能勢電鉄の2025年度移動等円滑化取組計画書と1700系以降の置換について
2025年8月13日(水)、能勢電鉄の2025年度移動等円滑化取組計画書が公開された。
今回は車両動向に関係しそうな2項目について記事にする。
1. 移動等円滑化基準に適合していない編成の増加について
2024年度の移動等円滑化取組計画書では移動等円滑化基準に適合していない編成は13編成中2編成だったのに対し、2025年度は15編成中6編成に増加している。
1-①編成数増加の背景
2023年度に阪急7036×2R・7037×2Rを譲受し、阪神車両メンテナンスで改造を行なった7210×2R(茜音)・7211×2R(藍彩)の2編成が2024年度内にデビューしており、総編成数が増加している。
この2編成も移動等円滑化基準に適合した改造メニューでデビューしている為、これまでに導入された編成で移動等円滑化基準に適合していない編成が4本増加していることになる。
1-②継続している不適合編成の推定
2024年度時点で適合していない編成は具体的には明示されていないが、阪急2000系列を譲受し1990年代にデビューした1755×4R・1757×4Rの2編成が該当したとみられる。
1755×4Rは既に引退したが、2025年度に入っても運行に充当されていた為2025年度移動等円滑化取組計画書でもカウントに含まれた可能性が高い。
また、1757×4Rは2025年度も現役である。
1-③移動等円滑化整備ガイドライン車両等編を確認する
移動等円滑化整備ガイドラインが国土交通省によって2024年3月に改訂された。
義務となる移動等円滑化基準は以下の通りである。
・段差/隙間に関するもの
・乗降口の幅
・行き先・車両種別表示
・転落防止設備の設置
・床面の仕上げ
・乗降口脇の手すり
・乗降口付近の段の識別
・号車及び乗降口位置(扉番号)等の点字・文字表示
・優先席の表示
・手すりの設置
・車椅子スペース(設置数/設置位置/広さ/通路の広さ/表示/手すり/床面の仕上げ)
・車椅子対応トイレ(設置基準/出入口の戸の幅)
・車椅子用設備間の通路幅
・案内表示装置(LED、液晶等)
・案内放送装置
・転落防止設備の設置
能勢電鉄で「案内表示装置(LED、液晶(=LCD)等)」を装備していない編成は2014年度導入の6002×8R、2016年度導入の5108×4R、5142×2R、5124×2Rの計4編成であり、この4編成が移動等円滑化基準に適合していない編成と推察出来る。
1-④ 移動等円滑化整備ガイドライン車両等編における案内装置の取り扱い変遷
1990年に「心身障害者・高齢者のための公共交通機関の車両構造に関するモデルデザイン」が制定、2001年にバリアフリー法の改変を受け全面的な見直しが行われた。
2007年7月に国土交通省によって公共交通機関の車両等に関する移動等円滑化整備ガイドライン
(バリアフリー整備ガイドライン(車両等編))が制定、ここで車内の視覚情報提供装置一般(案内表示の役割)について触れられていたものの、LEDやLCDといった技術形式は具体的に記載されていなかった。
2013年には公共交通機関の車両等に関する移動等円滑化整備ガイドラインが初の正式版として策定。
この時点では「案内表示装置」に関する記述はありつつも、依然としてLEDやLCDに特化した明記はなく、主に「望ましい視覚的案内設備」として抽象的に触れられていた。
2021年・2022年改訂でも案内表示”の機能が必要であることは示されていたものの、具体的な装置形式による分類や項目化は未実装であった。
2024年3月改訂で初めて、「案内表示装置〈LED、液晶等〉」という明確な技術形式の記載が登場。
案内表示装置が基準上のチェック項目として明確に位置づけられるようになった。
1-⑤ 2024年3月改訂移動等円滑化整備ガイドライン車両等編の適用開始時期について
2024年3月に改訂の「公共交通機関の車両等に関する移動等円滑化整備ガイドライン」(車両等編)の報告への適用開始時期について、報告書への具体的な反映開始時点は国土交通省の公表資料や報道発表では明示されていない。
しかし一般的に年度末に改訂されたガイドラインの内容は、その年度中に行われた整備には間に合わないため、翌年度以降の報告から本格的に適用されるケースが多いと推察出来る。
したがって、能勢電鉄も2025年度移動等円滑化取組計画書から2024年3月に改訂の「公共交通機関の車両等に関する移動等円滑化整備ガイドライン」(車両等編)を反映し始めたと考えられる。
1-⑥ 4編成の置き換えに関して
2013年に「移動等円滑化整備ガイドライン(車両等編)」が制定されたが、当時の基準で能勢電鉄の不適合編成は16編成中3100系以外の15編成。
制定後15編成の置換は減便を含めても13年程度かかっている。
しかし、過去10年でも新車が導入されなかった年度は2018・2020・2022・2023の4年度のみ。
各年度の動きを詳しく見ると2018年度は阪急7016→7201への改造中、2020年度は阪急7026→7202への改造中、2023年度は阪急7036→7210・阪急7037→7211の改造中であり、新車(中古)の導入に関する動きが全くなかったのは2022年度のみである。
置換の義務はあれど期限は特に設けられていないように思えるが、継続して置換の意欲をアピールする必要はあるのかもしれない。
鉄道車両の減価償却期間は13年であるが、中古車両はこれには当てはまらないことが多い為、4編成とも導入から13年経過していないものの1757×4R置換完了からさほど期間を空けず4連は7200系や新形式、他の阪急所属8連を譲受して置き換えられるのではないだろうか。
2.1700系1757×4Rの置き換え時期について
現在、阪急7005編成を阪神車両メンテナンスで7203×4Rにする改造が行われており、これが2026年春に営業運転終了が告知されている1700系を置き換える線が濃厚だ。
しかし、調べた限りでは移動等円滑化取組計画書の第1号様式(日本産業規格A列4番)では報告年度内に導入する予定の形式と両数の記述が行われている。
推測の域を出ないが、これが正しければ7203×4Rのデビューは2025年度以降、すなわち2026年4月以降になると推測出来る。
現在の能勢電鉄は車両運用にさして余裕はない為、引退は7203×4Rの入線と同時に入換になると思われる。
最後まで残った元阪急2000系、かつてオートカーと呼ばれた1757×4Rはもう一度桜吹雪の中を駆け抜けることが出来そうだ。
