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【創作のようなもの】小松菜とチューリップ

僕は小松菜。
生まれたときから小松菜。
ビタミン、鉄分、カルシウムが豊富な野菜だ。
あまり花は知られていないけど、黄色くて可憐な花なんだ。

だけど僕の周りはみんな、チューリップが良いって言う。
家族にも友だちにも、チューリップであることを求められる。
色とりどりのきれいな花。
小さい子どもでも知っている。
さいた~さいた~、なんて歌だってある。

親は僕にチューリップになれ、チューリップであれって言う。
だから僕は頑張った。
怒られないように、ガッカリされないように。
すごくすごく頑張った。

頑張った僕は、チューリップみたいになった。
親は喜んで自慢した。
チューリップみたいになった僕の周りに、たくさんの蝶々が集まった。
きれいなチューリップねって、みんなが言う。

小松菜の僕には見向きもしなかったのに。
チューリップみたいになったら、集まってきた蝶々たち。
だから僕は、自分が小松菜だって言えなくなった。
ひたすらチューリップであろうとした。

それはとっても苦しかった。

いつしか僕は、自分がチューリップだと思い込んでいた。
小松菜の気持ちを押し込めた。
なんだか苦しいのに、自分の気持ちが分からなくなった。
みんな僕を褒めてくれるのに、なんだかいつも苦しい。

歩いていたときに見かけたチューリップ。上から。

君は小松菜なのに、どうしてチューリップのふりをしているの?
ある日、チューリップが僕に話しかけてきた。
生まれたときからチューリップの君にはわからない。
僕はチューリップじゃないといけなかったんだ。

そんなの、おかしいよ。
チューリップにだって色々いるんだ。
それに、小松菜は栄養たっぷりで立派な野菜じゃないか。
それを隠すなんて勿体ない。

僕は驚いた。
今まで僕にそんなことを言ってくれた人はいなかった。
チューリップじゃなければ、怒られたりガッカリされたり。
見向きもされなかったのに。

そんなの、おかしいよ。
小松菜には小松菜の、チューリップにはチューリップの良さがある。
君をチューリップだと思って寄ってきた奴らは、本当の君を見ていない。
奴らの都合が良い君を好んでる。

君は必死でチューリップのふりをしているけど。
それじゃあ、小松菜の君が良いって思ってくれる人に見つけてもらえない。
小松菜にチューリップを求める人が、そんなに大事?
ボクはチューリップのふりをする君より、小松菜の君の方が素敵だと思うけど。

ボクはチューリップだから、小松菜にはなれない。
バラが好きだと言う人のために、バラになろうとも思わない。
チューリップが好きだって言ってくれる人がいれば、それでいいんだ。
君は小松菜の中で一番の小松菜を目指せばいいんだよ。

もちろん、一番じゃなくたって良いんだけどね。

小松菜としての僕を見てくれたチューリップと、僕は友だちになった。
チューリップは小松菜の僕の良い所を褒めてくれた。
僕自身を認めてもらえることが、こんなに嬉しいなんて。
チューリップのふりをしていたら気づかなかった。

僕は小松菜。
生まれたときから小松菜。
ビタミン、鉄分、カルシウムが豊富な野菜だ。
あまり花は知られていないけど、黄色くて可憐な花なんだ。


こんにちは。羽根宮です。
心を病んでいたときに、心理学の本などをたくさん読んでいた時期がありました。
チューリップが絶対である家に生まれ、チューリップであろうとしていました。

もがいていたときに読んで、気持ちが楽になったのが加藤諦三さんの本でした。


小松菜には小松菜の良さがある。
小松菜を良いと言ってくれる人もいるんです。

あ、小松菜とチューリップは本の中にちょこっと出てきた比喩です。
小松菜を下げるつもりも、チューリップを特別視するつもりもありません。
小松菜のおひたし、好きです。

読んで下さってありがとうございました。
羽根宮でした。

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