国旗で国論が二つに割れる国
アクセントは真っ二つです(笑)
最近、国旗損壊罪をめぐって、
また左右が威勢よく殴り合っている。
「国旗は神聖だ!」
「表現の自由だ!」
いつもの風景である。

ところが日本には、もっと根本的な問題がある。
実は「国旗」という言葉のアクセントが東日本と西日本で違う。(※注1)
横須賀と呉。
大湊と佐世保。
舞鶴。
それぞれ少しずつ違う。(※注2)
もし国旗が絶対神聖で、
一字一句、一音一句が絶対なら、
この違いだけでも大論争になってもおかしくない。
しかし、不思議なことに海上自衛隊では、ほとんど問題にならない。
なぜか。
答えは簡単である。
そもそも号令が違うからだ。
艦内に響くのは、
「自衛艦旗上げ方五分前!」(※注4)
である。
毎朝、艦首には日章旗が時報とともに一気に掲揚される。(※注3)
一方、艦尾の自衛艦旗はラッパの「君が代」に合わせ、わずか数メートルの旗竿を大きな所作でゆっくりと掲揚する。
外から見れば儀式である。
中にいる者にとっては毎日の任務である。
そして、この光景を毎日繰り返す海の男たちは、
旗について案外あっさりしている。
旗に魂は宿らない。
だから洗濯もする。
ほつれれば縫う。
古くなれば廃棄し、新品を申請する。
だが、掲げる瞬間だけは別である。
艦首の日章旗は時報とともに空へ走り、
艦尾の自衛艦旗はラッパの「君が代」に寄り添うように、ゆっくりと昇る。
敬意を払っているのは布ではない。
その布が表す国家であり、自衛艦であり、
それを掲げる自分たちの責務である。
だから旗は消耗品でいい。
むしろ消耗品だからこそ、
いつも一番美しい旗を掲げる。
そこにあるのは偶像崇拝ではない。
国家への敬意を、
毎日の所作で表す真正性である。

📝 本文の脚注
注1:国旗のアクセント(東日本と西日本の違い)
東日本(頭高型):「コッキ」と、最初の「コ」を高く発音する。
西日本(平板型・尾高型):「コッキ」と、後ろを高く発音する(または「コ」を低く入り、後ろを下げる)。 日本語の標準語(東京式アクセント)では頭高型が一般的とされるが、近畿圏をはじめとする西日本全域では日常的に平板なアクセントで発音されることが多い。
注2:横須賀、呉、大湊、佐世保、舞鶴 いずれも海上自衛隊の「地方総監部」が置かれている主要な基地(主要守備隊)の所在地。それぞれの港や街で育った隊員たちが日本全国から集まるため、艦内は必然的に東西のアクセントが混在する空間となる。
注3:日章旗と自衛艦旗
日章旗(いわゆる日の丸): 白地に赤丸の旗。一般にいう「国旗」であり、自衛艦においては艦首(船の手前)に掲げられる。
自衛艦旗(旭日旗): 白地に十六条の赤光を配した旗。自衛隊法により「国旗に準じるもの」として定められており、自衛艦の艦尾(船の後ろ)に掲げられる。国際法上、その船舶が国家の軍事組織に属していることを示す「軍艦旗(エンサイン)」としての役割を持つ。
注4:自衛艦旗上げ方五分前(じえいかんきあげかたごふんまえ) 海上自衛隊の艦船で、毎朝の旗の掲揚(午前8時)の5分前(7時55分)に艦内に流れる号令。この号令がかかると、掲揚を担当する乗員が配置につき、艦内は厳粛な準備動作に入る。
いいなと思ったら応援しよう!
チップのお返しは・・・なにができるのか?思案橋です