松山で出会った衝撃。舞台「カッコーの巣の上で」が残した余韻
松山で久々に気になるお芝居が上演されると聞き、やっとの思いで手に入れたチケット。
芸能界で名を知られた役者が演じるだけでなく、原作は大ヒットした映画だ。
今回観劇したのは「カッコーの巣の上で」(松尾スズキ演出)。
事前の予習として、AIでストーリーをチェックしてから客席に臨んだ。上演会場には、この日を待ち望んでいただろう多くの人たちが詰めかけ、独特の熱気に包まれていた。
舞台は精神科病棟の共有スペースから始まる。
およそ3時間の舞台は転換がなく、すべて同じ場所で展開される。そのぶん、音と光、そして登場人物たちの動きだけで鮮やかにシーンが切り替わっていくのが見事だった。
何と言っても、主演の間宮祥太朗の魅力溢れる演技が光っていた。
男らしく、荒々しく、どこか色っぽさまで兼ね備えた彼の存在感は、まさにハマり役。声の張りや大胆な演技には、長年舞台に立ち続けてきた俳優のような風格さえ漂っていた。
そして、私が楽しみにしていたのが、ビリー役の坂東龍汰だ。
最近注目されている若手俳優で、ドラマ「ライオンの隠れ家」での繊細な演技が印象に残っている。彼を追ったドキュメンタリー番組で、この舞台にかける並々ならぬ意気込みを目にしていたからこそ、期待もひとしおだった。
彼だけでなく、脇を固める主役級の役者たちも、それぞれの持ち味を存分に生かした圧倒的な演技を見せてくれた。
舞台の内容はとても分かりやすく、主人公(マクマーフィ)と看護婦長(ラチェッド)の「規律と自由」の対比や、入院患者との関わりの中に、ユーモアのセンスが光る演出がある。
「さすが松尾スズキだ」と思わせる仕掛けが、随所に散りばめられていた。
巧みな演出、そして誰もが引き込まれるストーリー。
舞台のエンディングには、惜しみない拍手とともに、自然とスタンディングオベーションを送っていた。
素晴らしい余韻に浸りながらも、私はスタートからずっと気になっていた「ある舞台美術」のことが頭から離れなかった。
それは、ビニールでぐるぐる巻きにされていたソファの存在だ。
そこにどんなメッセージが込められていたのか。どなたかご存じなら、ぜひ教えて欲しい。

