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初代ポケモンのイーブイの話

初代ポケモン(赤緑青ピカチュウ)において、イーブイは本当に貴重なポケモンだった。ゲームが中盤に差し掛かる頃であるタマムシシティで1匹だけ手に入る。孵化や大量発生なんてシステムも当然ないので、文字通り1匹だけしか手に入らない

しかもご存知のように、進化の選択肢が3つもある。三者択一という意味では御三家(フシギダネ・ヒトカゲ・ゼニガメ)も同じと思うかも知れないが、あちらはゲーム最序盤で入手できるので、サブロム(とまで言わずとも、友人が新しく買ったりデータを消してやり直したタイミング)があれば簡単に全部取れるが、イーブイはそうはいかない。

リアルタイムプレイヤーの記憶として「図鑑コンプの最後の障壁はイーブイの進化系だった」という思い出を持っている方は多いのではないかと思う。

【ヒントの見せ方】

イーブイ及びその進化系の存在については、入手よりもずっと前の段階、マサキの家を訪れた時に知ることができる。ここでイーブイというポケモンと、その進化先らしい3パターンを知ることになるのだ。

「石」の存在については(用途をぼかしつつも)説明書でも明かされているので、勘のよいプレイヤーであればイーブイの進化に関係していると早くも感づくであろう。

以下、各進化系ごとに解説。副読用の参考資料としてこちらを推奨(注:Chromeだとエラーで表示されない模様、他のブラウザを試すこと。とりあえず表部分だけ引用)。ちなみにイーブイの入手時のレベルは25である。

「つれづれなポケモン図鑑」より引用

【シャワーズ】

おそらく初代ポケモンを最初期にプレイしていた層なら、一番人気はシャワーズだったと思われる。というのも、初代では水タイプの入手機会が極めて限られている。最初にゼニガメを選ぶか、コイキングを買うか釣るかしない限り、「波乗り」か「すごい釣り竿」を手に入れるまで水ポケモンの入手機会は存在しない例外がシャワーズなのである。

裏事情としては、「釣り竿」というアイテム自体が開発終盤でねじ込まれたものらしいのである。それまでは草むら同様、水辺を歩くことでエンカウントしていた水中のポケモンだったが、「釣り竿」導入によって歩行だけでは出会えなくなったという。ソースは『ポケットの中の野生』の新装版(ポケモンの神話学)における田尻智の解説

釣り竿というアイディアを採用したまではよいのだが、(ボロの釣り竿以外は)入手が遅すぎたというのが問題だったと思われる。このせいで水ポケモンと出会える機会が極端に後ろ倒しにされてしまった。

というわけで、最初にゼニガメを選ばなかったプレイヤーの多くはイーブイを入手するやいなやシャワーズに進化させたと思われる。かの名著にして迷著『ポケモンを極める本』においても、サンダースを差し置いてシャワーズは本命扱いされている。

運用面でも、技マシンで「バブル光線」を覚えれば即戦力。同じタマムシでは「冷凍ビーム」も手に入り、さらに近いうちに「波乗り」を覚えることができるので、体感的にはかなり強く感じるはずである。HPの高さによる耐久力も相まって、非常に心強い味方になるだろう。

【ブースター】

これも意外かも知れないのだが、シャワーズに次いで人気があったのはブースターである。シャワーズの場合は水タイプ自体の評価だが、ブースターの場合は炎タイプの評価というよりは消去法である。つまりサンダースは自然と忌避されていたのだ。

初代のブイズの中ではサンダースが(少なくとも通信対戦では)最強というイメージを持たれる方も多いと思われるが、なぜ不人気だったのか。それはピカチュウとライチュウの存在である。当時は多くのプレイヤーが手持ちに入れていたはずで、電気タイプ2匹目は必要ないなと判断してしまったのだ。

「ピカチュウはアニメ放送以降にテコ入れされた」なる主張が見られるが、リアルタイム初代世代である私に言わせれば歴史修正もいいところである。初代の時点でピカチュウはかなり目立つようにフィーチャーされていた。それも、ゲームを真面目に遊ぼうとするほど目立つように、である。

まず、ニビ博物館にいる女の子が「トキワの森にいるピカチュウが欲しい」というようなことを言う。博物館に入るにはお金が要るので、このヒントは記憶に残る。ここで引き返して探索した人も少なくないのではなかろうか。

