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4歳での気づき|戦略的に生きる思考法

第7回まで読んでくださっている方、ありがとうございます。

これまで、産後・育児中の今の生活、家族のチーム運営、経営者時代に手放したものを書いてきました。今回からは、少しずつ「私の人生の戦略性は、いつ・どうやって身についたのか」という、過去の話に踏み込んでいきます。

3回シリーズの1回目です。今回は、すべての始まりとも言える幼少期の気づきから。

これは、不利な状況を突破するための思考法の話です。そして、ここで紹介する思考法は、特別な才能ではなく、誰でも今日から使えるものです。

4歳で気づいたこと


私が「戦略的に生きる」という意識を持った最初のきっかけは、4歳の時、2歳下の弟の存在でした。

弟が生まれて、家族の中での扱いを観察していて、男の子と女の子では扱われ方が違う、ということに気づきました。具体的にどんな出来事だったかは、もう細かくは覚えていません。ただ、4歳の私にとっては、衝撃でした。

「同じ家族の中でも、こういう違いがあるのか」

この気づきは、社会の中での女性の立場というところまで、すぐに広がりました。男の子と女の子で選べる選択肢の幅、期待される役割。社会の構造として、女性は不利な側に置かれていると感じました。

4歳でそんなことを考えていた、と書くと不思議に思われるかもしれません。私自身も、なぜそんな早い時期にそこまで考えたのかは、はっきりとは分かりません。ただ、その時に、私の中に二つの理解が生まれました。

「世界は優しいとは限らない」
「待っていても誰も助けてくれない」

不利だと気づいた時、私の中に湧いた感情は、悲しみや諦めではありませんでした。

「だったら、戦略を立てないといけない」

これでした。

不利な条件に置かれているなら、その分、考えて動かなければいけない。何も考えずに流されたら、不利な構造の中に取り込まれる。そう感じていました。

幼稚園児がそんな自覚を持つのは、今思えば変わっています。でも、それが私の人生のすべての起点でした。

そして、この時の二つの理解は、今に至るまで、私の中に残り続けています。

「世界は優しいとは限らない」と知っているから、ストレスフルな状況でも淡々と対処できる。「待っていても誰も助けてくれない」と知っているから、自分から動くことに躊躇がない。

これは、痛みを伴う気づきでしたが、結果として私の人生のあらゆる場面で支えになってきた認識でもあります。

小5の衝撃。「正規ルートでは届かない」


戦略性が具体的な形で発揮されたのは、小5の時でした。

私は私立の名門女子校に通っていて、クラスでも常に上位で、それなりに勉強もできて、油断していた部分がありました。

ある時、模試の結果を見て衝撃を受けました。

「このままでは、自分が目指せると思っていた大学には届かない」

クラスでの順位だけを見ていたら気づけなかった事実が、模試という外部の物差しで突きつけられた瞬間でした。同じ女子校の中でトップクラスでも、全国の受験生の中では全く違う位置にいる。

ここで、多くの子は「もっと勉強する」という選択をします。私もそれを最初に考えました。

でも、もう一つの問いが浮かびました。

「正規ルートで届かないなら、別のルートはないのか?」

これが、その後の私の人生を決定づけた問いだったと思います。

帰国子女枠という発見


別のルートを探し始めて、見つけたのが「帰国子女枠」という制度でした。

当時の私は、留学にも興味を持っていました。将来の事を考えたら英語ができた方がいいと考えたのと、英語圏の教師の方々を3年ほどホームステイで迎えていたので、海外への興味が自然と生まれたのです。それと「正規ルートで届かない」という現実が、ここで一つになりました。

設計したルートはこうでした。

1. 高校で交換留学に行く(1年)
2. 留学先が合えば、日本の高校を辞めて正規留学に切り替える(2〜3年)
3. 帰国子女枠で大学受験する

このルートの強みは、明確でした。

通常の受験ルートは、全国の受験生と学力で勝負します。範囲が広く、競争が激しい。一方、帰国子女枠は、海外経験という別の軸での評価になる。成績・推薦文・作文で判断される。学力一辺倒のレースから降りられる。

