【3分間小説】光に焼かれる昨日までの僕|新しい世界 ― 乃木坂46
この作品はフィクションです。特定の曲や歌詞にインスピレーションを得て執筆していますが、実在の人物・出来事とは関係ありません。音楽をきっかけに生まれた短い小説としてお楽しみください。
「昨日の夜、部屋にいなかったよね?」
週末の夜、スピーカー越しに届いた彼女の声は、確信に満ちていた。
心臓が跳ね、指先が冷たくなる。適当な嘘で誤魔化そうとした言葉が、喉の奥で渋滞した。彼女はきっと、僕がいない証拠を何か掴んでいる。
「……うん、外に出てたよ」
短い沈黙。彼女が息を呑む音が聞こえた。
彼女を愛していなかったわけじゃない。でも、僕の心には彼女には決して言えない秘密があった。
「誰かといたの?」
「……ごめん。好きな人ができた」
昨夜、僕は彼と過ごした。
彼の手の温もり、低い声、自分と同じ骨格のたくましさ。
それを思い出すだけで、胸が痛いほど締め付けられる。
でも、その相手については、どうしても彼女には言えなかった。
絶対に、彼女は傷つく。
裏切りというナイフを突き立てるだけで彼女を傷つけるのに十分なのに、さらに僕の秘密を打ち明ける勇気が、僕にはなかった。それは彼女を傷つけないための言い訳で、僕の臆病さかもしれない。
「そう、なんだ……」
電話が切れた。
プツッという無機質な音が、僕たちの2年間を終わらせた。
暗い部屋で、一人泣いた。
彼女を傷つけた罪悪感と、ついに自分の本当の姿を認めてしまったという、後戻りできない孤独感。
だけど、不思議だった。
絶望的な喪失感に追われているはずなのに、今まで感じたことのない透明な強さが芽生えていた。
僕はもう、「理想とされる僕」を演じなくていい。
僕は、「彼を愛する僕」として生きていく。
泣き疲れて寝落ちした翌朝。
ベッドから起き上がり、窓際に向かってカーテンを開ける。
差し込んできた強烈な朝日は、僕の昨日までの嘘をすべて焼き払うように眩しかった。
昨夜の涙で少し重い瞼を細めながら、僕は青い空を仰ぐ。
失ったものはあまりにも大きい。
だけど、目の前に広がる景色は、昨日まで見ていたものとは全く違う色をしていた。心なしか、気持ちも軽い。
誰にも祝福されないかもしれない、険しい道。
それでも僕は自分の足で、この「新しい世界」を歩いていく。
この胸の中で目覚めた世界は
いつからか何となく気付いてた
本当の自分を僕は認める
君よりも彼を愛していること
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チップありがとうございます!
大変はげみになります。