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2000年8月15日(火)

【春菊:立石たていし 啓二けいじ富田とみた つよし
「相変わらずお誘いが急やな」
「そいがさー、今日熊本に帰ってくる予定なかったったいねー」
 先程飲まないかとお誘いされた富田 剛がいつも誘われるタイミングが急であることを口にし、それを聞いた立石 啓二はいつものような言い訳を話し始めた。ここは健軍エリアにあるスナック『春菊』。立石の行きつけのお店であり、今日も店内には常連客がたくさん訪れてる。富田もなんだかんだで立石と一緒にかなりの回数来店しているので、常連と呼んでも問題ないであろう。
「たまたま店を見れる人がいたから良かったようなものの」
「まあ無理なら無理でしかたなかたいね」
 現在の時間も『AXIS』ゲーセン部は営業しているので、他に従業員がいなければ富田が入らなければならないのは自明の理である。ただ、本日はたまたまゲームをしに来ていたバイトの子がシフトに入れるとのことだったので、今はその子がゲーセン部を見ているのである。
「まあまあ楽しく飲みましょー」
 こう言いながらお店の女の子の菜々ちゃんがカウンターに座っている富田と立石の間の椅子に座る。そして立石のグラスには黒霧島の水割り、富田のグラスには黒霧島のロックを作った。
「ところでたっちゃんは長崎に行ってきたんよね。お土産買ってきたー?」
 帰省していたことを知っているようで、菜々ちゃんが何かお土産を頼んでいたようである。
「買ってきたよー。ちょっと、あれ、えっと」
 質問に回答しながら立石が隣の椅子に置いてい大きなバッグを漁り始める。何かわからないが立石は普段から大きめのバッグを持ち歩き、その中には必要かどうか他人にはわからないようなものがたくさん入っているのである。
「これ菜々ちゃんに」
「わー、たっちゃんありがとー」
 頼まれていたお土産を渡されて菜々ちゃんは歓喜の声をあげる。このように女性にマメな性格が人に好かれる要因なのだと思わずにはいられない。これだけではなく、立石はまだまだバッグから色々なものを取り出してテーブルに並べ出す。
「これはママにお土産」
 こう言いながらいくつかの商品が並んだので菜々ちゃんが大きな声で叫び声を上げる。
「ママー、たっちゃんが土産買ってきてくれたよー」
「たっちゃんありがとー」
 他の客の相手をしていたママが大きな声で礼を返した。それが聞こえているのかどうかわからない感じで立石はまだバッグをあさっている。そして1番奥側にあったらしいものを取り出してテーブルの上に置いた。
「これは真理子の分」
「あー、たつサンキュー」
 テーブル席の客についていた菜々ちゃんの妹の真理子ちゃんだったが、立石の土産に気づいて大きな声で返事を返した。これで本日店にいる女の子にお土産を渡し終えたことになり立石はノルマを達成したような表情を浮かべる。そしてカラオケリモコンを手に取って、何を歌おうかと頭を悩ませるのであった。

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