間、この会社で働き続けるイメージが持てなくなった。
「それやったら、自分で経営者になった方が楽しいな」
周りにはめちゃくちゃ止められました。「事業なんか立ち上げて失敗してる人いっぱいおるで」って。
でも、いろんな経営者と話してわかったのは、表面上「会社が潰れた」ように見えても、税金対策や戦略的判断で畳んでることもある。
本当に事業がうまくいかなくて潰れてるケースは、実はそんなに多くないということ。
「やめとけ」と言う人たちは、すべてがわかっているとは限らないのです。
経営者から学んだのは、ノウハウじゃなくて「空気」
ドコモから東芝に移ったあとも、「いつか自分でビジネスをやりたい」という気持ちはずっとあった。だからとにかく、いろんな経営者と会いまくりました。
ただ、声のかけ方は「お話を聞かせてください」じゃないんですよ。「楽しくお酒飲みましょう」。これだけです。
なんでかっていうと、社長さんに「ビジネスってどうやるんですか」って聞くのはナンセンスやと思ってたから。
僕が注目してたのは、ビジネスのノウハウじゃなくて、経営者の「立ち振る舞い」の方やったんです。人とどう接するのか、どういう空気を作るのか。
仕事ができる人よりも、人と接するのがうまい人が経営者に向いてるんちゃうかなって、ずっと思ってた。
だから飲みながらそういう空気を観察して、学ぶ。そんな感じでした。
ニュージーランドで頭が切り替わった
ただ、一つだけ思い込みがあったんです。「ラグビー選手はラグビーだけに打ち込むもの。ビジネスは辞めてからやるもの」——これが僕の中の常識でした。
それがひっくり返ったのが、2024年夏のニュージーランド留学。
オールブラックスの選手たち——世界最高峰のラグビー選手が、普通にラグビー以外の仕事をしてるんですよ。カフェに誘ったら「仕事あるから行かれへんわ」って断られて。
「ほなら俺もできるやん」
もうバチッと切り替わりました。世界最高レベルの選手がやってるんやから、僕にできへん理由がない。
きっかけは妻のひと言。見積もり800万円からのスタート
帰国してすぐ動き出せたわけじゃなくて、きっかけは妻でした。
僕のアスリートとしての食事を作る中で、妻が「栄養士になろうかな」と言い出した。でも資格を取っても、スポーツ選手との接点を持つ方法がない。
「スポーツ選手とつながるプラットフォームがあったら、絶対売れると思う」
妻がそう言った瞬間、頭の中でパチッとつながった。「それ、俺が作れるやん」。2025年12月のことです。
すぐにサイト制作の見積もりを取ったら、800万円。プロラグビー選手の給料から800万は簡単に出せない。
でも「じゃあやめよう」じゃなくて、「じゃあ自分で作ろう」ってなった。
地元の友達の旦那さんがIT企業の社長で、相談したら「こんなツールがあるから、簡単なサイトぐらいやったらすぐできるで」と教えてくれた。試してみたら、本当にできた。
サイトのデザイン、コーディング、会員登録やログインの機能設計、決済システムの導入——全部、AIを使って自分でやりました。800万円の見積もりが、ほぼゼロになった。
もしAIがここまで発達してなかったら、この事業自体やってなかったと思います。タイミングの巡り合わせとしか言いようがない。
予想外の発見——つながりたいのは「企業」じゃなくて「ファン」やった
ここが一番大事な話かもしれません。
最初、僕はこのサービスを「アスリートと企業をつなげるプラットフォーム」として設計してました。企業のCSR担当者がアスリートを探しに来る、そういうイメージで。
でも、やってみたら全然違った。
Xで発信を始めて気づいたんです。企業よりも、ファンの方がアスリートとつながりたいと思ってる。
企業の社長さんも、会社としてというよりは、一人のスポーツファンとして応援してくれてるケースが多かった。大企業のCSR部門が組織的に動くよりも、オーナー企業の社長が個人の意志で「この選手を応援したい」と動く方がずっと多い。
考えてみれば当然で、大企業は意思決定が複雑やし、社員社長だと決裁権を実は持ってるようで持ってなかったりする。
この発見が、サービスの方向を変えました。
「誰がお金を払うのか」をもっと明確にして、ファンの目線でアスリートとつながれるようにサービスの見せ方を変えていく。やりながら気づいて、すぐに方向修正する。これが僕のスタイルです。
