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【3分間小説】ひだまりのメロディー|陽のあたる坂道 ― Do As Infinity

この作品はフィクションです。特定の曲や歌詞にインスピレーションを得て執筆していますが、実在の人物・出来事とは関係ありません。音楽をきっかけに生まれた短い小説としてお楽しみください。

東京の狭いアパートで、千秋は届いたばかりのメッセージに声を上げて喜んだ。 高校時代、同じバンドで毎日を過ごした親友・真歩からの結婚報告だった。

自分のことみたいに嬉しくて、胸の奥がじんわりと熱くなる。と同時に、大切な彼女の門出に、何か自分らしいお祝いはできないだろうかと考えた。

ステージで歌う夢を諦め、今は音楽制作会社の裏方として締め切りに追われる日々。今の私にできることなんて――。

ふと、クローゼットの奥から高校時代のアルバムを取り出し、ページをめくった。 放課後の夕焼け、重い機材、真歩の弾けるような笑顔。すべてが色鮮やかに蘇ってきた瞬間、ひらめいた。

「曲を作ろう!」

そう決めた瞬間、不思議なほどスラスラと歌詞が溢れ、優しいメロディーが頭の中に降りてきた。かつて自分のために書いていた曲とは違う。

ただ真歩の幸せだけを願う、世界にひとつだけのウエディングソング。
その夜、千秋は夢中でペンを走らせた。

初夏の柔らかな光が差し込む地元。
千秋はあの夜に完成させた曲を抱えて、真歩の結婚式へと向かっていた。 式場は、高校時代に二人が毎日「負けないで!」と励まし合いながら自転車で上った、あの長い坂道の先にある教会だ。

控室のドアを開けると、そこには純白のウエディングドレスに身を包んだ真歩がいた。

「千秋!」

その瞬間、真歩は昔と全く変わらない、まぶしい笑顔で手を振りながら駆け寄ってきた。東京で数字と現実に追われ、少しだけ乾きかけていた千秋の心が、その笑顔だけで一気に満たされていく。

披露宴の終盤、千秋はアコースティックギターを抱えて、小さなステージに立った。 裏方に回ってからは、誰かの前で自分の声で歌うことなんてなかった。心臓の音がうるさい。

深く息を吸い、イントロのコードを優しく鳴らした。真歩の真っ直ぐな瞳を見つめながら、あの夜に降りてきたメロディーを鳴らす。

「迷った時は 立ち止まってもいい」
「愛すべき人よ 幸せになれ」

違う道を選んだ私たち。そして、私はステージを降りた。
けれど、真歩のために歌う今、自分の歩んできた音楽のすべてがこの瞬間のためにあったのだと確信できた。

歌い終えると、真歩の目からは大粒の涙がこぼれ、会場は温かい拍手に包まれた。駆け寄ってきた真歩と、ドレスがシワになるのも構わずに強く抱きしめ合う。

式が終わり、夕暮れの陽のあたる坂道を下りながら、千秋は前を向いて歩いていた。 進む道は違っても、私たちはこれからもそれぞれの坂道を、しっかりとした足取りで上っていく。耳の奥で、まだあの優しいメロディーが心地よく響いていた。

変わってくもの 変わらない物も
増えるけれど
ひとつひとつがただ愛しく思える
思い出して 途切れていたメロディー
胸にそっと!!

陽のあたる坂道|Do As Infinity

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しおりん🫖🫧 チップありがとうございます! 大変はげみになります。