「制度を調べて、自分に有利な制度を使い倒す」

これが当時の私が見つけた答えでした。

実行と結果


設計したら、あとは実行です。

高校で交換留学に行き、現地が自分に合うと感じたので、正規留学に切り替えました。2〜3年を海外で過ごし、帰国後に帰国子女枠で大学受験。

成績表と推薦文と作文を提出するだけで、合格できました。日本にいて学力一辺倒で勝負していたら、おそらく届かなかった大学です。

これが私の最初の「戦略の成功体験」でした。

身についた3つの思考法


この経験で身についた思考法は、今の私の事業設計にも、家庭運営にも、全部繋がっています。

そして、これは私だけの特殊能力ではありません。意識すれば、誰でも使える思考法です。一つずつ、具体的な使い方とともに書いていきます。

思考法1:王道だけが道ではない

世の中で「これが普通」「これが当たり前」とされているルートは、一つではありません。別の道、別の制度、別のアプローチが、必ず存在します。それを見つけられる人と、見つけられない人がいるだけです。

では、どうすれば「別の道」を見つけられるのか。

私が使っている方法は、シンプルです。行き詰まった時、「このルールは、誰が、何のために作ったのか?」と問い直す。

たいていのルールや常識は、特定の状況で、特定の目的のために作られています。でも、自分の状況がそれと違うなら、そのルールに従う必要はないかもしれない。

具体的なステップにすると、こうです。

1. 今、自分が「当然」と思っている前提を、紙に書き出す
2. その前提に「本当に?」「なぜ?」と問いをぶつける
3. 前提が崩れたら、そこに別のルートが見えてくる

例えば、トレードでもこれを使っています。

日本人トレーダーは逆張りが好きで、高値や安値での逆張り、つまり「上がりきったところで売る」「下がりきったところで買う」という手法を取る人が大半です。これは王道です。

でも、王道ゆえの落とし穴があります。高値や安値は、チャート上で誰の目にも目立つ。だから、大口の投資家や機関投資家が、そこを狙って大きな注文をぶつけてくることがある。すると価格はその水準を突き抜けて(ブレイクして)しまい、逆張りで入ったポジションは、あっという間にマイナスになる。

みんなが見ている目立つ場所は、みんなが狙うからこそ、罠も仕掛けられているわけです。

そこで私は、別の場所を探します。目立たないけれど、ある程度注文が溜まっていて、反発が起きやすいポイント。そこは穴場なので、大口からは狙われにくい。結果として、綺麗に反発して、勝ちにつながることが多いのです。

「みんなが見ている王道の場所」ではなく、「みんなが見落としている、でも機能する場所」を探す。これは、トレードに限らず、あらゆる競争で使える発想です。目立つ場所は競争が激しく、狙われやすい。優位性は、たいてい目立たない穴場にあります。

思考法2:制度を使い倒す

社会には、知っている人だけが得をする制度が、たくさんあります。誰も教えてくれない、でも調べれば分かる。これを「不公平だ」と感じるか、「自分も調べよう」と動くかで、人生は変わります。

帰国子女枠も、そういう制度の一つでした。存在を知っていて、条件を満たせば使える。知らなければ、存在しないのと同じ。

ここで大事なのは、「制度は、使う側が探しにいくもの」という認識です。

行政の支援、税制の優遇、補助金、各種の特例。これらは、向こうから「あなたは対象ですよ」と教えてくれることは、ほとんどありません。自分で調べて、自分で申請して、初めて使えます。

いくつか、具体例を挙げます。

例えば、離婚後の養育費関連の手続き。元配偶者の住所が分からない場合でも、必ずしも弁護士に依頼する必要はありません。調停調書の写しなど、自分が養育費の債権者であることを証明できる書類があれば、住民票の附票などをたどって、相手の現住所を自分で調べられる制度があります(手続きの詳細や必要書類は、時期や自治体によって変わることがあるので、利用する際は最新の情報を確認してください)。これを知らないと、数万円以上の費用をかけて専門家に依頼することになる。知識の差が、そのままコストの差になる一例です。

ビジネスでも同じです。自分の業種や属性、例えば「IT関連」「女性」「特定の地域に在住・事業所がある」といった条件で、申請できる補助金や助成金が存在します。こうした制度は、条件に当てはまる人が自分で見つけて申請しなければ、受け取れません。

