42歳児、給食に泣く。
「美味しいね」
私が言うと
「美味しいね」
と息子が笑う。
まさかこの歳で息子と給食を一緒に食べる日が来るとは。
最近学校に行けず、家で食事中もYouTube漬けの息子と話しながらご飯が食べられるとは。
息子に牛乳パックの洗い方を指南してもらって、家では皿も片付けない息子の新たな一面を知ることになるとは。
こんなん泣くしかないーーー。
昨日は息子の小学校で音楽発表会が開かれた。
各学年が合奏と合唱を保護者に披露する今年度最後の一大イベントだ。
昨年までは当たり前のように参加していたイベントにことごとく息子の姿は無い。
4年生になり、この6月から息子が学校に行ったのは1度だけなのだ。
運動会は家で過ごした。
だから音楽発表会も家かな、と思っていたら突然「行こうかな」と言い出した。
ここで喜んで焦ってはいけない。
平生を装い、「当日の朝にどうするか決めたらいいからね」と息子には伝え、裏で先生と段取りを相談する。
前日の朝、学校から出欠確認の電話が来た。
息子の回答は「やっぱり行かない」だ。
でもまだ諦めない。
その夜タイミングを見計らい、「パパと一緒なら行く?」 と聞くと「それなら行く」とのこと。
よしきた!
そして当日朝。
機嫌は悪くない。
これは、すんなり行けるサインだ。
実際スムーズに家を出て、先生から指定された時間に体育館裏に着いた。
ちょうど父兄が入場し終わったタイミングを見計らって入れば目立たず入場できるとのこと。
配慮がとても有難いが、まるで芸能人がお忍びで観覧するようでなんだかモヤモヤする。
通されたのは舞台袖2階の音響装置がある小部屋。
ここからなら周りの目を気にせずお友達が見れるよ、とのこと。
そして始まった音楽発表会。
1年生の『にんげんっていいな』を聴いて自分でも予想外に泣いてしまった。
あぁ、子供たちのにぎやかな声聞くの久しぶりだなぁ。
気持ちの準備ができてなかったのは自分も同じかもしれない。
あちら側に我が子がいないと思うのがこれほど切ないとは。
ただ息子にとってはちょうど良い距離感で発表を聴けたようで、終始落ち着いて各学年の発表を聴いていた。
同級生が出てきた時は小部屋でウロウロソワソワ。
「ねぇ!気付かれたらどうしよう?」
と言いながらそーっと下を覗くと、たまたまこちらを見ていた友達と目が合ったらしく、
「やばい!見つかった!どうしよう!」
と大興奮だった。
ネガティブな感情なく見られたことが何よりだった。
4年生の発表が終わったら帰るかと思いきや、6年生の発表まで聞きたい。そして一番仲のいい友達と一緒に帰りたいと言う。
急遽先生に相談し、発表会後に別室で給食を食べて、友達の下校まで待てばいいという事になった。
「パパは給食ないから先に帰ってもいい?」
「帰らないで」
「そうだよね」
ということで、息子が食事をとるのを見ながら空腹を我慢することが確定した。
◇◇◇
いざ別室に行くと、先生も私が可哀想と思ったようで、2人分の給食を用意くださった。
メインは鮭のちゃんちゃん焼き。
海苔の佃煮がのったご飯。
野菜スープ。
30年振りに口にした給食は思いのほか美味しかった。
横にいる息子を見ると、いつも30分かけてもなかなか食べ進まないのに、今日はものの10分で完食していた。
「美味しかったね」
「うん、美味しかった」
「パパ一緒に食べれてよかったね」
「ありがとう。こんな機会ないから嬉しかったよ」
美味しいご飯を前にして、素直にお互いの気持ちを伝えられる。
この時間を持てるまでには、先生方の沢山のサポートと、何より息子自身の頑張りがあったおかげだな、と思うとまた泣けてきた。
息子に涙を気づかれないように立ち上がり教室を見て回る。
振り返ると満足そうな息子の表情が目に入りまた嬉しくなった。
◇◇◇
下校時、仲のいい友達と合流できた息子だったが、沢山の同級生から声をかけられていた。
「おい!久しぶりじゃん!もっと学校こいよ!!」
「あ、〇〇じゃん!久しぶり!ねぇ、う〇こ味のカレーとカレー味のう〇こ、どっちがいい?ねぇ、生まれ変わるならボーリングのピンかボールどっちがいい?」
「おー〇〇、来てたんだ!何で学校こないの?来週は来いよな!」
うちの子、ちゃんと友達付き合いできてるやん。
また父の涙腺が……。
そんな子供たちの声掛けが嬉しくって、一人一人ハグして回りたい気持ちだったが、捕まるので思いとどまった。
でも、来いよって言ってくれる子供たちには本当に有難いと思った。息子は照れくさいのか目も合わしていなかったけど、その顔にははっきりと『嬉しい』と書いてある。
果たして息子が来週から何か変わるのかは分からない。
それでも前より食べる量が少し増えて、笑うことも増えてきた息子を見るとまた期待してしまう。
いいなと思ったら応援しよう!
サポートいただきありがとうございます😊嬉しくて一生懐きます ฅ•ω•ฅニャー