【座学】なんのはなしです科
「今日は南野教授に来ていただきまして先生のライフワークであり専門分野の『なんのはなしです科』について理解を深める会でございます。
南野先生どうぞよろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。早速ですが、世界で初めての『なんのはなしですか』をご存知ですか?」
「いきなり難しい質問をありがとうございます。
実は今日南野先生にお会いするとあって、先生の著書『どんとこい!なんの話ですか!』を寝る前に5分ずつ読む生活を3日ほど送りましててですね。もう準備バッチグーでございます。はい、早速お答えしますけれども!
確か7000年ほど前にですね、ペルシャで発祥したと言われその意味は焼き菓子とされて…」
「それはナンの話ですね!」
「っ!!失礼しました。私 本日初めての司会ということでアガッておりまして!」
「いえいえ、大丈夫ですよ。今日私が来たのはその答えをお話しする為ですので、今ここであなたがスラスラ答えられた日には私の研究人生35年がなんのはなしだったのか、ということになっちゃいますからね。」
「南野先生、さすがでございます。さらりと会話に『なんのはなしですか』を織り混ぜるなんてなんてオシャレなのでしょう」
「ちょっと何言ってるかわかりませんので続けますね。
そもそもですね。この『なんのはなしですか』というフレーズ。これは本来自然発生的にはあり得ない、ということは分かりますよね?」
「全くわかりません。解説お願いします」
「少しはその薄っぺらい脳みそ使ってみたらどうなのか、と思いましたが続けましょう。
我々がブログなり記事なり書きますよね。その場合明確に目的、つまり読者に伝えたい話があるはずなんです。
例えば、今日素敵なカフェに行ってきた、という日記であればカフェの感想が伝えたいこと。
SNSでビューを稼ぐ方法、という記事であれば当然その方法を伝えたいから書くわけです。
これだと明確になんのはなしか分かるので、『なんのはなしですか』なんて出てくる訳がない!
つまり、誰かにとって有益な情報を書きたい、という思想の進化過程には『なんのはなしです科』は登場するわけもなく、『わたしのはなし分かります科』が主流。つまりこれがメインストリームとなります。」
「はぇ」
「聞いてます?」
「いや、そろそろ長くなってきたので私の頭の中にモヤモヤと『なんのはなしですか』が湧いてきたもので…」
「そう!!それっ!!!」
「っ!びっくりしたぁ。南野先生、病院でしたら入り口出て左に進んで…」
「私はどこもオカシクなってませんよ。今あなた初めていいことを言いました。
そうなんです。『なんのはなしですか』は読んでいる側の心情を切り取ったワードな訳です。
つまりですよ。明確な目的を持って書く側からは『なんのはなしですか』は生まれなかった。
ただそこに突然変異体が現れたと言うことです。
特に目的を持っていない。あるいは書きたいことが次から次に湧いてきてそれを抑えきれない。
なんのはなしも入っていないゼロのパターンと、モリモリにはなしが詰め込まれてごちゃごちゃのパターンってことですね。
恐らくこれだけ『なんのはなしですか』が一つのムーブメントになったのは、この思考の遊び(あっちいったり、こっちいったり、思いついたことをくっつけてみたり)が大量のドーパミンとアドレナリンを出すから、ということが最近の研究からも明らかに…」
「スー スー」
「寝ましたか。仕方ありませんね。続けましょう。
そう、本来であればあっちいったりこっちいったり、という思考のジェットコースターから読者が振り落とされないような『読ませる技術』とセットで『なんのはなしですか』と結ぶ。
これが初代が編み出した流儀であり、とても高等なテクニックだったと私は考えます。
ところがいつしかとりあえず最後に『なんのはなしですか』とつけちゃえ、ってセットに添えられたポテト感覚で使われるようになった。
さらに『なんのはなしですか』を使うことでビューが伸びるらしい、という都市伝説に踊らされる状態に突入。
さらには、『なんのはなし』か明確に決まっているにも関わらずあえて本論を迷走させ『なんのはなしですか』につなげる流派も現れています。彼らはまず最初に『なんのはなしですか』をどうモジって遊ぶかを考えています。
でもね。これってとっても健全な状態とも思うのです。
初めてインターネットが登場した時を考えてみてください。最初は軍事目的で開発されたものが一般でも使われ始めた。この時は特定の相手に向けての通信手段だったのが、今では誰もが世界に影響を与えられるくらいの発信ツールとなっていて…
上手く例えようとしたけど出来ませんでしたね。
要は万能すぎるツールは、使い手が勝手に自由に使い始めてさらに広まっていく。
これこそ万能たる所以なわけです。
まあとにかく皆この『なんのはなしですか』という万能ツールと、偉大な発明家コニシ木の子氏の回収コメントが大好きだから猫も杓子も『なんのはニャしかニャ?』なんて言ってるわけですね。
そう、普段からオチだのフリだの言ってるヤツほどこういった着地点を見失った時にこのワードの有り難みを痛感するわけです。
それでは皆さん
ご一緒に
南野教授の解説でした。
#なんのはなしです科
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