メコン川クルーズ、想像より泥っぽくて最高だった
2日目
12月29日
朝からフォーを食べられる国、かなり好きだと思った。

私は小麦を食べるとすぐ肌が荒れる。わかりやすく顔に出るタイプだ。だから米粉文化のベトナム料理は相性が良い。
山盛りのパクチー。山盛りのレタス。山盛りの大葉。
5日間の滞在で、米粉と野菜をこれでもかと食べた。体が喜んでいた気がする。たぶん気のせいじゃない。
この日はHISのオプショナルツアーで、クチトンネルとメコン川へ。
旅行を計画するまで、クチトンネルなんて存在すら知らなかった。26歳、世界史の表面だけなぞって生きてきた人間である。
クチトンネルは、ベトナム戦争中にベトナム軍が使っていた地下トンネル。作戦を立てたり、身を隠したりする拠点だったらしい。
あるトンネルの入口は30cm×40cmくらい。
冷静に考えて、ほぼ荷物入れである。

ベトナム人は小柄で、敵だったアメリカ兵は大柄。その体格差を利用して、小さい入口にしたらしい。
見つかりにくいし、見つかっても相手は入れない。頭がいい。戦争の中で磨かれた知恵って、なんかやるせないな。
一部のトンネルは観光客向けに入れるようになっていて、私も挑戦した。
これが本当にしんどかった。
中腰よりもっと低い姿勢。ほぼ空気イス。
その状態で60m進む。太ももが先に終わる。
私は数分で「もう無理」と思ったのに、当時の人たちはそこに隠れ、移動し、生き延びていた。
兵士が食べていた食事も体験させてもらった。
ふかしたキャッサバだけ。

タピオカの原料になる芋らしい。味は、じゃがいもとさつまいもを足して、甘さだけ全力で抜いた感じ。かなり淡白。正直、テンションの上がる食べ物ではない。
ツアー中、ガイドさんが何度も言っていた。
「整備された道以外は絶対に歩かないでください。まだ地雷があります」
観光地で聞く言葉じゃない。
でも、ここでは現実だった。
いつ死ぬかわからない場所で、狭い地下に潜って、質素な食事でつなぐ生活。
過酷とか悲惨とか、そういう単語を並べても全然足りない。
平和な国でぬるく育った私は、たぶん一生この苦しさを本当の意味では理解できないんだろうと思った。戦争が教科書の中にしかない人生だから。
ちなみに写真を撮っても、あとで見返すと「これ何?」になりがちなのがクチトンネルである。映えはゼロ。
その後は昼食でサイゴンビール。
揚げ餅的な何かと、魚の丸揚げと、生春巻きにフォー。ここでもベトナム料理を堪能した。

そして、この日の大本命。メコン川ツアーへ。
ボートにはワニ避けのための「目」が描かれていた。
この目でワニが逃げるかは、かなり怪しい。気持ちの問題だと思う。

川の色は、大雨のあとの泥水みたいな茶色。
しかも雨上がりとかではなく、常にこれらしい。
日本の川って、かなりきれいなんだなとこういう時に気づく。普段は何も思っていないのに。
メコン川は、チベット高原を源流に、中国、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムを流れる大河。
教科書で見た名前の場所に、自分が今いる。
それだけでちょっと興奮した。


ぐらぐら揺れる船でキャーキャー言いながら、濁った川を進む。
両脇には南国っぽい植物が生い茂っていて、景色はかなりジャングルクルーズだった。ディズニーより湿度高め。
船を漕いでくれたベトナムのおばちゃんたちにチップを渡して終了。
ホーチミン中心部に戻ったら、Kちゃんとの海外旅行恒例行事、スタバへ。

海外のスタバで、その国限定のマグカップを買う。
限定ドリンクもちゃんと飲む。こういう小さい儀式が旅っぽくて好きだ。
夜の街を歩く時間も好きだった。
私もKちゃんも足腰だけは強いので、この旅行中は毎日1万歩超え。
そして睡眠時間は今日も短い。
若さでねじ伏せる旅だった。