仮にここでスルーしても、遅くともクチバジムのマチスとの戦いで確実に存在を知ることになる(しかも彼のエースであるライチュウに進化することがすぐ推測できる)。そしてクチバからはディグダの穴経由でトキワ方面に戻ることができる。ピカチュウの生息地(図鑑から確認できる)にわざわざ再訪できるように作られているのだ。

加えて、「10万ボルト」という、いかにもな名前の技マシンをもらえる。これはピカチュウを探して覚えさせろという誘導にほかならない。私に言わせてもらえば、初代を素直な気持ちでプレイしてピカチュウをスルーするというのはあり得ないし、控えめに言っても少数派ではないかと思われる。

というわけで、ゼニガメを選ばなかったプレイヤーはかなりの割合でシャワーズに進化させただろうが、すでにゼニガメ(カメール・カメックス)が手持ちにいるのなら消去法でブースターを選ぶはずである。なぜなら電気タイプはすでに手持ちにいるのだ。雷の石で進化することも、同じタイミングで気づくことだろう。

とはいえ、実際に使ってみるとやや期待外れかも知れない。Lv31で火の粉を覚えるが、次の火炎放射はLv54までお預けである。物理攻撃力は圧倒的だが、ノーマルタイプしか使えない(同時期に野生で出てくるガーディやロコンのように「穴を掘る」を覚えない」)。これではがっかりするのは当たり前で、『極める本』でボロクソに言われていたのも納得できるところはある。

とはいえ攻撃は炎タイプとしては堂々1位、特殊も伝説のポケモンであるファイヤーに次ぐ2位なので弱いということはないのだが。特に物理攻撃に関しては進化直後からその力を発揮できるのだ(デパートの技マシンで「突進」を覚えさせるのもよい)。

【サンダース】

さて自然な発想では選択肢から除外されがちなサンダースだが、それを見越してか優遇されている。まずシャワーズやブースターは、同タイプで比較してみると技のバリエーションが乏しい部類(電気技を覚えないシャワーズ、地面技を覚えないブースター)だが、サンダースは逆に充実している。格闘タイプの二度蹴り、虫タイプのミサイル針を覚えるのだ。

二度蹴りは岩・地面タイプに、ミサイル針は草タイプに。それぞれ電気が通らない相手に対する決め手となる。特に初代では虫→毒も抜群なので、草・毒タイプに対して虫で4倍撃になるというのが重要(もちろん草・エスパーのナッシーに対しても4倍!)。

素早さの極端な高さはシナリオ攻略では活用しづらいが、同条件の相手と戦うことになる通信対戦では非常に役に立つというのは今さら言うまでもないだろう。

テレビ番組「マリオスタジアム」で行われた通信対戦(後の「97カップ」)では早期から有力なポケモンとして活用されていた。それ以前に、攻略本を見た時点で「こいつは強いぞ」と思ったプレイヤーも少なくないのではなかろうか。

ただ、例の『極める本』においてそれほどの評価ではないのは、そもそも97カップを扱った本ではないということを留意していただきたいとは思う。あくまでミュウツーもありのLv100バトルなのだ。

【イーブイ(進化させない)】

ここで第4の選択肢である。イーブイの進化はもちろん必須ではないので、イーブイのまま使い続けるのもありだ。私の友人は当時から「弱点が無いからイーブイのままが結局ベストでは?」という理論を披露していたような気がする。

これはこれで非常に贅沢な発想だ。ただでさえ貴重なイーブイを、進化という大幅なパワーアップをさせずにそのまま使うのだ。確かに弱点は少ないが、それ以外のメリットはない。ノーマルタイプが1.5倍になるが、それを前提にしてもブースターには及ばない

何より致命的なのは技の少なさである。誇張抜きでノーマルタイプの攻撃技しか使えない。補助技も「毒々」のみなので、つまりゴースト(毒タイプも持つ)に対して1ダメージも与えられない

一応、「ものまね」を使えば対処できるが、通信対戦ではコピー対象がランダムなので実用的とは言い難い。四天王のキクコが相手なら、ナイトヘッドをコピーして(レベル次第では)突破できるだろうが。

【まとめ】

前述のように、初代ポケモンにおいてイーブイは貴重なポケモンであった。ノーヒントにしても、一通り知識を仕入れたあとにしても、どれを選ぶかというのはプレイヤーそれぞれに持論があったものである。

イーブイの希少性自体が過去のものになってしまったからこそ、当時の感覚を改めて文章化してみることに価値があるのかも知れないと思い、この記事を書いてみた。