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え?嘘でしょ?|小学生の私

今思うと、意味が分からない話。

小学生の頃、
私は自転車で家の周りを走るのが好きだった。

好き、というより、
全力で走るのが好きだった。

ただ移動するためじゃない。
目的地もない。

家の周りを、
まるでマラソンのトラックみたいに、
同じコースをぐるぐる回る。

しかも、
剛スピードで。

なぜそんなことをしていたのかは、
今でも分からない。

競争相手もいない。
誰かに褒められるわけでもない。
タイムを測っていたわけでもない。

ただ、
全力で漕ぎ続けていた。

カーブでは体を傾けて、
「いける、いける」と謎の自信を持っていた。

そして当然のように、
その日は来た。

遠心力に、
完全に負けた。

次の瞬間、
私は自転車ごと溝にハマっていた。

自分でも驚くほど、
きれいに。

スピードが出ていた分、
止まり方も豪快だった。

一瞬、何が起きたのか分からず、
空を見上げていた。

「……え?」

身体は無事。
自転車も無事。

でも、
なぜかものすごく恥ずかしかった。

誰かに見られていたわけでもないのに。

家に帰ってから、
親に言われた。

「何してたん?」

私は少し考えて、
正直に答えた。

「自転車で走ってた」

それ以上、
説明できなかった。

なぜそんなスピードで、
なぜ同じ場所を、
なぜあんなに必死に。

今思うと、
意味が分からない。

でも当時の私は、
至って真剣だった。

多分、
小学生の私は、
何事も全力でやらないと気が済まなかったんだと思う。

向かう先がなくても、
意味がなくても。

とりあえず、
全力で。

溝にハマって、
ようやく止まる。

そんな小学生だった。

※この話は、「え?嘘でしょ?」シリーズのひとつです。

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