空を蹴り破る、青い衝動!サムライブルーの進化
日本代表の試合を見ていて、最近どうしても考えてしまうことがある。
それはサッカーの話ではない。
むしろ会社や学校、地域社会など、私たちが日々生きている「組織」の話だ。
かつて日本代表には、見えない天井があった。
身体能力の差。
歴史の差。
経験の差。
そして何より、「世界にはかなわない」という空気だ。
もちろん誰も口にはしない。
だけど心のどこかで、「ベスト8くらいまで行けたら大成功だよね」という無言の了解があった。
不思議なことに、この現象はサッカーだけではない。
会社でも同じだ。
若手社員が「部長になりたい」と言うより、「とりあえず定年まで無事に勤めたい」と言う方が現実的に聞こえる。
地方の小さな企業が「世界市場を狙う」と言えば笑われる。
学校でも、「失敗しないこと」が「挑戦すること」より高く評価される場面がある。
誰かに止められたわけではない。
それでも私たちは、自分で勝手に天井を作ってしまう。
ところが今の日本代表を見ていると、その天井が存在していないように見える。
森保ジャパンはワールドカップ優勝を口にする。
昔なら「大きく出たな」と笑われたかもしれない。
しかし今は違う。
なぜなら彼らの多くは、毎週のように欧州のトップリーグで戦っているからだ。
彼らにとって世界は憧れの場所ではない。
出勤先である。
これは私たちの仕事にも似ている。
昔は海外出張に行くだけで特別だった。
パソコンを使えるだけで一目置かれた。
英語を話せる人はエリートだった。
しかし時代が変わると、それは特別な能力ではなく日常になる。
環境が変わると、人の「限界」の位置も変わるのだ。
そして、もう一つ大事な変化がある。
今の日本代表は、組織を守るためだけにプレーしていない。
自分の武器を遠慮なく出す。
ドリブルで勝負する。
シュートを打つ。
リスクを取る。
それでいてチームとして機能している。
これは会社でも同じだと思う。
多くの組織は「出る杭を打つ」ことで安定しようとする。
しかし、本当に強い組織は違う。
個人が尖りながら、全体も動く。
全員が同じ顔をするのではなく、それぞれの色を持ちながら同じ方向を向く。
そんな状態が理想なのだろう。
私は長年、学校という組織の中で働いてきた。
その中で感じるのは、人間の成長を止める最大の敵は能力不足ではないということだ。
「どうせ無理だろう」
という空気である。
天井の正体は、コンクリートでもガラスでもない。
思い込みだ。
だから日本代表の躍進を見るたびに胸が熱くなる。
彼らが破っているのは、単なるサッカーの記録ではない。
私たちが長年抱えてきた「この辺が限界だろう」という空気そのものだからだ。
ワールドカップ優勝。
それが実現するかどうかは分からない。
けれど、本当に価値があるのは結果そのものではない。
「優勝を本気で目指してもいいんだ」
そう思える人が増えることだ。
組織の中でも。
学校の中でも。
家庭の中でも。
そして人生の中でも。
空を見上げて天井を探しているうちは、まだそこにある。
しかし夢中になって走り続けている人は、気づかないうちにそれを蹴り破ってしまう。
今のサムライブルーを見ていると、そんなことを思うのである。
もうソウ太郎
