【3分間小説】ただいまのあとで|虹 ― 二宮和也(嵐)
この作品はフィクションです。特定の曲や歌詞にインスピレーションを得て執筆していますが、実在の人物・出来事とは関係ありません。音楽をきっかけに生まれた短い小説としてお楽しみください。
「ただいまー」
「・・・・・」
まーたどっか行っちゃったよ。
どうせ、いつもの所だろうな。
夕飯を作るために買ってきた食料品たちを片付けてから、もう一度鍵を手に取り外に出る。
さっきより西陽が強くなった。
もう、そういう季節か。
眩しい夕日に手を伸ばしつつ、『あの場所』へ小走りで向かう。
近道をしながらたどり着いた先は、商店街の小さな喫茶店。あいつは学生のときから、何かあったらいつもここにくる。
「こんにちは。今日来てる?」
奥を指差しながら小声で聞いてみた。
おじいちゃんマスターは目を細めながら、こちらを見る。
「おぉ。こんにちは。今日はまだ来てないよ。」
「そっか。待たせてもらうよー。あ、ブレンドで!」
「またかいな。相変わらずだね。はいよー!」
おじいちゃんは、ホッホッと笑いながら奥へ下がる。
私はいつもの場所で待機。
マスター曰く、中学生の頃からここに来ていたそう。夜遅くまでいることもあって、気になったから声をかけたんだって。
その日からマスターとよく話すようになったみたい。
大人になって私が迎えにくるようになった時に、こっそり教えてくれた。
「あの子は寂しいんだよ。だけど不器用で、自分でもどうしようもないんだと思うよ。」
「本当にバカだね、あの子は。大人になっても全然成長しない。」
そう言って呆れた顔をしているけど、マスターもあいつを可愛がっている。
そうだね。本当に不器用だよ。何度も心が折れそうになったよ。そんなことを思い返してたら、来客を告げるベルが鳴った。
ハッとして姿勢を正す。
にやけそうな顔を必死に抑える。
「えっ」
蚊の鳴くような声を聞き逃さなかった。
驚いているその顔が愛おしくて、笑みがこぼれる。
「サプラーーーイズwwまあ座りなはれやw」
隣の席をポンポン叩きながら出迎えたのに、口を尖らせてプイッと横を見る。そしてその場の席に着いて、窓の外を見てる。
歩み寄って顔を覗き込む。
「ごめんね?」
「・・・じゃあ、こっちに来てよ。」
・・・んもぅ、可愛いんだから!
「これ飲んだら帰ろう!」
帰り道。
「明日晴れるかなー?晴れてほしいなー!」
「げっ。一時雨じゃん。傘持ってかなきゃだね。」
次の日の朝。
パラパラ雨が降っていた。傘を持って家を出る。
「傘が邪魔で手つなげないねー」
今日はどうしても手を繋ぎたかったんだ。
その気持ちを知ってか知らずか、きみは笑った。
「なんで笑うの!」
そう言って私はきみの真似して、わざと口を尖らせた。
きみは、ごめんねを待たずに私に優しくキスした。
ずるいよ。許しちゃうじゃん。
雨が止んで虹が出てきた。
「わあ!きれいな虹!私たちをお祝いしてくれてるのかな!?」
はしゃぐ私に、後ろから君が
「いや お前の方が・・・」
照れ始めるきみ。
「なんだよぅ〜最後聞こえなかったぞ?なに?なに??ねーぇっ!!」
わかってるくせに、聞きたい私。
ありがとう。ありがとう。
これからもよろしくね。
面倒くさいからって 素直じゃないんだから 何で言えないのかな?
好きだよ 一言よ?
たまには聞きたいな 今日は私と君が 名字を重ねた日
愛が芽吹いた日
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チップありがとうございます!
大変はげみになります。