MAGA隣人トランプを見限るか?/ミシガンの予備選に見る「揺り戻し」の兆し
プライベートでは毎日健康で幸せに過ごしているけれど、世界の現実や政治に目を向けると、つい溜息が出てしまう。
米国では第二次トランプ政権の誕生から、すでに2年半が経過した。数々の度肝を抜くような政策は、民主主義や人権を壊すどころか、「そんなものが必要ない社会」を目指しているようにさえ見える。
MAGA(Make America Great Again)的には「アメリカファーストで戦争をしない」平和を愛するはずのおじさんだったが、蓋を開けてみれば「自分ファースト」で戦争を始め、にっちもさっちもいかない無能ぶり。米国民だけでなく、世界中が振り回されている。
でも、そんな地獄だっていつかは終わりが来るはず!(と信じたい)
そもそも、これほど酷い状況だからこそ、その揺り戻しが起こってもおかしくない。世の中には、あまり思慮深くない人や無関心な人、腹黒い人、金儲けしか考えない人など、お友達になりたくないタイプもたくさんいるけれど、逆に賢く心が美しく、平和を愛する人もそれ以上にたくさんいるのだから。
さて、今月に入って、わたしの希望的観測が少し当たってきたと思える出来事があった。
わたしのnoteによく登場する超MAGA派の隣人、パットが先日、私の畑に現れて唐突に話し出したのだ。
Pat「もうトランプを応援するのはやめたよ」
yahoi「えっ? MAGAのあなたが、MAGAを辞めたの?」
Pat「うーん、MAGAを止めたというわけでもないんだが……。これまで多額の資金を寄付してきたけれど、さすがに現状が酷すぎる。最初のうちは良かったんだけどなぁ」
yahoi「その決断、とても嬉しいわ」
彼はわざわざ、わたしにそれを言いに来たのだ。
とはいえ、どの程度のレベルで彼がトランプやMAGAを見限ったのかは分からない。せっかく良好な関係を築いている隣人と政治的な会話で衝突するのは避けたいので、あまり深入りはしないことにした。
わたしには米国政治の投票権はないが、自分なりの意見はあるし、常に興味を持っている。それでも政治が絡む会話のときは、できる限り中立的な立ち位置で人の話を聞くよう心がけている。
パットの突然の変容は、おそらく娘夫婦に論破されたのではないかと推察している。
告白の一週間前、パットの家にテキサス州ダラスから娘夫婦と孫が遊びに来ていた。パットに呼ばれ、わたしと息子のタローも一緒に焚き火を囲んで彼らみんなとのおしゃべりを楽しんだ。
ダラスにはタローも6年前まで住んでいたし、娘さんはタローと同じ大学の卒業生だ。夫のブライアンも、少し話しただけでグローバルな視点を持つ賢い人だとすぐに分かった。
タローは調子に乗ってよく喋っていたが、会話が弾むうちにブライアンも武道の経験があることや、彼のご両親が大の日本好きで何度も訪日していることなどが分かり、夜が更けるまでとても楽しい時間を過ごした。パットも「タローは面白い男だな、もっと頻繁に来いよ」と言ってくれるほど、その場は良い雰囲気だった。
帰り道、タローとこんな話をした。
「どう見ても娘夫婦はMAGAではないよね。パットとどうやって会話を合わせているんだろう」
「そんなの、どこの家も同じだよ。ムーちゃんの実家なんて、帰省のたびに超ぎこちないもん。親も親戚もみんな真っ赤っ赤(共和党支持)だから、政治の話にならないよう神経を使ってるよ」
「あはは、それもそうね」
そんなやり取りがあった数日後の「告白」だった。きっとあの後、娘夫婦と政治の話になり、とうとう論破されたのではないか……と想像した。特にイラン攻撃に突入してからは、いくらMAGAであっても、賢い人に論理的に説明されれば、もはや支持する理由は見つけられないだろう。(それでもまだ狂信的な信者はいるけれど……)
そして、もう一つ。8月4日に投開票が行われたミシガン州の連邦上院議員予備選挙の結果が、全米、いや海外でも大きな話題になっている。
引退を表明したゲイリー・ピーターズ上院議員(民主党)の後任を決める予備選挙。民主党の候補者として多額の政治献金を注ぎ込んだ穏健主流派が、巨大企業からの献金を受けない若い草の根活動家に敗れたのだ。
ヘイリー・スティーブンス:約47.5%
アブドゥル・エル・サイード:約48.5%
僅差ながら、イスラム教徒で急進左派のアブドゥル氏が勝利した。彼は巨大資本からの献金を拒否し、草の根の対話とデジタルを駆使。バーニー・サンダースやAOC(アレクサンドリア・オカシオ=コルテス)、エリザベス・ウォーレンらの支援を背に、若者層の心を掴んだ。
ガザの悲惨な状況が続く中、平和を望む若者たちが、親イスラエル派のスティーブンス氏を支持しなかった結果だろう。
アブドゥル氏は演説も巧みで、経歴も素晴らしい。

生い立ち:1985年生まれ(41歳)。
エジプト系移民の家庭で育つムスリム。医師・公衆衛生学者。
ミシガン州で育ち、医学だけでなく公衆衛生政策を専門としてきました。
行政での実績:デトロイト市保健局長を務めた後、2023~2025年にはウェイン郡保健局長として感染症対策や地域医療に携わりました。
政治経歴:2018年にミシガン州知事選民主党予備選へ挑戦しましたが敗北。
その後も地域活動や公衆衛生分野で知名度を高め、2025年に上院選への立候補を表明しました。
勝利までの経緯:
① 草の根運動を徹底
El-Sayed陣営は資金力では劣っていました。
その代わり、約110都市を回り500回以上のイベントを開催し、約12,000人のボランティアを組織という典型的な草の根選挙を展開しました。
② 大量のネガティブ広告を乗り越えた
今回の選挙では、親イスラエル系団体などによる巨額の広告費、総額6,000万ドルを超える選挙資金が投入され、その多くがStevens氏支援に回ったにもかかわらず、El-Sayed氏が勝ち、これは進歩派にとって象徴的な勝利と受け止められています。
③ パレスチナ問題への姿勢
El-Sayed氏は、ガザでのイスラエル軍の行動を強く批判、米国による無条件の軍事支援の見直しを主張しました。
この姿勢はミシガン州に多いアラブ系・ムスリム有権者から支持を集める一方で、大きな論争も呼びました。
④ 医療政策
彼が一貫して掲げてきたのは国民皆保険(Medicare for All)
医療費負担の軽減、富裕層への課税強化、経済格差の是正など、民主党左派の代表的政策です。
ニューヨークのマムダニ旋風に近いムーブメントといえるが、リベラルなニューヨークとは違い、ここは「激戦州」のミシガンだ。そこで急進左派が急浮上したのだから、注目されないはずがない。
マムダニ氏と同様、彼もイスラム教徒であるため、すでにトランプをはじめとする共和党側からは激しい誹謗中傷が始まっている。
さて、中間選挙まで残り3ヶ月を切った。隣人のパットは本当にMAGAを卒業するのか? 今後の行方が、色々な意味で楽しみになってきた。揺り戻しが起こるといいな❤️。
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