設計を手がけたSANAAがナビゲート、美術館と図書館が一体化した台湾初の文化施設「台中緑美図」ーー関係者向け内覧会より
美術館と図書館が一体化した台湾初の文化施設「台中緑美図」。日本の建築家ユニットSANAAと台湾の劉培森建築師事務所がタッグを組んだこの話題の施設、いよいよ10月28日から11月16日までソフトオープン、その後12月13日に正式オープンを迎える予定です。
今回はソフトオープンに先駆けて9月23日に行われた、関係者向け内覧会の様子をお伝えしたいと思います。
「台中緑美図」初のお披露目となる内覧会は、日本からSANAAのお二人、妹島和世さんと西沢立衛さんが来台し、自らご案内されるという貴重な機会。SANAAが台湾で初めて手がける建築ということもあって、多くの台湾メディアが集まっていました。

現場には台中市長の盧秀燕さん、そして台湾の建築師・劉培森さん、美術館と図書館の館長らもお越しになられていました。

(写真提供:臺中綠美圖、撮影:ANPIS FOTO 王世邦)
台中市長の盧秀燕さんは、台中市は文化都市を目指しながらも、これまで市立美術館がなかったことに触れ、今回は念願だった美術館を世界的な建築家チームに手がけてもらったおかげで国際的かつ文化的なランドマークを生み出すことができたと話されていました。今回の国際コンペが行われたのが2013年、構想からここまで、12年ほどかかったそうです。

「台中緑美図」はこんな場所
「台中緑美図」がオープンするのは、台中市の水湳貿易園区という都市再開発エリアにある中央公園の北側。日本統治時代から使用されていた軍用空港の跡地でもあります。

延べ床面積は58,016平方メートル。「自由と美、知識の流動と探究を融合した、透明な文化の森林」をコンセプトに、緩やかに繋がりながらも独立した8棟の建物からなる複合型文化施設です。

(写真提供:臺中綠美圖、撮影:YHLAA李易暹)
公園の景色に溶け込む銀白色の外壁は、アルミメッシュの外層を配した二重構造。プライベート空間らしさもありながら、外の公園の景色も取り込む絶妙なさじ加減でした。資料によれば、このアルミメッシュの穴により、風圧が軽減され、建物の耐風性と全体構造の安全性が向上するそうです。

内覧のハイライト
「緑美図ロビー」
内覧でまず通されたのが、空間的見どころの一つ、「緑美図ロビー」。
「緑美図」正式オープン時には、台湾を代表するアーティスト、マイケル・リン(林明弘)さんの作品『再製』がここに展示される予定だそう。
マイケル・リンさんといえば、SANAAのお二人が設計を手がけられた「金沢21世紀美術館」にも作品が展示されていますから、ここ台中で再び、という感じで楽しみでもありますね。

(写真提供:臺中綠美圖、撮影:YHLAA李易暹)
アルミメッシュで覆われた建物は、緑、風、そして光を取り込み、自然と周囲の環境との繋がりを創り出しています。複数のエントランスが設置されており、公園と周囲の街の両方から容易にアクセスできます。
ガラス張りの円形ルームが2つあり、1つはインフォメーションとして、レンタルなどのサービスを提供しています。もう1つは地下空間への階段の入り口です。ここから美術館のロビーへ、またはエレベーターとエスカレーターで図書館のロビーへとアクセスできます。
空中に浮かぶ連絡通路は、図書館と美術館を繋いでいます。連絡通路からは正面玄関を見下ろすことができ、また違った景観が楽しめます。
「緑美図ロビー」には、鏡面仕上げのステンレスで作られた大きな池があります。穏やかな水面は風に優しく揺れ、美しい反射面を描きながら、ゲストを迎えます。水面から放出されるミストと湿気は体感温度を下げ、空調の効いた館内に入る前に、より快適な「微気候」を体験することができます。
「図書館ロビー」
図書館エリアのロビー。
図書館エリアの天井にだけ設置された、円形のパネルのようなものが特徴的でした。音を吸収する効果があるようです。

「緑美図ロビー」からエスカレーターまたはエレベーターでアクセスできる「図書館ロビー」は、約7メートルの天井高を誇る、明るく開放的な空間です。サービスカウンター、セルフサービス式の図書貸出機、お問い合わせ機、図書消毒機などの設備に加え、新刊図書の展示や閲覧スペースも設けられています。
曲線を多用した家具デザインは、空間に有機的で流れるような流れを生み出しています。来館者は歩きながら本を手に取り、ゆっくりと読書を楽しむことができます。家具は主にアルミで構成されており、周囲の景色や周囲の環境を映し出し、空間に奥行きを与えています。エスカレーター側の天井高は25メートル。天窓と壁面の細長い窓から自然光が差し込み、明るく開放的な雰囲気を演出しています。


