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🍢 日本全国 串カツ・串揚げ紀行



一本の串に宿る、土地の味と人情
 ⋯ 串一本から広がる風景

「今日は何の日?」と聞かれて、「串の日」と答えられる人は、なかなかの食通かもしれません。
9月4日は「串カツ記念日」。語呂合わせで「く(9)し(4)」、まさに串料理を楽しむ日です。

串というものは不思議な存在です。何かを貫くための道具なのに、食卓にのぼると人と人をつなぎます。
串をひと口かじれば、隣の席から声がかかることもありますし、仲間との乾杯の理由にもなります。
そして日本各地には、その土地らしい串の姿があります。衣の厚さ、油の香り、調味のクセ。
まるで方言のように、それぞれの串がその土地の気配を語り出すのです。

ちなみに私は豚バラ玉ねぎが大好きです。
豚バラの脂がじゅわっと弾ける瞬間と、火が通って甘みに変わる玉ねぎの組み合わせ。
別々でも主役級、交互に食べれば最強の相棒です。
どの土地へ行っても、この二つはたいてい顔を出してくれて、しかも裏切りません。

それでは「串」を手がかりに北から南へ、日本をひと巡りしてみましょう~


北海道:素材が語る串の力

北海道の串揚げは、素材そのものが主役です。
ホタテ、鮭、タコ、じゃがいも。どれも大地と海の恵みが詰まっています。
衣は薄く、揚げは軽め。味付けも塩や醤油、あるいは山わさびをほんの少し添える程度。
雪の夜に熱燗と一緒に食べるホタテ串は、指先から心まで温めてくれます。

ここでの玉ねぎも特別です。北海道の玉ねぎは甘みが強く、薄衣で揚げるだけでふんわりとした旨みが広がります。
「手をかけすぎない贅沢」が、北海道らしい串文化なのです。


東北:酒と共にある串

東北の串は、とにかくお酒との相性が抜群です。
青森のにんにく、秋田の長いも、山形の里芋など、素朴な素材を串揚げにすると、途端に酒の肴に早変わりします。
宮城や福島では、魚のすり身やカマボコを串にして揚げることもあります。

調味料は塩や醤油、味噌だれが主流。派手ではありませんが、じんわりと心に残る味わいです。
熱燗を片手にホクホクの長いも串を頬張ると、寒さの厳しい夜もやさしく包まれていきます。
ここでも玉ねぎは健在。しみじみと甘さが広がり、酒の余韻と寄り添ってくれるのです。


東京:自由なアレンジの実験場

東京の串揚げは、実に自由です。
塩、レモン、七味、黒胡椒、カレー粉。卓上には多彩な調味料が並び、食べる人が自分好みにアレンジできます。
一本の串に豚バラと玉ねぎを交互に刺すスタイルも人気で、まさに“最短距離で幸せ”に到達できる組み合わせです。

サクサクの衣にレモンを絞れば、脂の重さが軽やかになり、玉ねぎの甘みは一段と引き立ちます。
「正解は自分で作る」──そんな東京らしい価値観が、串の食べ方にも表れているのです。


名古屋:味噌の重厚な世界

名古屋の串カツといえば、なんといっても味噌だれです。
八丁味噌をベースにした濃厚なソースが、揚げた串にしっかり絡みつきます。
甘辛く力強い味噌は、ひと口食べればご飯が欲しくなるほど。もちろんビールやハイボールとの相性も抜群です。

ここでの豚バラは最強の相棒です。脂の甘みと味噌の旨みが合わさると、満足感は一気に跳ね上がります。
「もう一本」では済まされず、「もう一皿」と言いたくなるのが名古屋の串文化なのです。


大阪:二度付け禁止の魂

串カツの聖地、大阪。新世界や天王寺に足を踏み入れれば、街の灯りさえ串のためにあるように見えてきます。
銀色の四角い缶に入った特製ソースを前に、店員さんの声が飛びます。
「二度付け禁止やで!」

このルールこそが、大阪の豪快さと合理精神を象徴しています。
豚肉、レンコン、紅しょうが、そして私の愛する玉ねぎ。何を食べても、衣とソースが一体となって胃袋に飛び込んできます。
一口目のサクッという音と、ソースの香り。気づけば「もう一本!」と手が伸びてしまうのが、大阪串カツの魔力です。


博多:豚バラとキャベツ、そして美人

最後に訪れるのは九州・博多です。ここでは「焼き鳥屋で豚バラ串」が常識。
塩でシンプルに味付けされた豚バラは、脂がじゅわっと弾け、キャベツのさっぱり感と見事に調和します。
豚バラとキャベツ。この二つのリズムで、博多の夜は進んでいくのです。

そして何より、博多の串文化は人情と切り離せません。
カウンターに座れば、大将や隣のお客さんが自然に声をかけてくれます。
「兄ちゃん、豚バラは塩派か?タレ派か?」
気づけば初対面の人と一緒に乾杯している──これが博多の魅力です。

博多の街は水が美味しいことで知られています。その柔らかな水が美酒を生み、美人を育てると言われます。
実際に街を歩けば、老いも若きも、色白の博多美人の姿に目を奪われます。
美味しい豚バラ串をかじりながら、美人とすれ違う……これ以上のご褒美があるでしょうか。


一本の串が伝えるもの

大阪の豪快さ、名古屋の力強さ、東京の自由さ、北海道の素材力、東北の素朴さ、そして博多の人情と美人。
こうして見ると、串というのは単なる料理ではなく、その土地の空気や文化、人の心を丸ごと刺した“文化の標本”のようです。

私の愛する豚バラ玉ねぎ、そして博多美人。
この三つが揃えば、どんな夜も特別な時間になります。
串を頬張るたびに、その土地に流れる風や人の温もりを感じることができる。
だから私は、これからも串を追いかけて旅を続けたいのです・・・🙂


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