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【議題300】20年ぶりの新機種に見る「体験価値」の作り方。自社の商材を「高単価でも売れるストーリー」に変える3つの条件

新聞の経済面をめくっていて、ふと手が止まった。発売から40年を迎えた「写ルンです」が、20年ぶりの新機種を投入するというニュースだった。スマホで何枚でもタダ同然で写真が撮れるこの時代に、4000円台という決して安くない「不便なカメラ」に若者や外国人が熱狂しているという。

この記事を読み終えたとき、あなたは日々の業務に追われて忘れていた「商売の本質」への痛みが、明日への確かなワクワクに変わっているはずです。さあ、今朝も共に深掘りしていきましょう。

記事の要約

要約: 富士フイルムのレンズ付きフィルム「写ルンです」が発売40年を迎え、20年ぶりとなる防水・白黒の新機種を投入する。スマホの普及で一時は低迷したものの、若年層やインバウンドの間で「あえて手間暇をかける体験価値」が評価され、売上はコロナ前の2〜2.5倍に急増。価格高騰や不便さを逆手に取り、デジタル全盛の時代にアナログな実感が支持を集める構造が浮き彫りになっている。出典: 日本経済新聞(2026年7月8日付)

3つのポイント

  1. 効率や便利さの追求だけが、顧客の心を掴むわけではない。「あえての手間(不便さ)」が独自の体験価値を生む。

  2. 高価格化(値上げ)が進んでも、顧客が「そこにストーリーや意味を感じる」のであれば、選択される。

  3. 自社の既存商品やサービスにおいて、デジタルでは代替できない「リアルな実感」をどう再定義するかを見直す契機になる。

ニュースの裏側にある「顧客の痛み」

今回のニュースを単なる「レトロブームの再燃」と片付けては、経営者の目は曇る。ここに隠されているのは、現代人が抱える「便利すぎる世界に対する強烈な虚無感と、手触りある実感への渇望」という普遍的な痛みだ。

ボタン一つで一瞬にして写真が保存され、AIが完璧な色補正をしてくれる。そんな摩擦のない世界に、私たちはどこか息苦しさを覚えていないだろうか。「失敗するかもしれない」「どんな風に撮れているか現像するまでわからない」というプロセスそのものが、今の若者にとってはたまらなく新鮮で、愛おしい体験として映っているのだ。

苦情対応の現場に長く身を置いてきた私は、痛いほど実感している。お客様が本当に求めているのは、商品そのものではなく、その商品を通じて得られる「生きた実感」なのだと。

効率化の波に乗り遅れるなと焦るあまり、私たちは顧客から「プロセスを楽しむ余白」を奪ってはいないだろうか。

中小企業が大手と同じ土俵で「安さ」や「スピード」を競い合っても、体力勝負で疲弊するだけだ。しかし、手間がかかること、泥臭いこと、不器用であっても血が通っていることの中にこそ、大手が真似できない圧倒的な差別化の種が眠っている。このニュースは、まさにそれを証明している。

実践:明日から現場ですぐにできること

では、明日から自社の現場でこの視点をどう活かすべきか。予算も大掛かりな会議も不要です。社長であるあなたが、明日の朝礼や日常のコミュニケーションで一言添えるだけで、社員の視点が変わる「泥臭い一歩」を提案します。

  • 「効率」を疑い、「手触り」を語る機会を作る

    • 朝礼やミーティングで、「今、うちの商品(サービス)で、お客様が『手間をかけてでも味わいたい瞬間』はどこだろうか?」と社員に問いかけてみる。

  • アナログな「一手間」をあえて付加する

    • 納品書や請求書に、パソコンの印刷だけでなく、一言手書きのメッセージを添える。あるいは、サービスの裏側にある苦労やストーリーを、お客様に少しだけオープンに伝えてみる。

  • 「見えない失敗」を恐れない社風をつくる

    • 効率ばかりを求めると、社員は失敗を恐れるようになる。写ルンですのように「現像するまでどうなるかわからないワクワク感」を、新しい挑戦や企画の現場にも取り入れてみる。

小島流フレームワーク:【体験価値の棚卸し3カ条】
引き算の思考: 顧客にとって「便利になりすぎて、逆に冷めてしまっている部分」はどこか?
手間の再定義: 自社の業務の中で「無駄だと思って削ろうとしているが、実は顧客が愛着を感じているプロセス」はないか?
語れる物語: その商品やサービスには、社員の汗やストーリーが乗っているか?

社長参謀からのエール

最後に、あなたにこの問いを投げかけたい。

あなたの会社が提供している商品やサービスは、顧客の「便利さ」を満たすだけで終わっていないだろうか? その裏側にある「ぬくもりやストーリー」を、もう一度自分の言葉で語れるだろうか?

日々の荒波の中で、孤独に舵を切る経営者のあなたを、私はいつも応援している。さあ、今日も一歩、現場の泥に足をつけて、共に汗をかきましょう。

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