見出し画像

【議題297】なぜ「1足5000円の靴下」が、百貨店で過去最高売上を叩き出したのか?

「うちの業界は価格競争だから、高くしたら売れない」

「良いものを作っているのに、価値が伝わらない」

そんな焦りや諦めを、ほんの少しだけ脇に置いて、この静かな時間を私に預けてみませんか。この記事を読み終えたとき、あなたが抱える「単価アップへの恐怖や痛み」が、自社の技術を新しく生まれ変わらせる「ワクワク」に変わっているはずです。

記事の要約

スニーカー通勤の定着を背景に、1足4,000円〜6,000円台の高価格帯靴下が、30代〜50代以上の女性を中心に異例のヒットを記録している。ポーラ・オルビスグループの「MAEE(マエエ)」やアツギの「AZGI(アツギ)」などは、医療用着圧技術などの「身体の負担を軽減する機能(ケア)」と、高いデザイン性(オシャレ)を融合させた。服を買い替えるよりも小さな投資で手持ちのワードローブを新鮮に見せられる点や、品質の高さが、国内層のみならずインバウンドのまとめ買い需要も掴んでいる。出典:日本経済新聞(2026年6月26日付)「(大岩佐和子の消費を斬る)スニーカーの次は4000〜6000円の靴下」

明日から使える3つの気づき

  1. 「ケア」と「美」の融合:単に着飾るだけでなく、「身体のしんどさを解決しながら美しく見せる」という、実用と情緒のハイブリッドが今の高単価トレンドである。

  2. 「脇役」の主役化:ライフスタイルの変化(スニーカー通勤)を観察すれば、これまで「隠すもの」「安くていいもの」とされていた脇役(靴下)が、一瞬で主役に躍り出る。

  3. 小さな投資で「新鮮さ」を買う心理:消費者は大きな出費(服の買い替え)を避けつつも、手持ちの資産を新鮮に見せるための「レバレッジが効く小物」には喜んで数倍の投資をする。

ニュースの裏側にある「顧客の痛み」

私はかつて、企業の苦情対応部門で泥臭く「顧客の怒りや諦め」を浴び続ける仕事をしていました。だからこそ、こうしたトレンドニュースを見ると、裏側にある「人間の普遍的な欲求と痛み」が、生々しい声となって耳に届きます。

この記事の裏にある顧客の痛み、それは「加齢による身体の衰えや疲れという現実を認めつつも、おばさん臭いもの、みすぼらしいものは絶対に身につけたくない」という切実な葛藤です。

3足1,000円の靴下や、病院で配られる肌色の医療用着圧ソックスを履くとき、顧客の心は少しだけ削られています。「年だから仕方がない」「どうせ見えないからこれでいい」。この「諦め」は、人間の自己肯定感をじわじわと蝕む痛みです。

そこに現れたのが、光沢のある超長綿やラメ、イタリア製の糸を使った美しい4,000円の着圧靴下でした。 顧客が支払っているのは、靴下という「布切れ」への対価ではありません。「身体を労わりながら、私はまだこんなにオシャレで、現役でいられる」という、自分への誇りとプライドにお金を払っているのです。

顧客の「諦め」を徹底的に観察し、そこに光を当てて「誇り」へと変換した瞬間に、3足1,000円の市場は、1足5,000円のブルーオーシャンへと姿を変えます。

実践:明日から現場ですぐにできること

「うちの会社には、そんなおしゃれなブランドを作る力も予算もない」

そう思われたかもしれません。ですが、お金をかけずに明日、社長が社内で一言かけるだけで始められる泥臭いスモールステップがあります。

自社の「眠っている脇役」を主役にするための、小島流フレームワークです。

眠れる価値を発掘する「主役交代」クエスチョン

明日、現場の職人さんや、営業メンバー、あるいは事務スタッフに、こう問いかけてみてください。

  • 「うちの事業や商品の中で、お客さまから『これ、地味に助かるんだよね』『隠れた名作だよね』と言われている、主役の引き立て役(脇役・裏方)は何だろう?」

  • 「その脇役が抱えている、お客さまの『面倒くさい』『本当は我慢していること(痛み)』は何だろう?」

  • 「その脇役に、うちが持つ『一番得意な技術やこだわり』を1つだけ掛け合わせたら、どんな面白い姿になるだろう?」

例えば、精密金属加工の会社であれば、普段は機械の内側に隠れて見えない「バリ取り」の超絶技法を、ステーショナリーやスマホスタンドといった「日常で毎日触れるもの」に1箇所だけ応用してみる。 「ただの裏方仕事」に、顧客が毎日触れてうっとりするような「手触り(ケアと心地よさ)」を掛け合わせる。そこから、通常価格の10倍でも売れるオリジナル商品が生まれた中小企業の事例を、私は何度も現場で見てきました。

社長参謀からのエール

最後になりますが、私からあなたに、1つだけ問いを置いていきます。

「あなたが今日、『これは脇役だから安くていい、誰も見ていない』と諦めて、手を抜いてしまっている自社の技術やサービスは、本当に、お客さまにとって脇役ですか?」

当たり前だと思っている日常の景色の中にこそ、次の10年を支える「ストック型の新事業」のタネが転がっています。それを拾い上げ、泥にまみれながら、一緒に形にしていきましょう。

一人で悩む必要はありません。机の上の理論は学学者に任せて、私たちは泥臭く現場で、共に汗をかきましょう。

#社長参謀 #尾張一宮 #新規事業 #中小企業経営 #高付加価値化 #着圧ソックス #価値創造 #アパレル業界 #顧客理解 #スモールビジネス


いいなと思ったら応援しよう!