有松絞り×コト・イミ体験 ―― 若者に伝統を届ける、新しい“体験”のかたち
伝統を体験に変える:有松絞りと“意味”のある消費
名古屋市有松地区で江戸時代から続く絞り染めの技術「有松絞り」は、100以上の技法を持ち、その精緻な模様で国内外から高い評価を受けています。しかし、近年は着物離れや後継者不足により、需要が減少し、持続が難しい状況にあります。
こうした背景の中、注目されているのが“体験”を通じたアプローチです。これは、単なる商品購入ではなく、「誰が、どこで、どんな思いで作ったか」という文脈を体験として伝えることで、若者たちの共感や参加を促し、消費行動に新たな意味を与えています。
有松のまちごと体験:伝統に“触れる”仕掛け
2025年6月7日・8日に開催される「第41回 有松絞りまつり」ではまち全体が一体となって来訪者を迎えるイベントが展開されます。来場者は絞り職人の工房見学や、実際の染色体験ワークショップに参加できるなど、従来の展示や販売を超えた「参加型」の体験が充実しています。
まちを歩きながら、職人と対話し、実際に絞って染める。この一連のプロセスの中で、「見る」「買う」から、「感じる」「関わる」へと、体験の質が深まっていくのです。こうしたストーリーのある体験が“シェアしたくなる”価値となり、SNSなどを通じて広がりを生んでいます。
若者の共感と参加が“未来”をつくる
伝統を未来へつなぐには、保存だけでなく、新しい関係性の中に生かしていくことが不可欠です。有松絞りまつりのような“まちごと体験”は、若い世代が伝統工芸を「知識」ではなく「実感」として理解する機会を提供しています。
若者の感性に響くのは、共感できる背景と、自分が何かに関われたという実感です。共感・参加・発信というサイクルの中に伝統工芸を位置づけることができれば、それは持続可能な未来への第一歩となるでしょう。
「たてとよこと」は、伝統の中に眠る“物語”を再発見し、それを今の暮らしや価値観と交差させていく活動を進めています。今回の「有松絞り × コト・イミ体験」は、まさに“意味”を重ねることで人と伝統がつながる好例でした。私たちも今後、地域の職人や団体と連携し、体験を軸にした「共感設計」による取り組みを模索していきます。伝統は受け継ぐだけでなく、一緒に感じ、参加して、共につくっていくもの。これからもそんなプロジェクトを紹介し、実践していきたいと考えています。
※出典:第41回 有松絞りまつりサイト