「文化の森」
図書館と美術館を繋ぐ空間。このエリア自体の構造も、このエリアから見える他の建物の構造も、非常にユニークで見どころ満載でした。

2つの施設を繋ぐ重要な融合空間として、半屋外の屋上庭園が設けられています。エクスパンドメッシュで囲まれ独立した空間でありながら、素材の通気性により、中央公園との視覚的な繋がりが生まれています。同じエクスパンドメッシュで構成された屋上は、カーテンのように自然に広がり、文化の森に柔らかな雰囲気を添えています。
4階の屋上庭園は、中央公園や中庭と触れ合いながら、訪れる人々にくつろぎの空間を提供します。1階にはコーナーパティオが垂直に設けられ、「屋外-屋外-屋内-屋外」というユニークな構造を創り出しています。5階の円形ブリッジは、美術館と図書館を結ぶ回遊路として機能するだけでなく、方向性のない正円形状によって、建物を行き来する際に訪れる人々に自由な感覚を与えます。
さらに、2つの階を結ぶスロープと螺旋階段は、歩行速度の調整を可能にしています。2つのサービスタワーは陽極酸化アルミニウムパネルで覆われており、太陽光、風景、建物を微妙に反射して、時間帯や天候に応じて豊かな色彩とパターンを作り出します。

(写真提供:臺中綠美圖、撮影:ANPIS FOTO 王世邦)
「美術館ロビー」
圧巻の迫力だった美術館ロビー。視野を広げてくれるような空間でした。

6階建ての美術館と垂直に繋がる高さ27メートルの美術館ロビーは、台湾で最も高い単独展示空間です。開館に際し、韓国のアーティスト、梁慧圭(ヤン・ヘギュ氏がこの空間のために特別に制作した大型作品『Flowing Devotion - Three Harmonies of Tree Shade(意訳:流れる献身 - 樹陰の三つの調和)』が展示されます。この作品は、台湾と韓国に共通する「聖樹文化」を反映し、自然とコミュニティの精神的な繋がりを象徴しています。
美術館は今後も「緑美図」のために国際的なアーティストを招聘し、それぞれ2年間の展示を行う予定です。
展示空間には、来館者を誘導する回遊路として、曲がりくねったスロープが設置されています。透明な空間は外部の自然緑と繋がり、公園を散策しながらでも作品を鑑賞することができます。「緑美図」には、各フロアに4メートルから10メートルまで天井高の異なる5つの展示室が設けられています。台中市立美術館の開館記念展『萬物的邀約(意訳:万物への招待)』では、これら5つの展示室すべてに作品が展示されます。

(写真提供:臺中綠美圖、撮影:YHLAA李易暹)

ソフトオープン時から様々なイベントが開催
「緑美図」のソフトオープン期間中にも、SANAAの妹島さんと西沢さんが再び来台され、講演や国際フォーラムが予定されているそうです。
図書館、美術館もそれぞれ素敵なイベントが企画されているそうですので、ぜひチェックしてみてください。

ロゴやピクトグラムはアーロン・ニエさんのデザイン
「台中緑美図」「台中市立美術館」「台中市立図書館」それぞれのロゴ、施設内の掲示物などにも使われるピクトグラムを手掛けたのは、世界的な人気を持つグラフィックデザイナー、アーロン・ニエさん。訪れた際にはこちらもチェックしてみてください。

二人の館長

台中市立美術館の初代館長に就任されたのは、嘉義市立美術館の館長兼キュレーターを務められていた賴依欣さん(写真右)。
台中市立図書館の館長は、曾惠君さん(写真左)。
「台中緑美図」基本情報
ソフトオープン:2025年10月28日〜2025年11月16日
ソフトオープン時の開館時間:火〜日9:00〜17:00、土9:00〜20:00、祝日も通常通り開館。
正式オープン:2025年12月13日 午後13:00(一般入場)
所在地:台中市西屯區中科路2201號(Googleマップ)
「台中緑美図」オフィシャルサイト:https://tgm.taichung.gov.tw
「台中市立美術館」オフィシャルサイト:https://www.tcam.museum
「台中市立図書館」オフィシャルサイト:www.library.taichung.gov.tw
私の聞き間違いでなければ、台中市長はここに今後地下鉄(MRT)やバスターミナルができる予定だとお話しされていました。
台中市には最近MRT(地下鉄)が通ったので、アクセスは現在でもそこまで悪くはないと思いました。私は、台北から高速鉄道(新幹線)で「台中高鉄駅」まで行き、「文華高中」という駅で降りて、バスに乗り換えて行きました。小雨が降っていたのでバスにしましたが、駅前にYoubike(YouBike 捷運文華高中站)もあったので、晴れていたらYoubikeで行っても良さそうです。
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