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プリケツニキと呼ばれるまで

公衆浴場に行くとついつい周りをジロジロ見てしまう。

そう、あちこちに並ぶナニを見てしまうのだ。




あ、


ナニってお尻のことだ。
そこかしこにいるオッサン達のお尻をついつい見てしまうのだ。




社会人になりたてのころ、同期たちと連れ立って旅行に行った。温泉でゆったりくつろいでいると、同期のひとりがポツリと言ったのだ。


「男はケツから老いていく」と。


それまで意識したことは無かったが、確かに周りにいるオッサンのほとんどのお尻には張りがなく、まるで花が枯れて萎れるようにしぼんだケツが並んでいた。


そこへ、自衛隊のおじさん達がゾロゾロと入ってきた。


圧巻だった。



ぷりっと張りのある、筋肉の詰まったお尻。
恐らく年齢はみな40はゆうに越えていたと思う。
だけどお尻はまだまだ現役だった。
おれは男だと主張していた。


「ほらね」


同期は何故かドヤ顔で私を見つめるのだった。
何がほらね、なのか分からないがそいつのお尻もハンドボール部というだけあって見事に鍛え上げられていた。



あれから20年近く経って、気がつくと私のケツも萎んでいた。


髪の毛にまじる白髪よりも、目の下のダルンダルンのクマよりも、あるはずのお尻が削れて絶壁になっていることが一番ショックだった。


それこそ毎日テニスに明け暮れていた私は、自慢のお尻だった。
大学時代のあだ名は「プリケツ王子」だった。
王子なんて、ハンカチ王子から文字った安易なあだ名だ。ハンケツ王子じゃなくて良かったと思う。


とにかく自慢のプリケツで風を切りながら、大学構内を闊歩したものだ。


なのにどうした。


おれのケツどこ行った。



振り返るともうそこには居なかった。



妻からも「あなたのお尻、好きだったのに」と言われる始末。このままではケツが原因で離婚も有り得る。ケツが原因でケツ別しました。いや、笑えない。



絶望した私はそこから毎日スクワットをし始めた。


これは成長の記録だ。
まだケツ果は出ていない。



毎日20回を3セット。これから地道に続けようと思う。


誰に見せるわけでもない。
これは私が男を取り戻すための、プリケツニキと呼ばれるまでの物語だ。




なんのはなしですか





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