法務に同じ質問が何度も──第3回
〜8月31日 09:30
Business Essay
法務部門の翻訳者になった、2年間の話
──第3回|同じ質問が、何度でもやってくる
繰り返しに向き合ううちに、仕組みをつくることにした
2026.06.30 法務 組織 あるある 体制づくり
法務部門の仕事をしていると、ある種の既視感に繰り返し襲われる。
「この相談、前にも来なかったか」──記録をつけていると、それが気のせいではないとわかる。同じテーマの相談が、時期を変えて、同じ部門の別の人から来る。前回の対応記録が残っているのに、相談してきた本人はそれを知らない。あるいは知っていても、「自分のケースは少し違うかもしれない」と思って来る。
責める気にはなれない。ただ、静かに積み上がっていく。部下は遠い目すらしなかった。毎回、初めて聞くような顔で答えていた。それが彼の流儀だった。
人手という問題
着任してしばらくして、ひとつの現実に向き合うことになった。少人数の体制では、これから来るであろう相談の波を受け止めきれない。そう判断した理由はふたつあった。
ひとつは、新規開発案件の構想が複数、水面下で動き始めていたことだ。新しい開発案件が動き出すと、それに紐づく契約相談が芋づる式についてくる。業務委託、売買、工事請負、秘密保持、著作権──ひとつのプロジェクトが動くだけで、相談の種類と量が一気に増える。もうひとつは、シンプルに人手だ。少ない人数では、日常の相談対応をこなしながら複雑な案件に深く向き合う余裕がない。
そこで、ふたつのことを同時に動かした。まず、外部の顧問弁護士との契約を整理した。専門的な判断が必要な案件については、弁護士に相談できる体制を整える。次に、増員を実現した。これによりようやく、「回る」組織になった。
相談するための要件整理
ただし、外部の専門家を加えたことで、新しい課題が生まれた。弁護士の時間は、有限で、有償だ。何でもかんでも相談を持ち込んでいては、コストも時間も無駄になる。相談の質を上げなければならない。
そこで着手したのが、「相談するための要件整理」だ。法務部門に相談を持ち込む前に、事業部門側でいくつかを整理してもらうことにした。
要件整理の骨格
ここから先は
8月1日 09:30 〜 8月31日 09:30
よろしければ応援していただけると幸いです。いただいたチップは活動費に使わせていただきます。
