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ホンモノ大人は、にしんそばを食べる【二杯目 信州そば処そじ坊・西新宿】

以前の出勤先から新宿駅に向かう道すがら、アイランドタワーの地下にみなさんもお馴染みのそじ坊がある。蕎麦屋以外にもいくつかの飲食店が軒を連ねており、19時をまわる頃には、多くの店で仕事帰りの人々が楽しそうに食事をしている。特に雨の日は賑わう。なるほど、天気次第で地下街飲食店の売り上げは変わっていくという“あるある”は面白い。仕事仲間と食事やお酒で雨が止むのを待つ人が多いんだそうだ。

その中で、このお店は不思議とおひとりさんが多い。あくまでボクが行った時はそうだった、という話なのだけれど仕事帰り、ここでささっと蕎麦をすすって駅に向かう人なんだろう。性別も年齢もバラバラ。スマホを眺める人、本を読む人、じっとおそばを待つ人。誰もしゃべらない。だから、他のお店と比べて、妙に静かで落ち着いていて、そしてどこか寂しさも感じる。

だからこそ、ボクはこのお店の寂しげで、がらんとした雰囲気(広くも感じる)の中で頂戴するにしんそばが大好きだ。このお店のにしんそばにはタケノコがドカンと入っている。にしんの柔らかくほぐれる食感と、タケノコのパリッとした噛みごたえが共に優しい。そばも上品だ。今日の仕事でもいろいろあったけど、まあ頑張った方だなオレ、とか自分を褒めつつ、にしんの甘さを感じるそばとつゆをすする。他のお客さんもひとり背中を丸めつつ、同じくそばをすする。みんな、今日もがんばった。そんな優しく静かな時間をにしんそばと過ごす。

ホンモノ大人は、こうしてにしんそばをひとりすすってから、まだ雨が降り止まない空の下、アイランドタワーから新宿駅まで歩き(丸の内線には乗らない)、埼京線に乗って帰宅するのだ。


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