SNSは全部、理由がある
僕が今やってるSNSは、X、TikTok、Instagramの3つ。なんとなくやってるものは一つもないです。
Xは「成長を見届けてもらう場」。 推し活市場の文脈で、会社と僕個人の成長を一緒に見届けてもらうアカウントとして設計してます。1年間毎日投稿すると決めた。ラグビー仲間に「恥ずいな、あんなことすんの」って言われたけど、理由があるからやってる。実際に結果も出始めてる。
Instagramは「自分の名刺」。 これは今まさに育てようとしている段階です。会社の代表がどんな人間なのかを見せて、信頼を作る場所。選手に登録してもらう上で、僕自身の信頼が一番大事やと思ってるんです。
TikTokは「アルゴリズムの研究所」。 引退を決めたラグビー選手にインタビューする形式のコンテンツを作って、投稿時間やハッシュタグのデータを自分で全部取ってます。初投稿で2万再生。TikTokはインスタより露骨に数字が出るから、研究に向いてる。ここで学んだことを、いずれYouTubeにも展開していきます。
朝起きて練習行って、帰ってきて家事と家族のことやって、それからインスタの運用、Xの運用、サイトのチューニングをする、企画考える、記事書く、TikTokの運用……。全部一人で回してます。
ラグビーとビジネスは、よう似てる
経営とラグビーって、すごい似てるなと思うんです。
スポーツ選手は、外から見たらただ体を動かしてるように見えるかもしれない。でも裏ではみんな「自分は何をやったらいいか」「どうしたら勝てるか」ってめちゃくちゃ考えてる。
時間、お金、体力というリソースがあって、その瞬間にどこにどう配分するかで結果が変わる。ビジネスも全く一緒です。
なおさら、「ラグビーを辞めてからビジネスを始める」必要はない。
僕の場合、ラグビーをやってるからこそ、ビジネスが成り立つ。
「現役プロラグビー選手」という看板があるから、どんな社長さんでも会ってくれる。選手も信頼して登録してくれる。ファンも応援してくれる。
両方やって、両方が生きる。ニュージーランドのオールブラックスの選手たちが教えてくれたのは、まさにこういうことでした。
よく「セカンドキャリアはいつ考えますか?」って聞かれるんですけど、僕はこの質問がすごく答えにくい。
なんでかっていうと、何を始めるにしても、それはファーストキャリアなんちゃうかなと思うから。 ラグビーを辞めてから何かを始めるんじゃない。
今、現役選手をやりながらビジネスもやってる。セカンドキャリアが将来のことやっていうんなら、僕にとってそれは「今」なんです。
本当はマイナースポーツを助けたい
一つ、あんまり言ってないことを書いておきます。
僕が本当にやりたいのは、マイナースポーツの選手を助けることです。メジャースポーツの選手は、スポンサーを取る手段も知名度もある。
でもマイナースポーツの選手は、競技を続けるだけで精一杯で、お金のことを考える余裕すらない人が多い。
現実問題として、マイナースポーツだけをターゲットにしたらビジネスとして成り立たない。だから今は「アスリートであれば誰でも」という形にしてます。
でもいずれは、マイナースポーツの選手がこのプラットフォームを使って、ちゃんとスポンサーを取って、競技に集中できる環境を作りたい。それがこのサービスの根っこにある想いです。
これからの三段階
僕の頭の中には、明確な成長ステップがあります。
第一段階:自分で成功事例を作る。 これは達成しました。スポンサー3件、イベント2件。「できる」ということを証明した。
第二段階:他の選手にも成約を取ってもらう。 誰かが「あの選手、稼げたんや。じゃあ俺もできるやん」って思ってくれたら、そこから登録選手が一気に増えるはず。一人の成功事例が連鎖を生む。
第三段階:スポーツイベントの開催。 選手を呼んで、子どもたちにいろんなスポーツを体験してもらう。企業は選手と会える。選手も企業と会える。子どもたちはスポーツを楽しめる。全員がWin-Winになる設計です。去年、函館で個人主催したイベントを、今年は会社としてやります。
おわりに
始まって3〜4ヶ月。もう止まるつもりはないです。
ラグビーもビジネスも家族との時間も、全部全力でやっていきます。
よかったらXもフォローしてください。会社と僕の成長を、一緒に見届けてもらえたら嬉しいです。