具体的なステップは、こうです。

1. 自分が今いる状況に名前をつける(例:「子育て中」「個人事業主」「IT業種」「〇〇区在住」)
2. その状況に紐づく制度・支援・特例・補助金を、徹底的に調べる
3. 使えるものは、面倒でも申請する

「調べる」「申請する」という地味な行動の差が、長期的には大きな差になります。優秀な人ほど、この「制度を調べて使い倒す」を当たり前にやっています。知識は、ただ持っているだけでは意味がなくて、使って初めて力になります。

思考法3:逆算で動く

「行きたい場所」を先に決めて、そこから今の自分が何をすべきかを逆算する。多くの人は今の延長線で未来を考えますが、未来から逆算した方が、自分の今の動きが明確になります。

これは、おそらく3つの中で一番強力な思考法です。

順算(今の延長で考える)と逆算(ゴールから考える)では、見える景色がまったく違います。順算だと「今できることの範囲」でしか動けない。逆算だと「ゴールに必要なこと」が基準になるので、今やるべきことが明確になり、無駄な行動が削れます。

具体的なステップは、こうです。

1. ゴール(行きたい場所、なりたい状態)を、具体的に決める
2. ゴールと今の自分の「差」を、書き出す
3. その差を埋める道を、複数(できれば正規ルート以外も)考える
4. 最も効率の良い道を選んで、今日やることに落とし込む

私はトレードでも、これを徹底しています。エントリーする前に、まず「どこで利益確定するか」「どこで損切りするか」というゴールと撤退ラインを決める。出口を先に決めてから入る。逆算です。これをやらずに「とりあえず入って、上がったら考える」だと、感情に流されて判断を誤ります。

ゴールを先に決める。それだけで、今の行動の精度が変わります。

3つの思考法は、掛け合わせると強い


この3つは、単独でも使えますが、掛け合わせると威力が増します。

帰国子女枠の時、私は無意識にこの3つを同時に使っていました。

「正規ルートで大学に届かない」と気づいた時、まず「王道だけが道ではない」と別ルートを探した(思考法1)。そして「帰国子女枠」という制度を見つけ、使い倒すことにした(思考法2)。さらに「帰国子女枠で合格する」というゴールから逆算して、いつ留学し、いつ帰国し、何を準備するかを組み立てた(思考法3)。

一つの目標に対して、別ルートを探し、使える制度を見つけ、逆算で道を引く。この組み合わせが、不利な状況を突破する力になります。

今も、この3つで動いている


そして、これは過去の話ではありません。

今、私は産後・年子育児中という、時間も体力も限られた状況で、開発・トレード・出版という複数の事業を進めています。

普通なら「育児に専念する」か「仕事を諦める」かの二択に見える状況です。でも私は「王道だけが道ではない」と考え、両立できる別の形を探しました。AIを使って開発を効率化し、スキマ時間で動ける仕組みを作る。これも、当たり前とされる働き方の「別ルート」を探した結果です。

「制度を使い倒す」も健在で、今は海外移住に向けて、移住先の制度や税制を徹底的に調べています。「逆算」は、移住というゴールから、今やるべき事業の準備を組み立てる形で機能しています。

4歳で芽生え、小5で形になった思考法が、40代の今も、まったく同じように動いている。むしろ、状況が厳しいほど、この思考法は力を発揮します。

最後に:戦略は、自分を守るための優しさ


戦略的に生きる、というと、冷たく聞こえるかもしれません。

でも私にとっては、戦略を立てることは、自分と家族を守るための優しさです。何も考えずに流される方が、結果として大事な人を守れなくなる。だから考える、調べる、逆算する。

そして、これらの思考法は、特別な才能ではありません。

「当たり前を疑う」「制度を調べる」「ゴールから逆算する」。どれも、意識すれば、今日から誰でも始められます。不利な状況にいる人ほど、この思考法は効きます。私自身が、不利な状況から何度も道を切り開いてきた、生きた証拠です。

4歳の私が気づいたことは、間違っていなかったと、今でも思います。

次回は、この戦略性が「再婚」という人生最大の選択にどう発揮されたか、を書きます。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

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