『生まれ来る子供たちのために』再考その3
五人のバンドとなったオフコースの幕開けを飾ったのがアルバム『Three and Two』で、このアルバムの最後の曲が『生まれ来る子供たちのために』だった。この曲は、表向きの解釈はそのタイトル通り子供たちに向けてのメッセージだが、裏解釈としては小田さんが盟友の鈴木さんへ送ったメッセージと解釈できるのではないか、というのが『再考その1』であった。
そして、小田さんからの『生まれ来る子供たちのために』のメッセージを受けて鈴木さんがアンサーソングとして書いたのが五人のオフコース最後のアルバム『I LOVE YOU』収録の『愛のゆくえ』なのではないか、というのが『再考その2』で述べた通りである。
つまり、『生まれ来る子供たちのために』は表解釈と裏解釈ができて、裏解釈のアンサーソングが鈴木康博さんの『愛のゆくえ』である。そうならば、表解釈のアンサーソングがあってもおかしくはない。
今まで私はそういう捉え方をしたことがなかったのだが、以上のことを考えた時に、この曲は表解釈のアンサーソングだったのだと妙に納得できた。
それはアルバム『I LOVE YOU』に収録されている『かかえきれないほどの愛』だ。
この曲の作詞は『Three and Two』のThreeである清水・大間・松尾の諸氏で作曲は松尾さんである。
五人の記念すべきアルバムである『Three and Two』で小田さんが「生まれ来る子供たちのために何を語ろう」と問いかけた。その問いかけに五人最後のアルバム『I LOVE YOU』で鈴木さんは自分の想いを込めて『愛のゆくえ』で応えた。そして、新メンバーである清水・大間・松尾の諸氏は小田さんからの問いかけに真正面から応えたのが『かかえきれないほどの愛』だったのだ。
私は以前に『生まれ来る子供たちのために』の最後の歌詞
真白な帆を上げて
旅立つ船に乗り
力の続く限りふたりでも漕いでゆく
その力を与え給え
勇気を与え給え
で、船=五人のオフコース、乗組員=新メンバーである清水・大間・松尾の諸氏、漕ぎ手=小田さんと鈴木さん、というふうに喩えたが、新メンバーの三人もただの乗組員ではなかった。小田さんの問いかけに真摯に向き合っていたのだ。
五人のオフコースが最終的に出した答えがアルバ厶『I LOVE YOU』であった。つまり『愛』なのだ。
サッチモことルイ・アームストロングが言った
Love baby, love. That's the secret
に通じる。そう、すべての鍵は『愛』であると。
五人のオフコースが出したオリジナルアルバムは、『Three and Two』『We are』『over』 『I LOVE YOU』の四枚である。それぞれが独立した作品であるが、この四枚が一体となって壮大な愛の物語を紡いでいたのかもしれない。
それぞれの曲の語りを抜き出すと、
生まれ来る子供たちのために何を語ろう
こころを…かさねて…
