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実践共同体は「狭く深く」と「広く浅く」の二刀流で!

はじめに

コミュニティの研究をしている私にとって、切っても切り離せない文献であるため、こちらを選定しています!

企業の人事の方や学びのコミュニティを作ろうとしている方、さらには社外コミュニティを作ろうとしている方はヒントになると思います!

職場での“学び”に行き詰まっていませんか?

「上司・先輩の背中を見て覚える(OJT)」 「講師から知識を得る(研修)」
これまでの職場での学習は、大きくこの2つでした。
しかし、マニュアル通りの教育やたまに受ける研修だけで、本当に人は育つかは疑問が残るところです。
実際、研修を活かしきれていない…という気持ちがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、2019年度日本経営学会賞(著書部門・研究奨励賞)を受賞した松本雄一先生の研究論文『実践共同体の学習』をもとに、組織における学びのコミュニティについて解説します!

そもそも、実践共同体とは

実践共同体とは、簡単に言うと「あるテーマに熱意を持ち、定期的に集まって学び合う人々の集まり」のことです。
もっと端的に言えば、学びのコミュニティです。

会社から指揮管理される部署や、同様に招集されるプロジェクトチームとは少し違います。

「もっと良い仕事をしたい」 「この悩みを共有したい」 「新しい知識を得たい」…というこうした自発的な思いでつながり、公式な組織図とは別の場所で生まれる学びのためのコミュニティーこれが実践共同体です。

論文では、OJTや研修に続く学習のオルタナティブ(代替案)であると位置づけており、学習のサードプレイスという言葉も出てきています。

なぜ“コミュニティ”だと学べるのか?

さて、実践共同体は、Community of Practiceという英訳があるように、コミュニティです。
論文では、コミュニティ特有の2つの学習メカニズムが紹介されています。

① 「本音」と「建前」のギャップから学ぶ(非規範的視点)

会社のマニュアル(規範)と、現場のリアリティ(非規範)にはズレがあります。
みなさんも「マニュアルにはこう書いてあるけど、実際はこうした方がうまくいくよね…」というという現場ならではのちょっとした知恵はありませんか?
公式な会議よりも、コミュニティの中でこそ、このような知恵が共有され、仕事の改善につながることがあるのです。

② 「境界」を越えて学ぶ(越境学習)

いつも部署内の同じメンバーとだけ話していても、新しい発想は生まれません。
部署や会社の境界を越えて、普段関わらない人と接することで、新しい視点や気づきを得ることができるメリットもあります。

実践共同体の2つのタイプ

本論文の最大のポイントはこちら。
「学びのコミュニティを作ろう!」と意気込むだけでなく、大きく2つのタイプがあることに留意すると良いということ。

タイプA:熟達型(狭く、深く)

特徴: 小規模で、頻繁に集まる。メンバーが同質的(同じ職種など)。
効果: 濃密なやり取りができ、スキルが確実に向上する(熟達)。「ここが自分の居場所だ」という安心感が高い。
弱点: メンバーが固定化しやすく、新しい風が入りにくい。
例: 職人同士の勉強会、同じ資格を持つ人の研究会。

タイプB:交流型(広く、浅く)

特徴: 中〜大規模で、集まる頻度は低め。メンバーが多様。
効果: 広い人脈ができ、新しい情報が入ってくる。自分の常識が覆されるような刺激(価値観の変容)がある。
弱点: 規模が大きいため、深い議論や濃密な指導はしにくい。
例: 業界全体のカンファレンス、異業種交流会。

二刀流(重層型構造)にするとよし

論文の結論として提案されているのは、この2つを組み合わせることです。

例えば、普段は少人数の熟達型でガッツリとスキルを磨きつつ、たまに大規模な交流型に参加して外の空気を吸い、新しい視点を持ち帰るーこのサイクルを作ることが学習を加速させます。

事例:公文(KUMON)の先生たちの学び

論文で紹介されている公文教育研究会の事例がわかりやすいです。
公文は教室運営のためのコミュニティを持っています。

熟達型は、 先生たちは近隣の少人数グループ(自主研)で集まり、具体的な指導法を深く学び合います。

交流型では、 さらに、全国レベルの研究大会や「メンターゼミ」といった大きな場に参加し、広い視野や高い目標を得ます。

このように、「身近な深い学びの場」と「外に開かれた広い学びの場」が層(レイヤー)になっているため、先生たちは成長し続けることができるのです。

おわりに:明日からできること

もし、組織の学習やコミュニティ運営に関わっている、あるいは立ち上げようとされているならば、以下の2つの視点を持ってみてください!

① 「居場所」を作れているか?
メンバーが安心して本音(現場の知恵)を話せる、少人数の「熟達型」の場はあるか?
②「外」とつながっているか?
内輪だけで固まらず、外の世界と交流する「交流型」の機会を用意できているか?

マニュアル通りの教育だけでは手が届かない部分を埋めるのが、コミュニティの力です。
まずは小さな“有志の勉強会”から、第3の学びの場を作ってみませんか!

今日の論文

松本雄一(2021)「実践共同体の学習」日本経営学会誌46、68-78。

参考文献 

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こちらのnoteにもわかりやすくまとめられていました!


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