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自分でできりゅもん!

「使っていいよ」

その日は妻と下の子でお風呂に入っていた。
子供の体を洗い終えたが、妻が横で椅子に座って髪の毛を洗っている。

シャワーは1つしかないので、泡のついた体で風呂場の床に三角座りをして待つしかない。

なんとなく自分のだらしなく伸びたすね毛を見つめていたら、髪の毛を洗い終えた妻から手渡されたのは、シャワーヘッドではなくてムダ毛処理用のシェーバーだった。


「え? なに?」

「気になってたんでしょ。(ユー)やっちゃいなよ」



実際妻からユーとは呼ばれていないが、妻に言われてふと思った。

そう言えば、短パンで足を出しているおじさんにもツルツルの人が増えた気がする。昔は皆ボーボーだったのに。手足が長くて顔の小さい骨格の若者が増えたのと同じで、毛深いおじさんもいつしか減少傾向にあるような気がしていたが、良く考えればそんなわけない。

いつの間にか皆剃っていたのだ。

世の中のおじさん達が続々と身綺麗になっていく中、なにも手入れをしていない己が世の中に取り残されていくような気がしてゾッとした。


「やってあげようか?」


ここでハイと言ったら男が廃る。


「いや、おれ自分でできりゅし!」


勢い余って噛みながらも、妻からシェーバーを受け取ると自らの脛にあてがった。




🪒🪒🪒


そして風呂上がり。


脱衣所には右足ツルツル、左足ボーボーのわたしがいた。
子供に「パパ! 早く出たい!」と急かされて強制終了となったのだ。期せずして自らの体でビフォーアフターを体現してしまったセンターマンは子供の体を拭きあげながら、ツルツルの右足を見てニヤリと笑うのだった。



次の日、マイシェーバーを買いに走ったことは言うまでもない。



🪒🪒🪒


それからは残った左足、脇、腕、と外から見える部位をどんどん剃っていく。
その度にどんどん生まれ変わっていく感覚を覚える。美意識に目覚め、綺麗になっていくわたし。あらやだ、ここにも剃り残しがあるわ♡


そんなこんなでひと夏をシェーバーとともに過ごしてきたが、ついにこの時が来た。



そう、V.I.Oである。


Very Important Omata──


生物として最も守るべき、と遺伝子に刻まれたその部位に、メス……じゃなくてシェーバーを使う日が来るとは。


というか、気にしたこともなかったけどこんなにここって人口過密地帯になっていたのね。知らなかったよ。特にIゾーンだよ。こんなとこに君たちがいるなんて知らなかった。今まで知らない間に僕の大切な宝物を守ってくれていたんだね。ありがとう。でもサヨナラだよ。



という訳で絶賛 区画整理中なのである。


ちなみにプロにやってもらうとIゾーンだけで10万円近くかかるらしい。




今週はコーヒーのV.I.O : Very Important Omameの話をしようと思ったのに、先に思いついたのがこれでした。


路地裏の流れ☕️にも取り残されてるぜ🥹



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